エッセイ#64『顔』

 マイナンバーカードの申請に失敗し続けている。
 最初に申請をしたのは昨年の12月のことだ。この時は比較的手間数の少ない恩オンライン申請を試みた。必要項目を記入したり写真をアップロードしたりと、ごくごく普通に申請したはずなのだが、1ヶ月程経っても音沙汰がない。
 これは一体どうしたことか、とサイトを確認してみると、なんとそこには不備があるといった内容の一文があるではないか。不備があったのはこちらが悪いとして、なぜそれをメールなり郵送なりで伝えてくれなかったのだ。
 オンライン申請は諦めて、二度目の申請は郵送にて行うことにした。郵送ならば失敗する恐れはないはずだ。しかし、その考えは浅はかであった。なんと今年の4月、郵送にて再手続きのお知らせがやってきたのだ。
 一体全体何が悪いと言うのだ。どうやら顔写真に何らかの不備があるということがわかったが、「顔が横向きのもの」「無背景ではないもの」「平常時の顔と著しく異なるもの」「顔や背景に影があるもの」「ピンボケや手振れにより不鮮明なもの」「帽子やサングラスで顔が隠れているもの」のいずれの項目にも該当していない。
 更にこの通達がやって来た頃、マイナンバーカードの保有率が運転免許証を上回った、という内容の記事を見た。運転免許証以上に皆が持っているものの申請が通らないことに、自責の念すら感じる始末である。
 知人の母親はカラコンを入れた状態で発行できたらしい。意外にガバガバなはずなのになぜ通らないのだろう。自治体によって違うのだろうか。このままでは部屋が使わなかった顔写真で溢れ返ってしまう。

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