エッセイ#59『24円』

 クレジットカードの引き落とし日が近付いてきたので、先月の利用履歴を確認していると、身に覚えのない金額が記されていた。使用場所は最寄りのファミリーマート。金額は24円である。
 いったいこれは何の代金なのだろう。しばらく考えてみた。
 脳内で店内を3分程うろちょろしてみたが、24円で買えそうな商品は見当たらない。それに、もし仮に24円で買えるものがあったとしたら、確実に現金かICで払っているはずだ。当時の私は何故なにゆえこんな安価な商品をクレジットカードで支払ったのだろう。24円の商品をレジに通して「カードで。」と言われた店員さんはどんな心境だったのだろう。

 そんなことを考えている最中に、24円の商品の最有力候補を思い出した。うまい棒2本である。現在、コンビニでうまい棒は12円で販売されていることが多く、確かに研修終わりにうまい棒を買って帰った記憶もある。24円の正体は、うまい棒2本と見て間違いないだろう。
 しかし、問題はまだ解決していない。いったい何故クレジットカードで支払ったのかが、謎に包まれたままである。
 ここで私は、改めて店内を想像してみた。そうすると、当時の私がカードを使用せざるを得ない状況にあったことを思い出した。その状況とはずばり、セルフレジである。
 うまい棒を2本だけ買うのは何だか恥ずかしい。それを回避するためには有人のレジではなく、その隣のセルフレジを使用するのが最善だ。しかしICカードの残高は0に等しく、現金も使えない。デビットカードで決済すると、銀行での記帳が無駄に長くなる。じゃあクレジットカードを使おう!

 以上がこの不可解な状況の真相である。今後は現金を使う機会が減っていくと思われるので、変な利用履歴はどんどん出てくるだろう。

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