#22『ベランダの見える生活』

 自室のカーテンがあまりにも汚らしかったので、思い切って取り外してみることにした。汚いと言っても何かの染みが付いているわけでも、破れたり解れたりしているわけでもない。外を向いている面が陽の光を浴びすぎて日焼けをし、その結果白い粉を無限に巻き散らかす仕様になってしまったのだ。
 そんなわけで、遮光するものがない生活が始まった。カーテンがないというのは案外良いもので、電気を点けなくとも勝手に朝日で部屋が照らされるため、大変目覚めが良い。日光のお陰だろうか、体調もすこぶる快調である。しかし昼が近づくと気温は徐々に上がり、室内はとても冬とは思えない暑さになってしまった。エアコンなんかよりも全然暖かいので、エコと言われればそうなのかもしれない。
 それに、窓の方に頭を向けて寝転べば、夜には星や月だって見える。なんともロマンティックである。唯一の懸念点は、私の性格的にカーテンの購入を先延ばしにしてしまう可能性があることだ。このまま夏がやって来たら最後、私の部屋はドロドロに融けてしまうだろう。

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