見出し画像

#20『クリスマスソンング』

 ここ数年で気が付いたことだが、どうやら私はクリスマスソングが苦手らしい。もちろんクリスマスソング自体を否定する気は毛頭ないし、クリスマスというイベントの訪れを感じる上ではこれ以上ないコンテンツであると考えている。それを理解した上で、クリスマスソングがやっぱり苦手なのだ。
 それでは一体なぜ苦手か。その理由の大部分を「なんか暗いから」という単純明快な感想が占めている。恐らく小学生の自分に聞いても、全く同じ回答が返ってくることであろう。恋人が来なかったり、去年のようにはいかなかったり、子供の時の懐かしい記憶を思い出していたり……。こうやって文字に起こしてみると、やっぱりなんだか暗い。
 極め付きは、中々更新されないということだ。アルバイト先の有線放送で、毎年12月にはクリスマスソングを聴いているが、基本的にセットリストに変化がない。
 『クリスマス・イブ』/山下達郎
 『恋人がサンタクロース』/松任谷由実
 『クリスマスソング』/back number
 『Can't Wait 'Til Christmas』/宇多田ヒカル
 『いつかのメリークリスマス』/B'z

 この5曲は毎年必ずセットリストに入っている。スタメンである。これらの曲のイメージが強過ぎて、最近リリースされたクリスマスソングへと世代交代ができないのではないだろうか。そうは言っても、back numberの『クリスマスソング』以降に発表されたクリスマスソングを1曲くらいしか知らないので、そもそもクリスマスソング自体があまり作られていないのかもしれない。

 両思いにせよ片思いにせよ、何かと恋愛絡みの話が多いクリスマスソングだが、実際のところ世の人々はそんなに恋愛にかまけているのだろうか。今年はたまたま土日に被ったが、例年であればクリスマスはただの平日である。中学生や高校生は部活や予備校で忙しいだろうし、社会人は仕事があるだろう。人生のモラトリアムこと大学生だって、何やかんやで講義なり実習なりと被っている場合が多い。
 こんな歌はどうだろうか。

 クリスマスなのに夜まで部活
 みんなで駅へと向かう途中 県道沿いのサイゼに入る
 いつにも増して混んでいて 6人組では入りづらい
 だけど絶対店は変えない こちとら毎日来てんだぞ
 ドリンクバーとピザだけ頼んで 2時間ばかしサイゼで駄弁る
 クリスマスだからではない 日記に書かないいつもの話

 自分で書いてて寒気がしてきた。そうか、伝えなくていいから歌にならないのか。それに、結局しんみりしてしまった。クリスマスとはそういう力を持った日なのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?