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原始定款をなぜ会社売却準備で求められるのか?
会社売却の準備は大変である。
オーナーになったことが無いので、本当に意味でその大変さはわからないが、きっと大変だと思う。
日々実務で忙しいのに、M&A担当は細かい準備リストを出してくる。30~50もの細々した資料依頼リストをあれこれ要求してくるのだ。
まだ決算書や固定資産台帳などならばわかる。あとは、自社の魅力訴求につながるような、資格保有者などの情報も理解できる。会社の資産に関わるので、解約返戻金の額を調べることも、ギリギリ理解できる。
しかし、原始定款を準備してください、といわれると?が浮かぶ。(のではないだろうか) あとは、例えば、創業から現在に至るまでの「取締役会議事録」の提出なども面倒である。
こうした資料は、日々の実務に極めて関係ないため、金庫にしまってあったり、先代が持っていたりする。そうした資料を引っ張りだすのは本当に大変である(と思う。)
ただ、株式譲渡をしっかりと行う場合は、こうした点こそしっかりと対応することをおススメする。
なぜならば、株式の移動に関わるからだ。歴史ある会社の場合は、「発起人」が7名おり、所謂名義株が存在することがある。
昔は、会社を作るときに7人の発起人が必要だった。そのため何の関係もない近所のおじさんなどに名前を借りて、お金を本当は出していないのに、出資してもらったことにしていた会社は多い。
困ったことに、そうした名義株の保有者はお亡くなりになっていたり、お孫さんがその後引っ越していたり、連絡が取れない事もある。
M&Aをしないのであればなんの問題もないだろう。
ただし、会社を高値で売却しようと考える場合、株の移動証跡がしっかりとエビデンス付きで追えないのは問題になる。
高値で売るには、上場企業・未上場企業・同業・異業種から、競合入札でよい条件を引き出すことが重要である。
「傷があり、未上場企業しか買収を検討してもらえない」となると、かなりダメージである。
株式譲渡とは、株を売買するので、株式が最初から現在に至るまで、きっちりと法的に適切に移動できているかはある意味で最重要である。
もちろん、M&A慣れしている買い手企業であれば、上場企業であっても、あらゆる方法を駆使して、傷ごと飲み込んでくれることもある
しかし、売り手オーナーの立場でいえば、そこに甘えるべきではない。むしろ終盤でこうした論点が見つかると、交渉の武器にされてしまうこともある。
M&Aアドバイザーが依頼してくる情報には、無駄なものはないのだ。面倒なことこそ、きっちりと早期に準備すべきである。
早期の段階で、原始定款・株主総会議事録・取締役会議事録・株式移動に関する領収書などの情報がもらえていると、「傷」があるかどうかがわかる。
早期に傷がどこにあるかがわかっていれば対策は立てやすい。
大事なことは、傷や弱いところをすべてさらけ出したうえで、対策を練る事だ。隠すと良い結果にはならない。
デューデリジェンスといって、弁護士や会計士が細かーく、チェックしてくるので、問題が隠されたまま見過ごされることはまずない。
また万が一、見過ごされたとしても、株式売却後にそれが発覚したら、大問題になる。大抵の場合は、株主がその損失分を補填することになる。
たとえば、会社売却をかぎつけた昔の縁戚などが、名義株にこぎつけて、自分も株をもっていると訴求してくると面倒である。
上記は一例だが、きちんと売却したい場合は、腹を決めて最初に抜け漏れなく準備をすることをおススメする。
「貴社をお迎えしたいと言っている、上場企業がいるので、一度話を聞いてほしい」などのM&A仲介者の甘言に乗って、ヌルヌル進めてはならない。
こうした話は大抵嘘であるし(「貴社指名」の話ではなく、M&A仲介者が、勝手に買い手企業の名前を使っているだけの事が大半)、準備が中途半端だとどこかで足元をすくわれるからである。
甘い話はないのだ。
M&Aを検討する場合は、面倒であったとしても時間をかけて準備をすることをおススメする。
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