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「イルカを釣った少年」



札幌に住んでいる次姉から、連絡があった。


「◯◯さん家のお爺さんが仔熊に襲われそうになったんだべ、もう大変だベァ」


札幌クマ騒動。


どんなに小さな熊でも恐怖感を覚える。


今回は、「熊」で思い出した不思議な体験についてのお話しでございます。




おにぎりの具は、鮭だった。



釣りにもジンクスがある。


不思議なことに、梅おにぎりを持っていくと、魚影との縁が無い。



幼少期、釣りを教えてくれたのは、幼馴染のお父さんだった。



おじさんは年に1度、支笏湖へ誘ってくれた。



その時の支笏湖の星空は、まるで夢のような美しさだった。



今年も魚が釣れた。



支笏湖での唯一の楽しみは、近隣にあるキノコ王国のキノコ汁だ。



最高に美味しい。



18歳で運転免許を取得した。



車を買った。



パワステも
パワーウインドウも
エアコンも
カーナビも
カーステレオも
けんうっども
かろっつてりあも
何もなかった。



私の標準装備は、幼馴染だけ。



運転をする様になってからは、フィールドが広がった。



幻の魚「イトウ」を求めて旅に出た。



カーナビがない時代、青看板を頼りながら湖を目指した。



目的地の湖についた。



藪の奥に釣れそうな場所を発見した。



立入禁止の看板があったが、無視を決めコソコソしながら釣りの準備をした。



立入禁止エリアの奥へと入っていった。



藪の奥では、野焼きが行われていた。



幼馴染は風下へ、私は風上へ移動し、釣りを楽しんだ。



仔熊がこちらに近づいてきたが、追い払った。



暫くして、立入禁止の看板前で、屈強な男どもが仁王立ちをしていた。



黄色い車の横にいたのは北海道開発局の職員だった。



パトカーも待機しており、お巡りさんから聴取され、持ち物検査を受けた。



「この場から立ち去りなさい」と注意を受け、退却した。



私の質問には全て無視を決め込む、お巡りさん。



嫌な予感がした。



他の釣り場所へ移動するため、一旦セイコーマートへ避難した。



車内で作成会議を行った、と同時に幼馴染の様子が急変していった。




満面の笑みである。



彼は釣れたマスを「イルカが釣れた」と全身で歓喜していた。



今度は、語り出した。



「湖から凄い物を見つけてしまった、見てくれ、これが天の羽衣だ!」と、汚いゴミ袋を見せてくれた。



そして、近くに現れた仔熊を見て「親父が迎えに来ていた」と口にしていたのです。



驚きながらも、私はこれを冗談だと思い爆笑していた。



指でプリンを食べたり異様な行動を続けた。



病院へ連れて行こうと思っていた約30分後、元の姿に戻った。



水を飲ませ、様子を見守った。



強烈な睡魔が襲ってきたので2人で仮眠をとった。



彼は何が起こったのか所々理解できずにいた。



「自生し枯れた大麻を焼いている」とセイコーマートのオーナーが教えてくれた。



実は中枢神経をやられており、彼の異常な言動は一時的なものであった。


これらの不可解な出来事が繋がり、私たちを取り巻く壮大な謎が解き明かされることとなった。



恐るべし薬物。



イルカが釣れてもおかしくないね。
私の中で最高の鉄板ネタは「天の羽衣」の話しでございます。





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