#03.言葉を交わすことなく生まれた信頼と安心感
こんにちは。るしあ昌です☺
様々な記事があるなかでこのページをご訪問いただき、誠にありがとうございます。このつながりに、心から感謝いたします。
皆さんは心療内科に受診したり、カウンセリングを受けたりしたことはありますか。カウンセリングというと、基本的にはクライアトがカウンセラーに話をすることが主だと思いますが、話をしなくても、「あぁ、受けててよかったな」と思えることもあるんだな、というお話です。
これは、中学1年の時にお世話になった(その頃については、こちら『自己紹介』)、こども専門の心療病院でのことです。
車で1時間ほどかけてたどり着いたその病院は個人病院で、こじんまりとした雰囲気をしていました。時間の流れも穏やかです。
待合室には、プレーリードッグがいました。一切気が進まなかった病院での、唯一の癒しです。私がプレーリードッグという動物を初めて知ったのが、ここでした。
病院ではまず、数ページにわたる質問事項(おそらく、エゴグラム)に答えます。それからしばらくして、病院スタッフに呼ばれ、両親とともに院長先生の部屋に入りました。
机に座り、カルテのようなものを広げていた先生は、どちらかというと小柄で、少しふっくらとしていて、髪の毛は黒色で、眼鏡を掛けていたような、いなかったような、そんな姿をしていました。最初の印象は、「この先生、暗そうだなあ」です。自分のことは棚に上げて、「なんだか人付き合い悪そうな、根暗な人だ」と思いました。
当時の私は、すべてが敵で、すべてが自分を傷つけると思っていました。
そんなこともあり、受け答えは基本、父か母がしていました。
私はというと、ソファーに座った後はずっとうつむき、先生からの質問に答えることはしませんでした。うなずいたり、首を振るくらいはしてたかな。それどころか、先生を見る時は、かなり睨んでいたと思います。今思うと、先生には申し訳ないですね。こんな子を相手にするって、大変。苦笑
親を含めて話した後は、私と先生のふたりだけの時間になります。
「ここからの時間ですが、話したければ話せばいいし、話したくなければ、話さなくてもいいですからね。ここで話すことは、親にも先生にも、誰にも言わないので安心してください。あなたと私だけの秘密です。それは必ず、守ります。
他にも、もし体を動かしたいと思ったら、部屋の中を歩いてもいいですし、あそこに置いているゲームの中でやりたいものがあったら、やっても構いません。好きなことをしてください」
「でもね、ひとつだけ、先生と約束をしてほしいんです。時計の長い針が〇〇分を指すまでは、話すことが何もなくても、ここにいてほしいんです。それが、先生との約束です。その間に話したいと思うことがあれば、話してくれればいいし、話したくなければ、時間が来たら、そのままこの部屋を出て行っていいですからね」
15分程度だったと思います。
私はずっと下を向いて黙ったまま。
私がしゃべらないということは、先生もしゃべりません。
ソファーに座り、時計の針が過ぎるのだけを待ち、時間になったら、私は部屋を去りました。一応、頭は下げて、出て行ったかな、多分。
2週間後、先生はまた同じ説明をし、私は黙ったまま、ソファにじっと座っています。そしてやはり、最後まで話すことはなく、先生との時間は終わりました。
その次も、その次も、その次も・・・。
しかし、これが不思議なもので、いつからかは分からないのですが、
あぁ、この先生は、私が永遠に話さなかったとしても、それでも待ち続けるんだろうなぁ・・・。
と、感じるようになりました。
そして、少しずつ、
この人・・・・・・・・・・敵じゃないかもなぁ。
多分、私のことを、傷つけない気がする・・・・・・。
と思うようになります。
数か月後、私は児童相談所へ移りますが、それまでの間、先生と会話をすることは一度もありませんでした。
それでも、確かに、変わりました。完全に敵だと警戒していた先生に、最後は安心感と信頼を静かに抱いていました。今の私が思う先生の印象は、「じんわりと暖かい人」です。
言葉は交わさなくとも、同じ空間にいるだけでも伝わることがたくさんあるんでしょうね。
その後も数名の方にカウンセリングをしていただきましたが、今でも、この先生に診てもらったことが一番大きかったなと感じています。
あの先生、実はすごい人だったんだなぁ。何よりも、こころを閉ざした子どもたちを診るっていうこと自体、尊敬します。県内で一番有名な小児心療内科の先生だったそうですが、なんか、納得です。
ではでは、今日も素敵な一日を☆
どろん!
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