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韓国美術館06.国立現代美術館ソウル館~龍雲と宗親府の建物も~

 先日、韓国の国立現代美術館に行ってきました。

 2013年11月にオープンした国立現代美術館ソウル館は、ソウル市鍾路区(종로구)に位置します。現代美術作品やメディアアートを扱った展示室をはじめ、デジタル情報室、マルチメディアホール、セミナー室、映画館などの多様な文化施設を備えた複合芸術文化センターです。

 周辺には、朝鮮時代の宮殿だった景福宮(경복궁)や昌徳宮(창덕궁)など歴史的文化遺産があります。また、伝統工芸品店やギャラリーが軒を連ねる仁寺洞(인사동)、韓国の伝統家屋が立ち並ぶノスタルジックな北村韓屋村(북촌한옥마을)も徒歩圏内にあり、外国人観光客には人気の観光エリアです。

 過去と現在と未来をつなげ、ソウルの都心から芸術を世界に発信する役割を担う国立現代美術館。

 特に現代アートに興味がある方は、一度は訪れたい美術館です。



国立現代美術館(ソウル館)

◆アクセスと観覧

 最寄り駅は地下鉄3号線安国駅(안국역)で、1番出口からは徒歩12分、5号線の光化門駅(광화문역)からは2番出口を出て徒歩17分で到着します。

※国立現代美術館はソウル館以外に、京畿道の果川館(과천관)、ソウルの徳寿宮内にある徳寿宮館(덕수궁관)、忠清北道の清州館(청주관)があります。

 2022年現在、観覧する場合は事前予約が必要です。

 当日券もあるようですが、休日など混雑する日はすぐに売り切れてしまうようなので、前もってホームページで予約しておきましょう。

https://www.mmca.go.kr/jpn/


◆Hito Steyerl - A Sea of Data(히토 슈타이얼 - 데이터의 바다)

 この日まず観覧したのは、『Hito Steyerl - A Sea of Data(ヒト・シュタイエルーデータの海)』です。

 映像や音を使ったメディアアート作品が中心だったため写真はありませんが、代わりにガイドブックの解説を掲載いたします。

Hito Steyerl (1966, Germany) is one of the most influential media artists of today, conducting in-depth explorations of some of the most contentious social and cultural phenomena of today through her film and writing activities, including situations related to digital technology, global capitalism, and the pandemic. She is also a superlative visual artist, film director, critic, and writer who works in the realms of art, philosophy, and politics as she raises fascinating points about media, the image, and technology. She contributes writing to various media, including the platform "e-flux."

히토 슈타이얼(1966, 독일)은 디지털 기술, 글로벌 자본주의, 팬데믹 상황과 연관된 오늘날 가장 첨예한 사회, 문화적 현상을 작업과 저술 활동을 통해 심도 있게 탐구해오고 있는 동시대 가장 영향력 있는 미디어 작가이다. 또한 예술, 철학, 정치 영역을 넘나들며 미디어, 이미지, 기술에 관한 흥미로운 논점을 던져주는 시각예술가이자 영화감독, 뛰어난 비평가이자 저술가이기도 한다. 또한 그는 현재 "이플럭스"를 비롯한 다양한 매체, 학술지 및 미술 잡지에 글을 기고하고 있다.

ヒト・シュタイエル(1966、ドイツ)は、デジタル技術やグローバル資本主義、パンデミックなど大きな議論を呼ぶ昨今の社会・文化現象について、創作や執筆活動を通して深く探求する、現在最も影響力のあるメディア・アーティストです。芸術や哲学、政治の分野を越えて、メディア、イメージ、テクノロジーに関する興味深い論点を投げかける視覚芸術家であり、映画監督、優れた批評家、そして著述家でもあります。また現在の”e-flux”をはじめとする様々な媒体、学術誌および美術雑誌にも寄稿しています。

Exhibition Hito Steyerl - A Sea of Data ガイドブックより一部抜粋
(英語と韓国語は原文の儘引用、日本語は韓国語より翻訳)

"Hito Steyerl - A Sea of Data" at the National Museum of Modern and Contemporary Art, Korea (MMCA) is the artist's first solo exhibition in Asia, sharing 23 of her most representative works from her early video works in the 1990s, which took the form of film essays with a documentary quality such as "Germany and Identity" (1994) and "The Empty Centre" (1998) to her most recent video works reflecting on digital technology (including the internet, games, visual reality, robot engineering, and artificial intelligence) within its relationship to human beings. In particular, this exhibition will mark the first presentation of "Animal Spirits" (2002), a new work commissioned by MMCA.

아시아 최초로 국립현대미술관에서 열리는 개인전 ≪히토 슈타이얼 - 데이터의 바다≫는 <독일과 정체성>(1994)과 <비어 있는 중심>(1988)등 다큐멘터리적 성격을 지닌 필름 에세이 형식의 1990년대 초기 영상 작품에서부터 인터넷, 가상현실, 로봇 공학, 인공지능 등 디지털 기술 자체를 인간과 사회의 관계 속에서 재고하는 최근 영상 작업에 이르기까지 작가의 대표작 23점을 소개한다. 특히 이번 전시에서는 국립현대미술관 커미션 신작 <야성적 충동>(2022)이 최초로 공개된다.

国立現代美術館で開催するアジア初の個展『ヒト・シュタイエルーデータの海』では、『ドイツとアイデンティティ』(1994)と『空っぽの中心』(1998)などドキュメンタリー要素を持つフィルム・エッセイ形式の90年代初期映像作品から、インターネットや仮想現実、ロボット工学、人工知能などのデジタル技術を人間と社会の関係の中で再考する近年の映像作品に至るまで、作家の代表作23点を紹介します。特に今回の展示では、国立現代美術館コミッションの新作『野生的衝動』(2022)が初めて公開されます。

Hito Steyerl - A Sea of Data ガイドブックより一部抜粋
(英語と韓国語は原文の儘引用、日本語は韓国語より翻訳)


◆Watch and Chill 2.0: Streaming Senses(감각의 공간, 워치 앤 칠 2.9)

 次に『Watch and Chill』へ移動しました。

 この展示はオンライン展示と連動した国際プロジェクトです。興味のある方は、以下のサイトを参照ください。

"Watch and Chill"(https://watchandchill.kr/en/) is a subscription-based art streeming platform created by MMCA. Planned as a three-year project, Watch and Chill considers the online experience as its core, while experimenting with synching offline exhibitions and their on-scene engagements. After collaborating with Asian museums last year, its second season presents a partnership with institutions in the Middle East and Europe. Together with the Sharjah Art Foundation (SAF) in the United Arab Emirates and ArkDes (The Swedish Centre for Architecture and Design), MMCA jointly curated and carefully selected from each institution's media collection and the works of artists in each art community, to be streamed online and presented as internationally travelling exhibitions.

"워치 앤 칠" (https://watchandchill.kr)은 국립현대미술관이 3개년 프로젝트로 계획한 구독형 아트 스트리밍 프랫폼으로, 온라인 경험을 주축으로 연동된 오프라인 전시의 현장성에 관한 실험을 진행 중이다. 지난해 아시아 미술관과의 협업을 바탕으로, 올해 두 번째 시즌에서는 중동과 유럽미술 기관과의 파트너십을 이어간다. 아랍에미리트 샤르자미술재단 (SAF), 스웨덴 국립건축 디자인센터 아크데스 (ArkDes)와의 긴밀한 큐리토리얼 조율을 통해 각 기관의 미디어 소장품 및 지역 작가들의 작품을 선별했으며, 이를 온라인 플랫폼에 송출함과 동시에 물리적으로 구현하는 국제 순회전을 개최한다.  

"Watch and Chill"(https://watchandchill.kr) は、国立現代美術館が3ヵ年プロジェクトとして企画したサブスクリプション型アートストリーミング・プラットフォームで、オンライン体験を主軸に連動するオフライン展示の現場性の実験を行っています。昨年開催したアジアの美術館とのコラボを土台に、今年は第2弾として中東とヨーロッパにある芸術機関とパートナーシップを結びました。アラブ首長国連邦のシャルジャ芸術財団(SAF)、スウェーデン建築デザインセンター(ArkDes)との綿密な調整によって、各機関の所蔵品および作家の選別を行い、これらをオンラインプラットフォームに送ると同時に、物理的に具現化した国際巡回展示を開催します。

Watch and Chill 2.0: Streaming Senses ガイドブックより一部抜粋
(英語と韓国語は原文の儘引用、日本語は韓国語より翻訳)


◆MMCA Hyundai Moter Series 2022: Choe U-Ram[Littel Ark](현대차 시리즈 2022: 최우람[작은 방주])


 最後に観たのが、チェ・ウラム(최우람)氏の作品です。

 こちらの展示では写真撮影が可能でしたので、個人的に気に入った作品をいくつかご紹介いたします。

Since the early 1990s, Choe U-Ram (born 1970) has meticulously designed "anima-machines" that produce movement and narrative. Focusing on how human desires are projected onto technological advancement and evolution, the artist has tapped into the realms of social context, philosophy, and religion over the past 30 years, expanding the scope of his perspective to question the meaning of human existence and symbiosis.

최우람(1970)은 1990년대 초부터 현재까지 정교한 설계를 바탕으로 움직임과 서사를 가진 '기계생명체 (anima-machine)'를 제작해왔다. 놀라운 디테일로 살아 숨쉬는 듯한 기계생명체들을 만들고, 거기에 신화와 이야기를 곁들여 특유의 세계관을 창조했다. 기술 발전과 진화에 투영된 인간의 욕망에 주목해 온 작가의 관점은 지난 30여 년간 사회적 맥락, 철학, 종교 등의 영역을 아우르며 인간 실존과 공생의 의미에 관한 질문으로 확장되었다. 

チェ・ウラム(1970)は、1990年代初めから現在まで、精巧な設計を土台にした動きと叙事を持つ「機械生命体(anima-machine)」を製作してきました。驚くほどの緻密な作りによって息づくような機械生命体を生み出し、そこに神話と物語を添えることで独特の世界観を創造しました。技術の発展と進化に投影された人間の欲望に着目する作家の観点は、過去30年余り、社会的文脈や哲学、宗教などの分野を開拓しながら、人間の存在と共生の意味に対する問いへと発展していきます。

Watch and Chill 2.0: Streaming Senses ガイドブックより一部抜粋
(英語と韓国語は原文の儘引用、日本語は韓国語より翻訳)
<Cakra Lamp>
2013, metallic material, machinery, electronic device (CPU Board, moter, LED), 57x57x21cm(2)
<Drawing for the Design of 'One'>
2021-2022, acrylic on Korean traditional paper, 30x42cm(24)
<Drawing for the Design of 'Little Ark'>
2021-2022, acrylic on Korean traditional paper, 64x88cm(2)
<Drawing for the Design of 'Red'>
2021-2022, acrylic on Korean traditional paper, 64x88cm(2)
【上記作品の右下】
<Drawing for the Design of 'Red'>
2021-2022, acrylic on Korean traditional paper, 64x88cm
<One>
2020, metallic material, acrylic on soft Tyvek, moter, electronic device (custom CPU board, LED), 250x250x180cm
<Two Captains>
2022, recycled cardboard boxes, metallic material, 170x60x80cm, 177x70x70cm
<Anchor>
2022, resin, 24K gold leaf, stainless steel, 162x96x66cm
<Infinite Space>
2022, mirror, glass, metallic material, machinery, electronic device (CPU board, motor, LED), 196x96x66cm(2)


龍雲と宗親府(종친부)の敬近堂(경근당)と玉牒堂(옥첩당)


 美術館を巡りを終え、遅めの昼食にちょうど良さそうな場所を探す途中、久しぶりに龍を思わせる雲に出逢いました。

 この日の空は、秋晴れという言葉がふさわしいほどに透き通った青色をしていました。邪魔するものは何もない広大な青空を、身体をくねくねさせながら、優雅に飛び回ります。

 空を見上げながら歩いていると、宗親府(종친부)の敬近堂(경근당)と玉牒堂(옥첩당)に出ました。左の大きな建物が敬近堂、その奥にある小さな建物が玉牒堂です。

宗親府は、朝鮮時代の歴代王の系図と御真影(王の肖像画)を保管し、王と王妃の衣服を管理するとともに、宗親の間での紛糾などが起きた時に相談・監督を行っていた官庁です。1981年にチョンドク(正読)図書館へ移転しましたが、2013年に国立現代美術館が建てられた際に本来の位置へと移され、復元しました。キョングンダン(敬近堂)とオクチョプタン(玉牒堂)は、朝鮮時代における官衙(官庁・役所)建築の特徴を示しています。

現地案内板より(加筆あり)

(つづく)


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