見出し画像

【ワクワクするビジネス_No9~J3リーグの経営 FC今治】

野球もサッカーもリーグ戦が終盤戦となってきて、盛り上げっていますね!
野球もサッカーも好きな会計士のいとけんです。

今回は、Jリーグマネジメントカップ2020J3カテゴリー
優勝となったFC今治について特集してみます。

今治は2020年からJ3に参戦し、

初年度ながらマーケティング、経営戦略、財務状況の各分野で1位
経営効率分野で13位と3分野で1位を勝ち取り圧倒的な強さを見せ、

2位の鹿児島に13ポイント差をつけ、J3参戦初年度で初優勝を飾りました。
※合計140ポイントでした

FC今治の待望のJ3初年度は、感染症の影響で、
開幕戦から直前での延期から始まりました。

その後ようやく6月末に再開された開幕戦は、
アウェイもホームも無観客でのリモートマッチとなるなど、
全く予期せぬJ3デビューとなった2020年シーズンのスタートでした。


未曾有の状況で各クラブがBM面で苦戦を強いられる中、増収増益を達成

昨年度J3昇格というフィールドマネジメント(FM)面での好材料を
ビジネスマネジメント(BM)面へ生かすことができたと考えられます。

そして、この厳しいシーズンをホームタウン、サポーター、
協賛パートナーと共に乗り越え、
それぞれの繋がりはより強固となったと推察されます。

地域と共に歩むクラブの姿勢が表れたスタジアム建設計画など、
今後も相乗効果が期待できそうです。


JFL時代にはJ1の平均水準と変わらない60%超のスタジアム集客率
を記録していた今治においても
J3に昇格したシーズンでは集客率が2分の1以下に落ち込んでしまいましたが

それでもスタジアム集客率においてはJ3でトップの成績です。


コロナ禍の逆風はあれど、Jリーグを戦う今治を応援したい
というコアなファン・サポーター層の厚さを示す結果にもなっています。


加えて、今治をサポートしているのはファン・サポーターだけではなく、
多くの企業パートナーの存在も見逃せません。


J3トップクラスの売上高を支えるスポンサー収入は、
特定の責任企業を持たない地方のJ3クラブとしては際立った水準となっており、

ファン・サポーター同様にクラブの屋台骨を支える重要な存在となっています。

これは、FC今治の特徴な経営理念と、その経営理念員基づいた行動
の効果であるといえるのでないでしょうか。


今治では、2019年の春から、
スポンサーをパートナーという名称に変更しています。

これは従来型の広告宣伝モデルのスポンサーシップではなく、
課題解決型のパートナーシップを実践していく決意を意思表示したものです。

パートナーの経営課題は何か、クラブを使ってそれを解決する方法は無いか、
そして、パートナーと共に作り出せる価値は無いか、

といったことを地道に実践しています。


そして、サッカークラブでありながら、
そのような活動に邁進できるクラブスタッフのマインドセットを醸成しているのが、


「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」

という今治の企業理念です。

クラブHPでは、

「心の豊かさを大切にする社会とは、

売り上げ、資本金、GDPなどという目に見える資本ではなく、
知恵、信頼、共感など数字に表せない目に見えない資本を大切にする社会。

例えば目の前の利益よりステークスホルダーからの信頼を大切にする。」

と明記されています。

経済的にも人的にもリソースが限られている地方クラブにおいて、
目の前の利益よりも中長期的なステークホルダーからの信頼を
優先する行動
を取ることは非常にハードルが高く、

個人の意思だけで実践することは、ほぼ不可能と思われます。

しかし今治では、経営理念のレベルでそれを明記することで、
クラブ関係者全員がそのような行動を肯定できる
組織風土が醸成されていることこそが強みとなっています。


特に興味深いのは、サッカーやスポーツといった、
クラブのメインコンテンツに関する単語が一切含まれていないことです。

これはもちろん、サッカーやスポーツというコンテンツを
軽視しているということではなく、


よりその本質的な価値の部分で共感できる軸を、
クラブとして大切にしている
ということだと思われます。


そのような理念を掲げ、実践しているクラブだからこそ、

クラブの事業規模に関わらず多くの人や企業が集まり、
次世代につながる新しい価値を生み出していく
という循環を生み出していくことにもつながっていると考えられます。


ステークホルダーに認めてもらうためには何ができるか考え続けて、

フットボール以外の活動に、たとえ儲からなくても
理念に沿った活動であれば惜しまずリソースを使ってきたことが、

様々なクラブの可能性や価値を生み出すことにつながってきたそうです。


企業理念をしっかりと定めて、それに基づいて行動を継続していくことの
重要性を改めて認識することができますね!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?