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#9 学校のリアルな現状について

 မင်္ဂလာပါ။(ミンガラーバー)カウンゾーです。今回は私のボランティア先の学校のことや子どもたちの教育機会について書きたいと思います。

ボランティアで教える先生、給料は無し

 私が英語を教えているボランティア先は、簡易的な屋根とフェンスで囲われた教室と小さな校庭だけ、といった本当に小さな学校です。生徒は26人、年齢は最年少で4歳5歳ほど、最年長で14歳。全体的に小学生くらいの年齢の子供たちばかりで、カーテンの仕切りのみで3つの教室に分かれて学年別に勉強しています。
 学校は去年の7月にできたばかりで、2021年2月1日のクーデター以降にミャンマーからこちらに移ってきた先生などが子供たちに授業を教えています。様々なところから少しずつ寄付を集め、学校の運営費用に当ててきましたが、大きな額の支援を得られないため、先生たちは給料をもらえず、ボランティアで教えています。
 現在、先生は自分を含め7人(+美術の授業を担当してくれている非常勤の先生一人)ですが、去年の9月ごろには他に4人ほどいたそうです。しかし彼らは他で仕事を見つけ、学校には来なくなったそうです。とはいえ仕事を見つけるのは難しく今残っている先生たちも収入を得る手段がない中で子どもたちに授業を教えています。

26人の子どもたち

 学校ができた当時(2023年7月)は5人しかいなかった生徒。しかし、現在は26人の子どもたちが毎日お弁当を持って、自転車で、あるいは徒歩で通学しています。子どもたちの家は学校の近くで、放課後に周辺をバイクで走っていると遊んでいる生徒たちに声をかけられることもしばしば。
 去年の12月の時点では、生徒は31人だったそうです。しかし、2人がミャンマーへ帰国、3人は両親が仕事を探すために学校から遠い場所に引っ越したため通えなくなったそうです。タイ国境に暮らすミャンマー人を「難民」「移民」などとカテゴライズすることはなかなか難しいのですが、彼らの中でもIDカードを持っていない人たちにとっては、働いて稼ぐ手段を見つけることは困難です。
 生きていくためには働かなければなりませんが、安定した仕事を得られないが故にそれは時に子どもの教育機会を奪うことになってしまいます。ホストマザーからも、この地域にも学校にいけない子どもたちがたくさんいるという話を聞いて、ボランティアが何人いても足りないような、どうしたらいいんだ、と途方に暮れてしまうことが多々あります。

楽しい場所でありつづけてほしい

 現在は英語のクラスが週4になり、唯一授業がない火曜日にも私が個人的にビルマ語を教わりに行っているので、平日は毎日学校に行っています。子どもの平均年齢が低いというのもありますが、小さな教室では収まりきらないほどの彼らのエネルギーがこの学校には溢れています。
 
学校ではミャンマーのカリキュラムで教育が行われており、KGと呼ばれる幼稚園の過程が1年、その後はGrade1からGrade5(6歳から10歳)が初等教育、Grade6からGrade9(11歳から14歳)までが中等教育、Grade10からGrade12(15歳から17歳)までが高等教育となっています。
 教室は上記の通り3つに分かれていて、一番元気で騒がしいのがKG(幼稚園過程)の子どもたちのクラス。次に人数が多く歳の割にしっかりした子が揃っている初等教育の低学年クラス。そして私が受け持っている個別指導塾のような中等教育のクラス。元気が有り余って集中力がどこかに飛んでいき、先生の怒号が飛ぶこともしばしば。ですが、個人的にはそのくらいがちょうどいいんじゃないかと思います。

こどもたちのお弁当。朝登校したら机に置き、午前の授業を受けます。
そして11:30になったらお待ちかねの昼休み。
先生たちのある日のお昼ごはん。一番手前は、ကောက်ညှင်းကျည်တောက်(カウンニージータウッ=竹にもち米とココナッツを入れ、バナナの葉で蓋をして蒸して食べる)

 3つに分かれているといってもカーテンの仕切りしか無いので、昼休みになるとみんな自由に座ってごはんを食べます。先生たちのお昼ごはんは、自分たちのお金で食材を用意しなければならず、持ち寄って学校で作って食べます。時折、ビザが取れなくて海外にいけない知人の話やパスポートが取れない話など近況や不満(?)を共有したりしています。そういった時間を過ごすことは先生たちにとってもメンタルの面で大事だと思いますし、先生にとっても学校は重要な場所なのでは無いかと思います。

一人の生徒が撮ってくれました。奇跡的になんか上手そうな写真ですが、このခြင်းလုံး(チンロン=ミャンマーの伝統的な球技)は超高難易度です。昼休みは子どもたちとよくチンロンで遊んでます。

これから

 2月末に学校が終わり、学校は2ヶ月間(3月と4月)の夏休みに入ります。今ブログを書いているのが1月31日ですので、残すところあと1ヶ月です。残念ながら私は4月末にメーソートを離れる予定なので、5月から始まる新学期に参加することはできません。。
 2024年度は学校にとって、初めて新学期から1年間をスタートさせる年になります。2023年度は7月スタート、しかも生徒は当時5人。学校設立時の初期費用は、校長先生が自分の金目の物を売ってなんとか資金を貯めてまかなったそうです。その後、少しずつ寄付や集めて2023年度終えようとしていますが、また来年度も資金の面で課題は残っています。学校で使う水や電気代大家さんに払う土地代、そして何より先生たちの給料
 現実を見れば、一人の学生ボランティアにできることはそう多くはありません。しかし、残された約1ヶ月で少しでも学校のことを多く知り、発信していくことはできると考えています。メーソートにはたくさんの移民学校がありますが、その中でも認知度であったり支援の充実度に差はあります。私のボランティア先のように、全然知られていない、支援も少ない場所に光を当てて、少しでも多くの人に知ってもらうこと。それは、実際に現地で生活を共にしている自分だからこそできることであり、まずはそこからなんだと思います。
 少しでも多くの人にこのブログを読んでいただき、さらに広めていただけたら幸いです。それでは次のメーソート滞在日記もお楽しみに!

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このブログについて

 このブログは、任意団体Listening to Communities(LtoC)の紹介を通じて、現地ボランティアの機会を得た日本人の学生が書いています。LtoCは、タイ国境で暮らすミャンマーの土地を追われた人々や、弱い立場にある移民の人々を支援する団体です。日本の学生と現地をつなぐ教育・交流活動も行なっています。団体の詳細についてはこちらをご覧ください。

 LtoCでは皆様からいただいた寄付金で支援を行なっております。いただいたご寄付は、子どもたちの教育支援に大切に使わせていただきます。皆様からのご支援をお待ちしております。ぜひご協力をお願いいたします。


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