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展覧会レビュー:祝祭の呪物展 CURSED OBJECT FESTIVAL

──酎愛零が展覧会「祝祭の呪物展 CURSED OBJECT FESTIVAL」を鑑賞してレビューする話──



 どうも、霊感は零ではないはずの私です。


 今回は、ムーンハイツさんの記事で紹介された展覧会「祝祭の呪物展 CURSED OBJECT FESTIVAL」に行ってきました!


 こんなに面白そうな展示なのに、私としたことが、リサーチ漏れでした……反省。noteのつながりに感謝!(・∀・)


 今展覧会は、オカルトコレクターとしてその筋では名高い方々の提供であり、さらにすべての呪物が撮影可能という得難いチャンスでもあります。ふとっぱらー!(呪われるかもしれないので撮影は自己責任でお願いします)

 会場は、アート系ホテルとして知られるBnA-WALL(ビーエヌエーウォール) art hotel Tokyo。初めて訪れる場所ですけど、見た感じは配管むき出しの天井にピンクの照明、おしゃれなバーカウンターを備えたフロントを持つ、現代アート推しの意識高い系と申しましょうか。たぶんこんなイベントでもなければ一生縁のなさそうな所でした(・∀・)

 会期最終日なれども悪天候なら少しは空いているかもと思ったらそんなことはなく、かなりの盛況。整理券を渡されて1時間近くの待ち時間を言い渡され、フロントのカフェで待つか、時間になったら戻ってくるかの2択を迫られます。カフェが混んでいたので、ここは近くのお店で食事をしながら待つことに。

 時間が来ていよいよ呪物たちとご対面です。その前に……


閲覧注意!


 ガチの呪物画像が出てきます!私も猟奇的なことを口走ります!オカルトに敏感な方、気分の落ち込んでいる方、強いショックを受けたくない方、酎愛零におとなしい雰囲気を期待している方は閲覧をお控えください。ここから先は自己責任でおねがいします。










御札ふうの入場チケット。こういうアイテムを無意味に作ってそこらじゅうにばらまいて地元を恐怖と混乱におとしいれたい


 会場は地下にあります。
 いいですね〜雰囲気ありますねえ〜 


「祝祭の呪物展」だとちょっと語弊があるかも。

 そうですね、「祝祭の呪物」だと、お祝いごとに使われるもののような気がしますよね。たぶん祝うと呪うの漢字ヴィジュアル的相似をやりたかったんでしょうね。

 展示室は狭く、ひとり出ていったらひとり入場する方式。そして女性客と男性客の割合が8:2ぐらい。しかも私のようなぼっち女性客多し。これは安心!みんな呪いとかお好きなのね(*´ω`*)


アラかわいい!(人*´∀`)。*゚+


まあね……介護施設ならご高齢の方が多いでしょうからね……亡くなる方がそれなりにいるのm(それ以上 いけない)


 この子、私だけでなく、たくさんの方から、かわいいかわいいと大人気でした。でも、なにかしら感じるところがある人はいるんでしょうね……



ミャンマーから持ち出し禁止のネックレス。
持ち出し禁止の意味……


チーターの歯?


 言わずもがな、東南アジアにチーターが棲息していた記録はありません。ということは、インド以西との交易で手に入れたと考えるのが妥当な線。年代はいつ頃なのか?どのような呪いに用いられるのか?自分がかけるのか?相手にかけさせるのか?とりあえず炭素同位体測定してみたい!(ㆁωㆁ)



首狩り族の大酋長のみがかけることを許されるというネックレス

 この頭骨は、大きさ・眼窩の大きさ・眼窩上隆起・咬筋の付着する体積の少なさからいってサルのものです。人間の子供の頭骨とかではありませんのでご安心ください。


身につけると確定で呪いがかかり、同時に他からの呪いをオートガードするというシロモノ。便利なんだか厄介なんだか

 インドネシアのカリマンタン島といえば、人呼んで都会に住む首狩り族「ダヤック族(イバン族)」が有名なので、おそらく彼らのものでしょう。ちなみに彼らはガチの首狩り族なので安易に検索したりしないほうがよいと思います。呪いオートガード……ちょっと欲しいかも……



呪術師のメリケンサック。
まさかの物理。

 その大きさで拳を守り、サメの歯を埋め込んで殺傷力もばっちり。惜しむらくは尖った方を埋め込んでしまっていること。まあね?狙撃兵だってライフル以外に拳銃とかも持ってるしね?呪いが効かないからといって直接なぐりに来たりしないよね?


この人形は人間を操るためのものなんだって!(人*´∀`)。*゚+


黒魔術大国インドネシア。呪物いくらでも出てくる

 私なら手足の指も作るなー(全部へし折る用に)。ところで会場に「BLACK MAGIC エコエコアザラク」と背中にプリントされたTシャツを着用したガチ勢と思われる方がいらっしゃったのであとで調べてみます、エコエコアザラク


西アフリカ、ゲレ族のウォーマスク。
マスク……?

 明らかにかぶる用でしょ、これは。ジェスターズキャップみたいだし。

前見えるんかこれ

 ていうかこの説明が本当なら、戦場でまず真っ先に狙われますよね。ウォードラムとかバトルソングとかと同じということですから。敵のバフ担当は最初に始末する、これ鉄則。相当、後方にいるのか、それともこれ着けて敵陣めがけて突っ込んでいくのか。実際の使用法が気になる呪物ナンバーワンです。


オシラサマ。これは新しくつくったやつで、
いわくとかは無いらしい。

 オシラサマの伝承も、ひもといてみるとなかなかにおかしな話ですからね……なにかをオブラートに包んだ結果、ああいうお話になっているのだということは、勘の良い人ならおわかりかと思います。まあ昔話なんてたいていそのようなものかもしれませんけど。








ここから先は超・閲覧注意です!
引き返すなら今のうちです!











今展覧会イチの特級呪物認定品その1。説明がガチやば

 もうね、見た目からして(あっ、これやばいやつだ)とわかるやつです。胎児の形……おくるみのような包装……おまけにご丁寧にお菓子のお供物ときました。


おぞましい製法。しかもこれでもまだマイルドな方で、昔のクマントーンの作り方は凄惨の一言に尽きる。決して「クマントーン 作り方」とかで検索してはいけない

 ハーブって言ってもきっと爽やかミント系とかじゃないんでしょう?そこまでして富が欲しいのですかね……黒魔術よりなにより、人間の欲のほうがよほど恐ろしいという例ですね。


今展覧会イチの特級呪物認定品その2。
まあ仏教自体、お釈迦様の骨を神聖視しているから、こういうことやるんじゃないかとは思ったけど……

 カパーラとは!
 日本語で言えば「髑髏盃」!
 英語で言えば「Skull Cup」!

 ハイさすがの私もこれ以上説明する気が失せます。でもがんばる。
 チベット仏教では、僧侶の髑髏、つまり頭蓋骨を材料にして仏具カパーラを作る風習があり(もちろん本人同意の上)、高位の僧の頭蓋骨であればあるほど、仏具としての格も高くなるのだとか。そうしてできたカパーラの中には、日本で言う国宝級のものもあるそうです。信長もびっくりだよ。ちなみに頭頂部を下にした、おわんみたいな形のものが主流だそう。


他の液体じゃだめなんですかね。お茶とか。コーラとか。
あと砕いて成形とかじゃなくて丸のまま使ってるっぽいんですが

 正直、宗教もここまで来るとついていけないという感じですね……いったい誰がこれを最初に考えついたのか。どうやって使い方を決めたのか。どうやって効果を確かめたのか。きっといろいろな試行錯誤があったと思います。だからといって失敗したら替えはきかないですからね。頭蓋骨はひとり1コですから。ここにはそこはかとなくカニバリズムの系譜があるような気がします。もっと調べたい!








うわっ!!!
そんなオチかーい!щ(゜ロ゜щ)


 今、思い返すと、うさんくさい(?)ものから、けっこうガチめなものまでいろいろとありましたね。
 この手の展覧会を観て、好奇心のままに検索したりすると、衝撃を受けることが多々あります。これも自分の知らない世界を知るための機会であることはもちろん間違いないのですけれども、あまり人にはおすすめしないかな……

 ひとつ言えるのは、人はなぜ、呪いというものに惹かれるのか、それを強く思ったということです。因果関係が立証できず、再現性も不確か、それなのになぜ、黒魔術師という職業がなりたち、現在にいたるまで、それが受け継がれているのか。もちろん、今わかっていることだけがこの世界の真理というわけではなく、呪いや魔術は、いまだ私たちが知らないメカニズムを、不完全ながらも発見して利用しているということなのかもしれません。
 しかしそれ以上に、呪いや黒魔術といったものは、人間の隠していたい暗い欲望の、すぐ近くに位置しているのでは、と思うのです。聖なる祈りや、崇高な願いといったものからはほど遠い、ドロドロの欲望や私利私欲、敵意、嫉妬、厭悪といったもののすぐ近くにいて、力を貸してやるよと耳打ちする存在。以前は形を成さなかったその存在──恨みをこめて相手をにらみつける程度だった存在は、経験則や希望的観測によって繰り返され、あらゆるやり方を試し、しだいしだいに地域の文化や風習を取りこんだ何かとして形や色を帯びていき、今やひとつの権威としての姿を得るにいたっていると言ってもよいと思います。
 蛇足ですけど、来場者に女性が多かったのも、なんとなく見当はつきます。フフ……女の世界をみくびっちゃあいけませんよ……(✷‿✷)


 呪物からの声は聞こえてきません。思うに、呪物それ自体は鏡のようなもので、それを前にしたとき、聞こえてくるのは、自分が自分に問う声なのかもしれませんね。



 

 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 それでは、ごきげんよう。

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