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行ってみたい展覧会:春編

 美術館や博物館の展覧会はアートの花形。首都圏という立地を思う存分に利用させていただき、見聞を広めて感性を磨こうと思います。今回は春に行ってみたい展覧会、おすすめの展覧会ですわ!




■たばこ屋大百科 あの店頭とその向こう側

会場:たばこと塩の博物館
会期:2024年2月17日(土)〜4月7日(日)

 たばこを吸わないわたくしでも、直接の記憶にいわゆる「角のタバコ屋」というものはございます。なんなら今でも市中に健在です。でもこれって日本全国こんな感じだったのでしょうか?この謎を解くには、やはりたばこの専売制に斬り込まなければならないでしょう。
 大正ロマン、昭和レトロが大好きなわたくしが、“売る側の視点”から、かの時代の空気を俯瞰してまいります。


■『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本

会場:板橋区立美術館
会期:2024年3月2日(土)〜4月14日(日)

 今年はアンドレ・ブルトンが「シュルレアリスム宣言」を発表して100年となる記念の年。フランスで誕生し、あらゆる芸術に衝撃と影響を及ぼした芸術運動「シュルレアリスム超現実主義」は、当時の日本の画家たちをも魅了します。
 この日本の画家の中でわたくしが注目しているのは、現在新宿のSONPO美術館に数多くの作品が収蔵されている東郷青児と、残されたその作品数も少なく生前は「異端の画家」とも呼ばれた靉光あいみつ。方や二科会(日本の美術団体のひとつ)のドン、かたや戦地に送られ故郷の土を踏むことなく病没した夭逝の画家。
 戦時中にシュルレアリスムは危険思想として監視の対象となったのはなぜなのか。戦中、戦後を生き抜いた超現実主義の画家たちの軌跡をひもときます。


■花・flower・華 2024 ─奥村土牛の桜・福田平八郎の牡丹・梅原龍三郎のばら─

会場:山種美術館
会期:2024年3月9日(土)〜5月6日(月)

 百花繚乱。生命が萌えいづる春に、その名にふさわしい花の名品が一堂に会します。
 花鳥風月の先陣を切るのは花。自然豊かな日本列島で、古来から日本人の心を魅了していた四季折々の花々は、画家たちにとっても魅力的な題材です。奥村土牛の「醍醐」の重ね塗り、福田平八郎の「牡丹」に見られる裏彩色などの技術をはじめとした、画家それぞれの個性を楽しみましょう!春爛漫、花の季節の到来ですわ!


■春の江戸絵画まつり ほとけの国の美術

会場:府中市美術館
会期:2024年3月9日(土)〜5月6日(月)

「仏教美術」ではなく「ほとけの国の美術」と銘打った展覧会です。つまりどういうことですの?
 それは仏像や仏画などのガチガチの仏教美術ではなく、仏教がなければ存在しえなかった──仏教がもたらし、派生していった文化がなければ存在しえなかった「ほとけの国」の美術ということなのですね。伊藤若冲、円山応挙、長沢蘆雪、曾我蕭白、白隠禅師……「仏教」をキーワードにした美術・文化の広がりを追いかけます。個人的には地獄の事細かな描写に興味がありますわ!


■“オモシロイフク”大図鑑

会場:文化学園服飾博物館
会期:2024年3月11日(月)~6月22日(土)

 衣食住の「衣」。食べるもの、住む所と同じかそれ以上に必要な「衣服」ですけれども、当たり前すぎてそれがどんな意味を持つのか、どこから来たのかなど、わからないことだらけなのも確かです。
 国や地域が違えば、身にまとう衣服も異なるのは当たり前。わたくしたちのまだ知らない「当たり前」を探しに行きましょう!


■昭和モダン✕百段階段~東京モダンガールライフ~

会場:ホテル雅叙園東京
会期:2024年3月23日(土)~6月16日(日)

 大正ロマン、昭和レトロが大好きなわたくしが行きたい展覧会の大本命。モダンガールとは、大正末期から昭和初期にかけて現れた近代的なライフスタイルを送る女性たちのこと。略してモガですわね。その“モガ”たちが享受した、当時の都市文化──最新の香水や化粧品、お酒を嗜んだバー、大正デカダンスの文学作品──活動的でありながら少し退廃的なムードも漂う帝都「モダン東京」の世界へダイブします。デカダン!大好きな響きですわ!


■江戸東京博物館コレクション~江戸東京のくらしと乗り物~

会場:江戸東京たてもの園
会期:2024年3月23日(土)~7月7日(日)

 江戸から東京へ。移り変わる時代とともに、都市の乗り物も、その時代を写す鏡のように変遷していきました。乗り物に乗る人の他にも、乗り物を作る人・乗り物を動かす人・乗り物で生活している人など、時代によってその生き様も移り変わってゆきます。
 乗り物の歴史は、文化の歴史の鏡写し。過去から現在を学び、未来の乗り物の着地点を見つめます。


■月岡芳年 月百姿

会場:太田記念美術館
会期:2024年4月3日(水)〜5月26日(日)
※ 前後期で全点展示替え

 月岡芳年つきおかよしとしは、幕末から明治前半にかけて活躍した浮世絵師。かの歌川国芳の直系の弟子で、この系譜は彼の後に水野年方→鏑木清方と続いていくこととなります。月岡芳年といえば「奥州安達が原ひとつ家の図」などの凄惨な無惨絵のイメージがついている方もいらっしゃるでしょう。わたくしも初めてあれを見た時はギャーってなりましたから。しかし芳年の画業はむしろ劇画調の武者絵や歴史絵、色っぽくもみずみずしい美人画などが多く、そのギャップに驚かされます。
 月岡芳年が描く「月百姿つきひゃくし」100点が、前期と後期に分けて全点紹介される貴重な機会。名前に月の字が入り、神経衰弱を患っていたという彼が、月をテーマに100点もの作品を作る……どことなく厨二的なそのイメージは、はたして真実か?!


■テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本

会場:パナソニック汐留美術館
会期:2024年4月6日(土)~6月9日(日)

 日本と古代ローマの共通点、公共浴場(テルマエ)。高い建築土木技術で作られたテルマエとお風呂文化を中心に、古代ローマの人々の生活を紹介する展覧会ですわ。いわゆる「お湯に浸かる」文化圏というものはどれくらいあるのでしょうか?古代ローマ帝国であれば、征服した地でテルマエを作っていたはず。その文化がどれだけ痕跡を留めているか、そして古代ローマ以外でお湯に浸かる文化を持つ所はどれだけあったのか。
 絵画、彫刻、再現展示を通して、古代ローマと日本の公衆浴場に時間の旅へ。




 以上、この春に観たい展覧会でした。はたしていくつ行けるでしょうか?春は本格的な花の季節ですので、どうしても展覧会の優先順位は下がりがち。行くなら厳選、ですわね。
 お出かけするにもまだまだコートとマフラーと手袋が手放せない日々ですわ。風と仲が悪いわたくしにとって、冬のからっ風は天敵。早く暖かい季節になぁーれ!✧⁠◝⁠(⁠⁰⁠▿⁠⁰⁠)⁠◜⁠✧

 

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酎 愛零(ちゅう あいれい)
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