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もしも100年前にワイドショーがあったら【新考察 鬼滅の刃 大正鬼殺伝奇考】金谷俊一郎著

「まるで明治、大正時代のワイドショーや
週刊誌を見ているみたい」

日本史の授業ではなかなか出てこないであろう
「大正時代の闇」について詳しく解説。

同じ歴史の本でも、
大学教授が書いた鬼滅の日本史とは
切り口が全く違います。

「新考察 鬼滅の刃 大正鬼殺伝奇考」の著者は
予備校で日本史の授業をやっている講師。

「約100年前の人も大変だったんだなぁ」と
思いを馳せながら読みました。


・「千里眼」と「陰謀論」

原作中の「透き通る世界」と関連して
千里眼について紹介。

千里眼とは、遠隔地を見る能力や透視能力。
その能力を持っていた御船千鶴子が
話題になりました。
千鶴子が患者の体内を透視して治療。

催眠術を研究していた
東京帝国大学の助教授、福来友吉が介入。
公開透視実験も行われました。

その後は千鶴子など千里眼を持った人たちが
亡くなったこともあり、
大正時代に入ったら
話題にならなくなったそうです。

「なぜ話題になったんだろう?」

その背景に明治時代に入ってから
「迷信だから」ということで、
催眠術や民間信仰が禁止されたことがあります。
国から否定された人たちが、
科学的アプローチで迫ることを求めていました。

現代に当てはめて考えてみました。

最近ネット上で見かけるのは「陰謀論」

ダイヤモンドオンライン
わかりやすい記事を見つけました。

「世界は秘密結社によって支配されている」
「あの政治家は人類を滅亡させるために
地球に送り込まれた宇宙人」など、
世の中にはさまざまな“陰謀論”があふれている。

ダイヤモンドオンライン 「コロナ禍で「陰謀論にハマる人」が増えている、納得の理由とは」より

千里眼の内容を読んでいるときに、
陰謀論について頭に浮かびました。

明治時代に流行った千里眼も、
大正時代に消えているのを見ると、
今言われている陰謀論も、
ある程度時間が経ったら
同じ運命を辿りそうと感じました。

陰謀論を信じたくなったら、
千里眼について思い出すといいかもしれません。

・国産の医薬品が登場

ファイザーなど海外のメーカーもありますが、
武田薬品、第一三共など
国内メーカーもたくさんあります。

2019年の時点で、286社はあるそうです。
(日本製薬工業協会より)

国内の製薬メーカーができたのは第一世界大戦中。

・ドイツ製の医薬品が輸入できなくなった。
・海運、造船業などで戦争特需を受けて、財を成した人が製薬事業へ投資した。

1916年に、染料医薬品製造症例法と言う
医薬品の製造を促す法律ができました。

「講義でやってた?」と薬学部出身の私。
悲しいかな、全然記憶にありません。

当時は自分の専門分野のはずなのに、
歴史を学ぼうと思っていませんでした。
恥ずかしながら知りませんでした。
これを機に勉強し直します。

・今も当時も共通する格差社会

時代背景も、制度の違いはあるけど、
少数の豊かな人と大多数の貧しい人と言う構図は
変わらないようです。

少なくとも大正時代から戦後まで、
今までのやり方で通用しないくらい
世界が変わっていってることに気づきました。

今後数十年間は何が起こっても不思議じゃないと
覚悟したほうが良さそうだと実感。

○大正時代

第一次世界大戦によって、
海運、造船業、鉄鋼業を中心に特需。

成金と呼ばれる
急にお金持ちになる人が登場しました。

※成金とは
将棋で歩→金になることをなぞらえて呼ばれた。

一方、一般庶民はその恩恵を受けませんでした。
農村部の人々の多くは小作農。
都市部の貧民層も、不足する労働力確保のために、
低賃金で過酷な労働を強いられてきました。

○現代

インターネットなどIT技術の発達により、
「億り人」、トップクラスのYouTuberなど
短時間で豊かになる人が登場。

一方で
日本全国に広がる若者の貧困の問題もあります。
正社員と非正規雇用、派遣社員の格差も存在。

少子化が問題になって久しいですが、
「結婚して子どもを産みたくても産めない」状況。

・感想

現代と時代背景の違う100年前。
第一次世界大戦はあったし、
インターネットもスマホも登場するのは大分先。
ちょうど選挙前ですが、
女性が選挙に行けませんでした。

こんなに時代背景が違うのに、
「あれ、今の時代と似てる?」と驚き。

私たちが何も行動を起こさなければ、
そのまま戦争に突入してもおかしくないと
恐怖を感じました。

昨日、安倍元首相が演説中に銃撃されるという
痛ましい事件が起こりました。
彼の考えに対して、
賛同する人、そうでない人様々でしょう。

だからと言って、
「気に入らないから暴力で訴える」やり方は
到底受け入れられるものではありません。

私はこのニュースの前に
期日前投票を済ませていましたが、
「暴力は許さない」と言う意志を示すためにも
投票に行こうと伝えたいです。

以上、ちえでした。
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