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【読書】 死は存在しない(と,,,火の鳥)

友人に勧められて「死は存在しない  最先端量子科学が示す新たな仮説」(田坂広志著)を読んだ。とても読みやすいし、(著者には大変失礼だが)読み飛ばせる箇所も多いので、一日くらいあれば読めます。。

実は、難しいという声があったのですが、僕はかなりすんなり理解できました。その理由は後述します。

さて誤解を恐れずに、田坂氏の仮説の、まず前段を要約すると、

・現代世界での唯物論的な「物質」、会話等を含むすべての「情報」、そして我々の「意識」は、量子力学的にはすべて波動エネルギーである 

・もし波動エネルギーが減衰しなければ、すべての情報、過去の出来事は消えずに保存することが可能(=記録) 

・宇宙の量子真空内ではエネルギーは減衰しないため、つまり宇宙が生まれてから(量子真空→インフレーション→ビッグバン)から今現在までのすべての情報が記録(=記憶)されている。

上記要約したのは僕です。。。

宇宙に普遍的に存在する量子真空に「ゼロポイント・フィールド」と呼ばれる場があり、(上記の理屈により)この宇宙のすべての出来事のすべての情報が記録されているという仮説を、田坂氏は提唱している。

これだけ読むと、「何言ってんだ?」なんだけれども、実は要約した上記3ぽつの内容は、どれも僕には、かなりの納得感が実はある。
言われてみると確かにそうだよね、という感じです。

例えば、アマチュア無線の交信が、非常にわかりやすい事例として書かれています。


無線は電波さえ届けば地球の裏側にも声が届く。しかし地球上では電波という波動エネルギーは減衰するため必ずその情報はいつか消える。
しかしエネルギーが減衰せず、時間という観念がなければ、「声」という情報(=ヒトの意識)は、波動情報として飛び交い続けることが可能であり、周波数を合わせればいつでも取り出せる。
また、「過去」と「現代」を区別することもできなくなる。
※人工的なメディアへの記録保存とは全く異なる概念


ゼロポイント・フィールドに、我々が繋がることができれば、未来を含むあらゆる情報とも繋がる(=検索する)こともできるらしい。つまりゼロポイント・フィールドというすべての叡智が保存されているという概念こそ、唯物論的に解明できない超自然的な現象、天や神という存在に他ならないというのが田坂氏の考えである。
直感・以心伝心・予感・予知・シンクロニシティ・臨死体験・霊媒・前世の記憶といった説明できない現象も説明できると。

もちろん現代世界の表層的な自己意識では、ゼロポイント・フィールド(長いのでZPFと以下略す)には繋がれないが、我々の深層意識で繋がるための鍛錬方法はあり、それが宗教だったり、祈り・瞑想・ヨーガという心の技法だという。

逆にいうと時空を超えたZPFに、深層自己意識を繋げることや、また、現代世界で死が訪れても、我々の意識は肉体を離れ、深層意識としてZPFに移るため、「死」という概念は意識として存在しないというのが結論だ。

ちなみに自己表層意識(つまり自我)はZPFで徐々に消えるとされていて、深層意識は他の深層意識(故人だけでなく、ありとあらゆる生命の意識)と繋がることもでき、大きな上位概念である宇宙意識と融合する。逢いたい故人の自我はないがイメージは残っているので、検索すれば逢えるということまで書かれている。。。

これ、頭おかしいと思われるかも知れないけど、とても面白くないですか?

そして田坂氏は物理学や宗教の考え方を引用しながら説明してくれていますが、実はこれよりも、同じことを確信的に表現していた天才がいます!

手塚治虫 「火の鳥」 です!

火の鳥は、宇宙意識のメタファーであり、田坂氏がいうZPFそのものですね、おそらく。

実は、火の鳥を読んだのが中学〜大学の頃なのですが、読んでいて非常〜〜に印象に残っているので、ZPFの話を読んでも突飛な印象は受けなかったのは火の鳥の概念があったからです。

ZPFを意識しつつ、再読しようと思います。
ZPFに関して、火の鳥のほうが直感的に分かりやすいような気もする。
再読楽しみ。。。


さて、田坂氏の著作を読んで、いくつか疑問が生じました。
せっかくなので3つ整理してみました。
著作を読んだ方と意見交換できると嬉しいと思いつつ。。

疑問1

●もし宇宙意識が存在し、(量子真空から生まれた)現代世界の人間含めたすべての生命の意識や生命活動が、ゼロポイント・フィールドに還るとすると、そもそも何故「個別の意識」という存在があるのか?
えーと、つまり「我々の存在意義」「存在価値」ってあるのだろうか?
現代世界の争いや自然破壊や、悩みや苦しみは、なぜ存在するのか?
だって、現代世界という「唯物論的表層世界が一瞬の存在」ならば、宇宙意識にとって、この今の世界は何を意味しているのだろう?

 →実は手塚治虫はひとつの見解(答え?)を示していた(と記憶)
その見解は、宇宙意識自体が自身の存在を説いていて、我々の現代世界はそれを確認するための宇宙意識による実験である。

疑問2

●現代科学、特に物理学は唯物論をベースとしており、理論はあるが解明(証明)されてないない事象は山程ある。特にそもそも我々人類の叡智を結集しても、全宇宙の4%の物質(バリオン)しか理解できていない。残りの23%がダークマターと呼ばれる未知の暗黒物質、そして残りの73%が未知のダークエネルギー。つまり宇宙の96%について我々は(というか専門家でさえも)存在すら確かめられていないわけです。
田坂氏は、ダークマターとダークエネルギーのことを知らないわけないが、著作の中では意図的に一度も触れていないのは何故だろう?

 →この事実とZPFの仮説の関係が分かりやすいと、更に納得感あるのに。
ただ、分からないことだらけだからこそZPF仮説も信憑性がある。
 ※火の鳥のことも著者はご存知のハズだが、触れていないのは残念。

●田坂氏は、ZPFには未来も記憶されているとしている。物理学として時間観念である「過去、現代、未来」という概念は曖昧であることは理解しているが(アインシュタインが言っている)、未来が記憶されているということは、記憶されている未来が変わらないということにならないか?
氏自身も、
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システムの片隅のちいさな「ゆらぎ」が、そのシステムの進化の未来を決めてしまう。
偶然に起こる小さな変化によって、未来は大きく変わってしまう
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と認識されているので、「未来が記憶されている」という仕組みが理解できなかった。禅問答的なことなのだろうか?


ちなみに著作の中で度々引用されていたSF映画が、2001年宇宙の旅、インターステラー、herの3作品で、これはどれも大好きな映画であり、素晴らしい脚本である。この映画作品を好きで、かつ火の鳥を読んだことがある方ならば、田坂氏の言いたいことは、ほぼ理解できると思う。

あと、ZPFが存在し、将来的にそこに融合できると思うと、死ぬのは怖くなくなる。一体、どんな世界なんだろうと創造してしまう。
死んで万物のすべての叡智に直結できるなんて、楽しみでしかないかも。
2023.2.5(2.6/2.7一部改変)


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