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喧嘩あんどん祭りでSDGsを!

 北海道のおよそ中央部に位置する沼田町という人口がわずか3,000人に満たない町がある。冬は雪の多い町ではあるが、夏にはその短さを楽しむかのように五穀豊穣を祈る「夜高あんどん」という祭りがある。北海道では唯一、互いの山車をぶつけあう「喧嘩あんどん」であり、二日間の祭りには町民の何倍もの人が押し寄せるそうだ。コロナ禍のために今年3年ぶりに開催された。
 祭りの模様はYouTubeでLIVE配信もされたために、九州に住む私も赤々と輝く山車どうしが激しくぶつかり合う様子を現地で見ているような感覚で見物できた。3箇月もかけて作ったあんどんを当日の祭りで惜しげもなくぶつけて壊す。そんな粋な祭りである。
IT技術の進展によりSNS等、昔ならば考えられなかった交流が出来る時代である。私も町の人とLINEにより、たくさんのことを教えてもらった。GoogleMapでも町の景色を見ているので、既に第二の故郷のようだ。
なおYouTubeの中には、あんどんを三ヶ月かけて町の人が作る工程を解説してくれる動画もあった。
竹を細く裂きフレームを作る。
フレーム内部に光源を設置する。
和紙をそれぞれの形に切り、フレームに糊で貼る。
溶かした蝋で下絵を描く。
絵の具で和紙に彩色を施す。
蝋は絵の具を弾くので、内部に埋め込まれた光源を点けると綺麗な線画が透けて現れて幻想的な図柄が鮮やかになる。
製作作業には大人だけでなく、小学校、中学校の生徒たちも参加している。大人から子供たちへあんどんの作り方が伝承されているのが分かる。

SDGsの目標はどれもが重要であることに間違いはないが、全ての項目を推進するためにはその根幹となる「人と人との繋がり」が最も重要だ。
小さな町では大変なことも多いと思うが、逆に小さな町だからこそ、人と人の繋がりが強いのだと感じる。
祭りの準備を皆で一緒に行うことで町の人たちが協力してひとつになる。IT技術の進歩は私たちの暮らしを一変し、離れた人とコミュニケーションを取れることになった。しかし、その反面で、会って話すという機会が減ることで繋がりが希薄となっていることもあるだろう。近年になって孤独感から不条理な事件も多い。
「文明技術と文化継承のどっちが大切か?」という議論もなされるが、結論はどっちも大事ということだろう。それこそ物事の持続を重視するSDGsに繋がっていく考え方だと思う。

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