午前3時と午後八時の夏
銀色に輝く月がみたかったんだけど、こたびの晩は幾重かに薄い幕が張ったようなまた円でも欠けでもない風流と言えば風流なような
(わたしの記憶では琳派のような美しさであったがだれもそんなこと気にもとめない様子で実はそこに驚いてしまう)
翔子はその月が、まだ暮れきっていないのかとおぼしき闇いろの間から明るい闇いろがそこだけ透明感のあるコバルトブルー色になっていて
対比かのように金色ジャガイモスライスをカラリと上げたあの菓子のようなそれでいて明日はあめなのかと気をもまさんばかりのうす