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習慣の力

【驚愕の科学】人生を劇的に変える「習慣の力」。

アルコール依存症が克服できたのも、売れなかった「ファブリーズ」がヒット商品になったのも、すべて「習慣の力」によるものです。

私たちの行動の約40%は習慣で成り立っています。

本書では、科学的に解明された習慣の仕組みを紐解き、良い習慣を身につけて悪い習慣を減らすための秘訣を伝授します。





全行動の4割が習慣

私たちの生活はすべて、習慣の集まりにすぎない。
一つ一つの習慣はそれほど重要ではない。
しかし長期的に見ると、食事で何を注文するか、毎晩子供たちに何を言うか、お金を貯めるか使うか、運動をどれくらいするか、どんな手順で仕事をしているかといったことが、その人の健康や効率、経済的安定、幸福感などに大きな影響を与えている。

毎日の人の行動の、実に4割以上が、「その場の決定」ではなく「習慣」だという。
この本で伝えたいことは、「習慣は変えられる」ということだ。


習慣のメカニズム

脳はできるだけ介入を避け、決まった手順を何でも習慣にしてしまおうとする。
しかし脳の労力を節約することには落とし穴がある。
脳のパワーが低下するタイミングによっては、重大なこと、たとえば茂みに隠れている天敵や、スピードを上げて近づいてくる車などを見落とす恐れがある。
そのため脳の基底核は、習慣にバトンタッチするタイミングを決める巧妙なシステムを作り上げた。
それは一連の行動が始まるとき、あるいは終わるとき必ず起きることだ。

脳の中で起こっているプロセスは、3段のループだ。

①きっかけ
これは脳に無意識で行うモードに切り替え、どの習慣を使うかを伝える「引き金」である。

②ルーチン
きっかけに反応して起こる慣例的な行動や思考で、これは身体的なものだったり、脳や感情に関わるものだったりする。

③報酬
これはある具体的なループを、将来のために記憶に残すかどうか、脳が判断する役に立つ。

時間が経つにつれ、この「①きっかけ→②ルーチン→③報酬」というループは、どんどん無意識に起こるようになる。
きっかけと報酬が相互に繋がると、強力な「期待や欲求」が生まれる。
やがて、そこに一つの習慣が生まれる。

逆に、「期待や欲求」が生まれないと習慣を長続きさせる力がないこともわかっている。
脳が報酬を期待するようになって初めて、つまりエンドルフィンや達成感を求めるようになって初めて、毎朝、ジョギングシューズのひもを無意識のうちに結ぶようになるのだ。
きっかけはルーチンを生み出すだけでなく、その先の報酬への「期待や欲求」を生み出すものでなくてはならない。
習慣を根づかせるのは「期待や欲求」だ。
どうやって欲求を生みだせばいいかがわかれば、新しい習慣を根づかせるのが楽になる。

例)運動したい人の場合
①きっかけ(朝起きたらすぐにランニングに行く)→②ルーチン(ランニング)→③報酬(運動後の美味しいスムージー)
それから、そのスムージーや、体内を駆け巡るエンドルフィンのことを考え、自分に報酬を期待させるのだ。
やがてその欲求によって、毎日ジムに行くという行為が楽になるだろう。


習慣を変えるための鉄則

アルコール依存更生会(AA)は「習慣」を変える組織として世界でもっと成功した組織である。
AAが成功しているのは、アルコール依存症患者が、それまでと同じ「きっかけ」を用い、同じ「報酬」を得るよう仕向けながら、「ルーチン」だけを変えるからだと。

AAのプログラムが効果的なのは、飲酒の習慣を助長する「きっかけ」と「報酬」を自分で突き止めさせ、その後、新しい行動を見つける手助けをするからだと専門家は言う。
AAはその人がアルコールからどんな「報酬」を得ているかを自問させる。
通常、アルコール依存症患者が酒を求めるのは、逃避やリラックス、仲間との交流、不安の軽減、感情の解放の機械が得られるからだ。
しかし必ずしも「酔っぱらった感覚」を求めてはいない。
むしろアルコール依存症患者にとって、アルコールの身体的な効果は最も不満を感じる要素の一つであることが多い。
AAは毎晩酒を飲むかわりになる、新しい「ルーチン」を作らせるのです。
たとえば、会合ではリラックスして、自分の不安を口にすることができる。
「きっかけ」と「報酬」は同じで、変えるのは「ルーチン」だけなのです。

習慣の入れ替わりは多くの人々にてきめんの効果を発揮するが、人生のストレスがあまりに強いと挫折しやすいデータがある。
しかし、何らかの偉大なる力が自分の人生に加わったと信じている患者は、そうでない患者よりも、ストレスの多い時期も酒を飲まずに乗り越えられていた。
そこで、研究者たちは「信じること」そのものが差を生むことに気づいた。
いったん何かを信じることを覚えると、その機能が人生の他の部分にまで影響を及ぼし、自分は変われると信じ始める。

「信じること」こそが、つくりかえた習慣のループを「永遠の行動」に変える要素だったのだ。
たとえ、より良い習慣を与えたとしても、彼らが元々酒を飲み始めた理由を解決することはできません。
やがて、ついていない日があると、ルーチンを新しくしたところで、「すべては大丈夫だ」とは思えなくなる。
しかし、アルコールなしでもこのストレスに対処できると信じることで行動は違ってくるのです。


一つの習慣をかえると連鎖する

一つの習慣を変えれば、それが連鎖反応を起こして他の習慣も変わっていく。
言い方を変えると、習慣の中にも、ビジネスや生活を作り直すために、特に重要なものがあるということだ。
その問いの答えは、キーストーン・ハビットを理解することにある。
一番重要な習慣(キーストーン・ハビット)とは、それを変えれば、他のパターンを取り除いたり、作り替えたりできる習慣のことだ。

研究者たちはこう指摘している。
「個人には習慣があり、集団には機械的な手順がある。機械的な手順とは習慣と同じ意味で、それが組織で行われているだけだ」と。
あるCEOは、このような習慣は危険だと指摘している。
「何も考えずに、意思決定をあるプロセスにゆだねてしまっていると思った」と。
一方、「変化するのは当たり前」という雰囲気を持つ現場では、よい組織的習慣が成功を生み出している。
たとえば、NASAのある部門では、エンジニアにリスクの大きな挑戦を進めるような手順をあえてつくり、常に自分たちで修正するようにしていた。
無人ロケットが離着時に爆発しても、その部門の上層部は拍手する。
失敗を誰もが知ることになるが、少なくとも彼らは挑戦したのだ。
やがて何か高価なものが吹き飛ぶたびに、管制センターに拍手が満ちるようになる。
それがこの組織の習慣になったのだ。

これと同じような現象が多くの場面で起こっている。
いつも夕食を親と一緒に食べている家庭で育った子供は、きちんと宿題をして、成績もよく、感情のコントロールがうまく、自身を持てるように成長するという。
毎朝ベッドメイキングする人ほど、生産性が高く、より強い幸福感を感じ、買い物のとき予算をきちんと守る。
家族そろっての食事や整えられたベッドが、成績を上げたり無駄遣いを防いだりする要因ではない。
しかし最初の変化から連鎖反応が起こり、他の良い習慣も定着していく。
キーストーン・ハビットを変える、あるいはさらに進化させることに専念すれば、ほかにも幅広い変化を起こせる。
キーストーン・ハビットが与えてくれるのは、学術的には「小さな勝利」と呼ばれるものだ。
それは新たな習慣を作るのを助け、その変化が周囲に伝わっていくと、そこに文化が生まれる。


成功の習慣

「意志力」こそ個人の成功に求められる最も重要なキーストーン・ハビットであることは、あらゆる研究で示されている。
※意志力・・自分をコントロールして物事を成し遂げる力
そして意志力を強化し、能力を伸ばすのに一番良い方法は、それを習慣にしてしまうことだ。
「とても自制心が強いのに、まったく苦労しているように見えない人が時々いますが、彼らは無意識のうちにそのような行動を取るようになっているのです」と研究者は言う。

意志力を研究して判明したことは、意志力は単なるスキルではなく、筋肉のようなもの。
腕や脚の筋肉と同じように、使えば使うほど消耗し、他のことをする力がなくなってしまうのです。
この発見に基いて、研究者たちはあらゆる現象を説明している。
なぜ成功した人たちが浮気に走るのか(だいたい意志力が低下している夜に始まる)、なぜ腕のいい外科医がありえないミスをするのか(集中力を必要とする複雑な作業を終えた後でよく起こる)。
すると次のような疑問がでてくる。
意志力は筋肉と同じようにトレーニングで強化できるのだろうか?

ある研究者がこの問いに答えるべく、意志力のトレーニング法を考え出した。
被験者を運動プログラムに参加させ、2ヶ月間、筋力トレーニング、有酸素運動を行ってもらい、その量をどんどん増やしていった。
被験者は来る日も来る日も運動を強いられ、しかもジムへ行く日が増えていくので、必要とする意志力も増えていく。
実験が終わったとき、当然身体的な健康状態は前より良くなっており、更に、生活の他の面も健康的になっていたのだ。
ジムで過ごす時間が長くなると、飲酒、禁煙、ジャンクフードの摂取量も減った。

そこで、もう一つ別の実験を考えた。
今度は被験者に、4ヶ月に及ぶ金銭管理プログラムに参加してもらった。
プログラムに従って行動するうちに、被験者の経済状態は向上した。
さらに驚いたことに、喫煙量、飲酒量、ジャンクフードの摂取量も減った。
それは運動したときの実験結果と同じだった。

もう一つ実験を行った。
被験者に勉強の習慣をつける成績向上のプログラムを受けさせたのだ。
期待通り、被験者の学習スキルは向上した。
さらに喫煙量、飲酒量も減り、運動を多くするようになったが、これらは学習向上プログラムとは全く無関係だ。
ここでもまた、意志力を強化することで、その習慣が生活の他の部分へと広がっていくことが示された。

無理してでもジムに行ったり、宿題を始めたり、ハンバーガーではなくサラダを食べるようにすることは、自分の考え方を変えることでもあるのです。
そうすると人は自分の衝動をコントロールするのが上手くなります。
誘惑から気をそらす方法を学ぶのです。
そしてそれが決まった行動になると、脳もあなたが目標に向かってまっしぐらに進むのを助けるのが上手くなります。
だから子供にピアノのレッスンを受けさせたり、スポーツに参加させたりすることは、とても大切なのです。
音楽家に育てるとか、サッカー選手にするためではありません。
1日1時間の練習を自分に課すことで、自分をコントロールする筋肉を鍛えるのです。


どんな習慣でも変えられる

私たちは習慣を選ぶことができる。
ただしそのやり方を知ってさえいればの話だ。
私たちは毎日、何百という習慣の影響を受けている。
朝服を着て子供たちと話し、夜眠りにつくまで、習慣が管理しているのだ。
それぞれ違った「きっかけ」があり、違った「報酬」が与えられる。
しかしどれほど複雑な習慣でも、形を変えることはできる。
ただし習慣を変えたいなら、まず変えることを決意しなければならない。
習慣の「ルーチン」を起こす「きっかけ」と、その結果としての「報酬」を特定するという難しい作業を行い、代わりになるものを見つける必要がある。
こうした習慣を変えられる点を理解すれば、習慣の力を利用しやすくなる。
あとは実践するだけだ。


『まとめ』

あなたは変われる。
そして「変われると信じる」ことを習慣にすれば変化は現実のものになる。
それが「習慣の力」だ。
つまり習慣とは、「自分で選んだものである」と気づくことだ。
選択した結果が、やがて反射的に起こる習慣になると、それが現実的になるだけでなく、必然と思えるようになる。

習慣が作られ長く続くメカニズムとは、「①きっかけ」→「②ルーチン」→「③報酬」が基本的構造である。
さらに、報酬を求める「④欲求」と、この習慣が良い習慣だと「⑤信じる」、ことで習慣が長続きする。



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