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その後の恋愛事情④〜月夜のスタバの駐車場にて〜

56歳で始めた婚活アプリ。

そして57歳で出会えたKくん。

2個歳下のKくんとは偶然にもお誕生日が同じで、それを知った時、驚くよりも嬉しい感情が上回ったのを覚えています。

2度お会いして、“好き”という二文字は伝えてくれるのに、付き合うかどうかはまだはっきりしない彼。

Tomoちゃんには俺なんかよりもっとシュッとした人が似合うよ。

Tomoちゃんに俺は不釣り合いだよ。

そんなことばっかり言うもんだから、なんだかだんだん腹が立ってきて。笑

『シュッとした人って誰?!』『それを決めるのは私だから!』とまで思わせるKくんの真意がわからない。

私はなんとも言えない不安定な気持ちのまま、決戦のその日を迎えました。。

(今回、かなりの長文となっております。
すみません。。)

✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚・*:.。 ✽

都会のど真ん中で、Kくんのお仕事帰りに待ち合わせ。

車の中では本題には触れず、好きな食べ物とか
食べられないものの話とか?

「天ぷら好き?」

「うん好き」

「そんな高級なお店ではないんだけど、安くてうまい店があるんだ。そこでいい?」

「うん、楽しみ♪」

「ちょっと箕面まで車で走るけど、俺よく行く店なんだよね」

「箕面なの?姉が生前に住んでた場所だ」

「そうなんだね」

そろそろ着くよ、と教えてくれた時に走っていた道に私は見覚えがあった。

『あ、この辺確か姉が住んでいたマンションの近くだ』

そんなことを思って車を降り、お店の看板を見た瞬間、鳥肌が。。

「私、ここ来たことある…」

このお店の玄関らしくない玄関、確かに姉と来たことあるお店だったのだ。

マンションとお店は目と鼻の先。

姉の家に遊びに行っていた時に、『近くに美味しい天ぷら屋さんが出来たから行こうよ』と連れてきてくれたのを思い出した。

それがいつのことだったのか、母もいたような、子供たちはいなかったような…。

その辺の記憶は曖昧だったのだが、確かにこのお店に私は今は亡き姉と来たのだ。

そもそもKくんとは偶然が多い気がする。

アプリ内でのやり取り中に知った、お誕生日が同じという偶然。

そしてアプリを1ヶ月で辞めたいと思ったのに、なぜか辞められなかったKくん。

仕方なく3ヶ月コースに延長したからこそ、私と出会うことになった偶然。

そして今回のお店。。

もちろん姉が箕面に住んでたなんて一言も話しておらず、たまたまKくんが気に入っていたお店で、たまたま今日連れてきてくれたお店。

なんだか姉が後押ししてくれたような気になり、お店の前でちょっと泣きそうになるのをグッと我慢した。

ふたり同じ天ぷら定食を注文し、揚がるのを待っている間に、

「ちょっとゆで卵の天ぷらも気になってるんだよね〜」

なんて言うと、優しいKくん、

「頼みなよ。食べきれない分は俺が食べてあげるよ」

と言って追加で注文してくれた。

やっぱり優しい♪

「天ぷら屋さん、すっごい久しぶりだから楽しみ」

「イタリアンとかお洒落なお店も考えたけど、カッコつけても仕方ないなって思って。笑
俺の食べたいものにしようと思って。
そしたら天ぷら食べたいなってなって、Tomoちゃんに聞いてみようと思った」

その気持ちが素直に嬉しかった。

Kくんの好きなお店で、Kくんの好きなものを一緒に食べたかったから。

『もう緊張してきた』と、前日のLINEで言ってたKくん。

揚げたての天ぷらを食べながら、聞いてみた。

「まだ緊張してる?」

「そう聞かれたらまた緊張する。
さっきまで普通に仕事していた自分と、今こうやってTomoちゃんとご飯食べてる自分が繋がらなくて、よくわからない」

『そうなんだ…』と心の中で思う。

やっぱり食べ切れなくて、ご飯半分と、キスとカボチャの天ぷら半分ずつを取ってもらった。

『側から見れば、私たちふたりは間違いなくパートナーに見えるだろうな。。』

そんなことをなんとなく考えていた。

「なんだかね、LINEでさKくん、好きだけど付き合えないみたいなこと言ってたでしょ?
それが良くわからなくて」

本題をぶっ込む私。

しばらく考えてKくんが話す。

「薔薇公園行ったでしょ?
あの時もTomoちゃんと来てるってことが不思議で仕方なくて。
ホントに俺でいいのかなって。
でも帰ってからTomoちゃんが撮ってくれたツーショットの写真を眺めてさ、あ〜現実だったんだって再確認したんだよね。
ニヤニヤしながら見てた」

「じゃあなんで付き合えないとか言うの?」

私の中で話がまとまらない。

ちょっと声が大きかったかもとハッとなった。

「付き合ってみないとわからないこともあるじゃん…」

「ん〜〜」

食べ終わったところで

「とりあえず出よっか。
ここではちょっと…」

Kくんはそう言って、ふたりは天ぷら屋さんを後にした。

そのあと、割と近くにあるからと、スタバへ行くことに。

お仕事忙しいのに、天ぷら食べてからそのあとお茶できるようにって、ちゃんと調べてくれていたことが嬉しかった。

ドライブスルーのあるスタバを初めて見た。

駐車場も広くてビックリ。

そして何より混んでないスタバは初めてだった。

「テラス席寒くないかな?大丈夫?」

「今日はそんなに風もないからたぶん大丈夫だよ」

久しぶりのスタバにテンションがあがる私。

「これ飲みたかったの♪
いちごフラペチーノ、頼んでもいい?」

「いいよ」

店内には多少お客さんがおられたが、テラス席は空席。

ゆっくりお話しできると思い、テラス席に腰掛けた。

Kくんがトイレに行っている間に、お散歩中のワンチャンがシッポをふりふり、数段ある階段を登り私の方に向かってきて驚いた。

『今のリードって結構伸びるのね』笑

あと少しで触れてきそうってところで、飼い主さんがグイッと引っ張り『ごめんなさい』と言って去っていった。

なんだか新鮮。

この辺りは高級住宅街で、犬の散歩をされている方が多い。

『やっぱワンチャンかわいいな』

そんなことを思いながら、こんな場所でKくんと一緒に居れる自分が嬉しかった。

でも内心はそんな穏やかでもなく、戻ってきたKくんに、さっそく「よくわからない」と切り出した。

「Tomoちゃんとは住む世界が違うと思う」

「それはどういう意味?」

「Tomoちゃんは育ちの良いお嬢さんて感じ。
だから俺なんかって思ってしまう」

『私の何を知ってるの?!』
という言葉をグッと飲み込み…

「私の家もたいがいだったよ?
貧乏だったし、家族の仲も良くなかったし…。
私、公立高校を奨学金で通ってたんだよ?
父親が病気になってお金もなくて。
大学なんてもちろん行けなかった。
全然お嬢さんなんかじゃないよ…」

うんうんと頷くKくん。

「俺も前の彼氏と同じで、時間があまり作れない。
それも良くないかなと思う」

Kくんはお母さまと同居していて、家と職場がかなり離れており、往復4時間かけて車で通勤している。

「でも今日みたいに会える日もあるよね?
私はそれで十分」

「俺、前にも言ったと思うんだけど、元奥さんのこと、ホントに好きで、頼んで頼んでお願いしまくって結婚してもらったんだよね。

離婚の話も突然出てきた話しで、一体何が起こってるのか訳がわからなくて。
しばらくは何も手につかなくて。
仕事だけはしていたけど、外出できなくなって
引きこもり生活をしてて。

それを見兼ねた友人たちが、土日はいろんなところへ連れ出してくれていて。
彼女ができたらそれも少しずつ削って、彼女との時間にあてようとは思ってるんだけど。

55になって、このままじゃダメだと思って婚活を始めて。
始めたはいいけど、俺ほんとに恋愛していいのかなって思ってて」

「なんでそう思うの?」

「ん〜〜(頭を抱えて)
なんて言えばいいのかわからない。
子供のこともちょっとあるのかも知れない」

それを言われたら何にも言えなくなっちゃうよね…。

「前にも聞いたけど、もう一度確認していい?
元奥さんと元サヤに戻るなんてことはないよね?」

「それはないでしょ」

「でも大好きだったんでしょ?
子供たちのためにやり直したいって言ってきたらどうする?」

「ん〜そんなことはたぶんないと思うけど、あったとしてももう無理かな」

「絶対?絶対ない?」

「向こうももう好きじゃないだろうし、俺ももう好きじゃないからね」

「もし元サヤに戻るとかになったら…
私きっと暴れるからね」笑

「あはは」

その後も Kくんの気持ちを聞いてみたけれど、彼はまだ迷っている。

「付き合ってみないとわかんないよね。
私がKくんのイヤな癖発見するかも知れないし、その逆もあるかも知れないし。
私が嫌われるかも知れないじゃん。
私はそっちの方が心配だよ。
でも心配しても始まらないじゃん。
お互いさまだよ。
なんでまだ付き合ってもないのに悩むの?」

「Tomoちゃんってホントに賢いよね。
すごいよ。
頭の回転が早くて」

私は私の気持ちを伝えることに必死になるクセがある。

そこは自分のウイークポイント。

あのポジティブ体質のYくんにも『圧がすごい』と恐れられたほど。

「やっぱイヤ?こんな私…」

「イヤじゃないよ。すごいなって思う」

「いつか嫌われるのは私なのかも」

「そんなことない」

「もう私のイヤなとこあるでしょ?
正直に言ってみて」

「ホントにない。
めっちゃ好き。全部好き」

じゃあなんでよ…。

本来なら興奮しちゃってまた大きな声を出しちゃうところだが、フラペチーノの甘さとテラス席での開放感、そのふたつのお陰で、私は冷静にその場を過ごすことが出来たと思う。

Kくんが続ける。

「これまで50年以上生きてきて、それなりに思い出もたくさんある。
濃い思い出もたくさん。
でもこれからは、今まで以上に思い出を作っていきたいと思ってるのは確か」

『めっちゃ好き』という言葉にかけて言ってみた。

「じゃあ…
私とお付き合いしてくれますか?」

そろそろもう答えが欲しかった。

たぶん私はせっかちなのだ。

するとKくんはあっ!という顔をして言った。

「ちょっと待って!それは俺が言うから!」

気がつけば、店内もそして外も、地元の学生の若い子たちが増えてきて、私たちしか居なかったテラス席も少し賑やかになっていた。

Kくんはホットを飲んでいたけれど、私はキンキンに冷えたフラペチーノを飲んでいたので、体が結構冷えており、車に移動することに。

車内で私が先に話し始めた。

「私、離婚してからずっとがむしゃらに働いてきてね。
何を決めるのも自分しかいなくて。
相談できる人も誰ひとりいなくて。
だからこんなキツい性格になったんだと思うんだけど。
ずーっと張り詰めてて。
それが病気になってプツッと切れちゃって」

うんうんと頷くKくん。

「私もしばらく引きこもりになってね、仕事辞めてからも何もできなくて。
しばらくたって、ようやくメンタルも落ち着いてきて、そんな時に次女が婚活アプリをすすめてくれてね。
もうこのままひとりでもいいかなって思ってたんだけどね。
誰かに頼ったり、誰かに守られたりもしてみたいかもって…」

そんな時に息子からLINEが入り。

内容は『オレ今日テレビ出た』というもので、動画が添付されていて。

息子は福祉関係の仕事に就いており、ニュースでインタビューを受けたとかで。

一緒にそれを観たKくん。

「立派な息子さんだね。
俺大丈夫かな。笑」

「皆んなね、優しいの。
うちは家族仲が良くてね。
時々皆んなで集まるんだけど、お婿さんもお嫁ちゃんもいい子で。
離婚して子供たちに辛い想いをさせちゃったけど、子供たちがホントに素直に育ってくれて、それだけは良かったって思ってるんだ」

またうんうんと頷いてくれるKくん。

そしてKくんが私の手を握った。

「俺、Tomoちゃんの手めっちゃ好き。
なんでこんなに柔らかいの?」

「そう?」

彼は薔薇公園でも手を繋ぎたかったようで、でも恥ずかしいから、指先だけを握ってくるような人で。

それが可笑しくて笑っちゃったんだけど、なんで笑うの?って。

でもその日はしっかり握ってくれて、私の方に向き直してこう言った。

「Tomoちゃん、俺と付き合ってください」

顔がほころぶ私。

「はい」

「抱きしめていい?」

「うん」

そして優しくハグしてくれた。

その瞬間涙が止まらなくなった。

気がつけば、私は声を出して泣いていた。

泣くつもりはなかったんだけど、自分でもよくわからず泣いていた。

何かの糸が切れたみたいに。

緊張していたのは私の方だったのかも知れない。

Kくんが小さい声で呟いた。

「俺より歳上なのに、、なんでこんなにかわいいんだ…」

溢れた気持ちが止まらなかった。

「もう無理かも知れないって思ってた…」

「ホントに俺でいいの?」

「まだ言ってる。笑 …Kくんがいいの」

「ありがと。
信じられないくらい嬉しいよ」

広い駐車場とは言え、私は人目が気になり、背中をトントンと叩きハグはすぐおしまい。笑

私が泣き止むのを待って、

「じゃ、帰ろうか?送るよ」

と彼は言った。

Kくんはたぶんかなり頑張ってそのセリフを言ったのだろう。

そういう真面目なところも好き。

まだ3回しか会ってないけど、好きなところがいっぱいだ。

改めてそう思った。

マンションの前まで送ってもらい、翌朝のLINEでは「俺、寝られなかった」と。

「現実が受け止められないくらい信じられない事やねん」

「ほんとのことだよ。幸せ♡」

「ありがと」


✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚・*:.。 ✽


以上、『付き合ってください』と言われた(半ば言わせた?笑)ことにより、めでたくお付き合いすることになったKくんと私♡

もう『俺なんか』とは言わせません。

『不釣り合い』とも言わせない。

ふたりでどこまで歩いて行けるかわからないけど、一緒に思い出たくさん作って、一緒に歳を重ねていけたら、こんなに嬉しいことはないです。

私は彼のことを幸せにするし、私も彼に幸せにしてもらう♪

初対面で感じた想いを大切に育んでいこうと思います♡


Kくんとのエピソード、これからも書いていきたいと思います。

人生は山あり谷あり。

55歳を超えてアプリで出会ったアラカンふたりが、これからどんな風に成長していけるのか、今後も温かい目で見守っていただけたら嬉しいです♡



最後までお読みいただき有難うございました♪

ではまた。        Tomoka (❛ ∇ ❛✿)

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