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バブリーなクリスマスパーティーを偲ぶ

ファッションデザイナーの三宅一生さんが亡くなった。

享年84歳。病名は〝肝細胞がん〟だそう。

「イッセイミヤケ」と言えば、昔付き合っていた彼氏がこのブランドが好きでよく着ていたのを思い出す。

〝DCブランド〟最盛期といわれた1980年代。

ニコルやコムデギャルソン、メルローズやBIGI。

う〜ん、懐かしい〜。

イッセイミヤケの他にも、ヨウジヤマモトや
カンサイヤマモト、タケオキクチなんかも流行ったのが思い出される。

高卒で社会人となり、自由になるお金が手に入るようになり、それほど数は買えなかったがDCブランドのものを身につけるようになった。

当時の彼氏は、高3の時から付き合いだした4つ上の人。

彼は行きつけの美容院で美容師をしていた。

ちょっとなんやかんやあり、色々相談にのってもらっているうちに、私のほうから好きになり告白。

美容師なので、ちゃらいと言えばちゃらい。

でも高校生の私からすれば、彼はずいぶん大人だった。

休みの日は車でよくドライブに連れて行ってくれた。

ほんとに色んなところへ連れて行ってくれた。

それが嬉しくて、楽しくて、幸せだった。

彼の服装はいつもモノトーンが多かった。

なかでも「イッセイミヤケ」が大好きだった。

あれは確か、私が高校を卒業した年の冬だったか。

美容師ばかりのクリスマスパーティーがあるから、一緒に来てくれない?と誘われた。

そんな煌びやかなパーティーなど、生まれてはじめてのこと。

迷うことはなかった。

彼はその時着るお洋服を買ってくれると言った。

そして連れて行ってくれたお店が「イッセイミヤケ」。

三宅一生のデザインは少し独特なものが多くて、まだ未成年だった私がちゃんと着こなせるのか不安しかなかったけど、でも特別なその雰囲気に、私は少し酔っていた。

何着か試着して、私も彼氏も店員さんも「うん、コレだね!」という一着にたどり着いた。

忘れもしない黒のセットアップ。

ダブルガーゼのような柔らかい素材でできた長袖のブラウスと、フワッとしたロングスカートのツーピース。

当時の私はかなり細身で、背も高い方だったので、キュッとウエストを絞ったデザインのその服は、自分でもよく似合うと思った。

おいくらだったのかは知らない。

たぶん、きっと、かなり高額だったと思う。

当日は髪をアップにしてイヤリングをつけ、ヒールを履き、イッセイミヤケの上にロングコートを纏いパーティーに参加した。

その日は雪が舞っていた。

私の姿を見て彼氏はこう言った。

「すごい。高校卒業したばかりとは思えないよ」

会場はバーのようなお店。

美容業界の人ばかりの集まりなので、さすがに煌びやかで、私には眩しすぎた。

もちろん彼氏以外、知っている人は誰ひとりいない。

未成年なので飲み物はジュースを注文。

なんだか自分だけ別世界の人間のような気がして(事実そう)、ものの数分で来たことを後悔した。

彼氏は顔見知りの人たちと談笑。

私はひとりジュースのストローでただ遊ぶだけ。

それ以外、あまり覚えていない。

あ、ビンゴしたのはなんとなく覚えている。

なにも当たらなかったけど。

まさに、大人への階段を登っている最中の経験。

彼氏はただ、私のことを自慢したかっただけだっんだろうか。

しかし、私にはまだ「イッセイミヤケ」は早すぎた。

後にも先にも「イッセイミヤケ」はその一着だけ。

でもお気に入りだったのは確か。

今でもそのデザインをはっきり覚えているくらいだからね。

三宅一生さんが亡くなったとニュースで知り、そんな昔をふと思い出した。

私の青春の1ページを飾っていただき、ありがとうございました。

ご冥福をお祈りします。




最後までお読みいただき有難うございました♪

ではまた。        Tomoka (❛ ∇ ❛✿)

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