【マンガ業界Newsまとめ:祝100回!】 GW各アプリ・書店施策出揃う。トーハン決意と覚悟の経営判断 など|4/30-100
マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。ついに100回目ですー。
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電子書店・アプリ各社GW施策出揃う
ゴールデンウィーク開始!ということで、電子書店・マンガアプリ各社がセールを開始しています。それぞれかなり大きな割引・ポイント提供など施策が出ておりますね。
このタイミングで、DLSitecomipoでは、先日来の集英社、小学館作品提供などの流れで、秋田書店作品の提供開始&クーポン配布を行っています。
変ったところでは、めちゃコミックが、紙の取次トーハン、日販と「めちゃコミック×本屋さん」というフェア開始。作品認知やデジタル販売は従来度通り、サイト・アプリ上で行うも、紙コミック化したものについては、直接取次事業者と行うということで、この中ではユニークな取組になっています。
トーハン 取引条件見直し視野に出版社と交渉へ 近藤社長「決意と覚悟を持って経営判断」
トーハン社の紙の取次・流通に関する発表ですが、厳しい状況が伝えられています。マンガに引き付けると、紙の雑誌は部数低迷で、アプリやWebに場を移していき、大きなインパクトのあった紙コミックについては、紙コミック電子コミックの売上が上回り数年。2022年では、紙が1754億円、電子が4479億円とダブルスコアを超えました。
マンガトータルとしては良いとしても、これだけの売上が紙の流通から失われていることは、当然大きく取次各社の業績に直結します。
とはいえ、現時点でも多数つくられている紙のマンガ雑誌は、その編集部の活動や設定された締切が作品作りの源泉となっています。これを「運ぶ方法が激減」ということは、作品を制作する現場が極小化する危惧もあります。出版各社としては、更なるデジタルシフトが急がれるところです。
国内News
サイバード社が、日本エンタープライズ社などと連携して『なでしこ書店』という女性向け電子書籍ストアを開始。4/24にグランドオープンとのこと。
サイバード社の電子書籍、コミック事業と言うと2010年スタートの「ajaマンガ」あたりからと、古い記憶があるのですが、再チャレンジというところでしょうか。
パイ インターナショナルのマンガレーベル「パイコミックス」が、同社PIE COMIC ARTのWebサイト内で連載開始とのこと。
2014年スタートのAmazia社「マンガBANG!」が、運営9年で3000万ダウンロードとのこと。
コミックブシロードWEBを運営するブシロード社が、オリジナルIP創出の強化を目指し、IPプラットフォームによる顧客開拓のために、新設子会社のブシロードワークス社に事業承継しました。
紙と電子のマンガの売上などを毎年発表している、出版科学研究所の『出版月報』ですが、既報ありました通り、この4月より月刊から季刊に移行。
4/25に第1号となる『季刊出版指標』を刊行。
合せて、月次出版統計データを、PDF版「出版指標マンスリーレポート」に移行とのこと。
マンガ面できになることとしては、毎年1月号に前年出版市場全体、2月号でコミック市場のデータを出していたところですが、来年からはコミックはこのマンスリーレポートのほうに移管するというイメージでしょうか。
早くからスタジオ制での作品作りで『ゴルゴ13』などを作っていた「さいとうプロ」ですが、さいとう・たかお先生のご逝去後もその体制を継続し、作品制作を続けていました。
その体制の中に『拳児』や『ジーザス』の藤原輝美さんが入り、ゴルゴの顔をトレースで描くなど工夫していたとのこと。これは皆さん知らなかった方も多かったようで、界隈で話題になりました。
小説、マンガ等を原作にした、映像化、Webtoon化に際し、原作者がどこまで監修をするか、どこまで任せるかと言う議論について、日韓の例を引き合いに「成功の糸口」を探るという記事です。
かなり文脈の複雑な内容ですので、こちらは記事をじっくりご一読ください。
3月に『エンタメビジネス全史』を出版して話題の中山淳雄氏が、1月に出版した『エンタの巨匠』に絡めて、その本でもインタビューしている鳥嶋和彦氏と、当時のお話を振り返っているものです。
ほとんど史料のような趣の文章で、ファミコン神拳、ドラクエ、その後の現在のヒット作品創生秘話みたいな形で面白いです。
今週のWebtoon新規参入・新たな動き
パピレス社とセガサミーホールディング社の新たなWebtoonブランドですが、新設の合弁会社JadeComiXを2023年5月に設立、Webtoonとしてのレーベル名は「ZETooN(ゼットゥーン)」とのこと。ちょっと名前が、こないだシン・シリーズにも出ていた最終兵器っぽいです。
Kizuna AI株式会社のWebtoonプロジェクト「ENGI-MONOGATARI」ですが、【YouTube】と【Webtoon】を主軸としたメディアミックス展開とのことで、出し先がENGI-MONOGATARI公式Twitter及び公式HPでの公開になるようです。なるほど。
とのことで、個人で出版できるKDPに掲載したWebtoonも、Amazon内のWebtoonプラットフォーム Fliptoonに出てくるということのようです。
これは、Webtoonの個人制作が一層進みそうで、そこから更に強いスタジオでの制作やリメイクに繋がると面白そうですね。
海外News
<ここからは英語記事が続きます。翻訳はGoogle翻訳などにて>
一つ目の記事を日本語訳すると「ネイバー ウェブトゥーン、利益分配モデルを拡大してクリエイターを引き付ける」となります。
Webtoonプラットフォームとして世界最大のNAVERは、グローバル展開をしていく中で、PPS「ページ プロフィット シェアリング」という仕組みで、クリエイターに作品売上をシェアしてきました。これをクリエイターに、より還元する「パートナーズ プロフィット シェア」に切り替えるとのこと。
これは、作品のレベニューシェアだけではなく、IP展開全般に渡ってクリエイターにレベニューシェアするというものです。日本で言うと、漫画原作でアニメ化がなされた場合、多くの場合はアニメ化から先は製作委員会方式などで、漫画家に直接収益が連動しない形もありました。(現在はそうでないこともある)
Webtoonからの映像展開でも、原作者への収入は映像化時点での買い切り(金額は大きいが変動はしない)形であったというケースも伝え聞かれる中で、プログラムの名前も変え、クリエイター還元を大きくし、Webtoon業界の新しいエコシステムとしていきたいようです。
ピッコマのフランス展開をKim Hyung-Rae氏のインタビューです。
現在ピッコマのフランス展開は作品数で700作品、ユーザーは100万人をこえているのとのこと。
イタリアの映画会社「レオーネ映画」が、Wattpad Webtoon初の2作品『The Locker Exchange』『Love Me, Love Me』を、英・伊の2か国語で映画化するとのこと。所謂、日英中韓以外でのこうした動きも出て来ているのですね。
世界的ヒットゲーム「アサシンクリード」のWebtoon版の連載開始が話題となっていましたが、開始24時間で20万PV、7万3千人の購読リスト化とのこと。初速好調という記事です。
ゲームのヒットと比べると規模感がはかりにくいですが、悪い数字では無いようです。
日本では、世界展開に成功している韓国映像・Webtoon業界と言う見方がされてきましたが、最近の「The first SlamDunk」や「すずめの戸締まり」の好調や、NetFlixなどの韓国映画への投資が抑えられ、低迷しているようです。一時的なことかどうかは、この記事だけではわかりませんが、そうしたこともあるのですね。
前のニュースとも絡みますが、中国映画業界の日本アニメ映画評です。現在、今度は中国で「The first SlamDunk」が人気過熱中とのニュースが多い中ですが、日本のアニメは「多彩な題材、精密な制作過程、人間に対する深い関心、独特の芸術表現方法」の4点に秀でるとしており、これは確かに日本の漫画やアニメが得意な領域ですねと首肯するところですね。
なにかこう、日本でエンタメに関わっていると、そのことが凄いというよりも、そういうものでないと作品として評価されないということが日常化しているため。そういうものですよねと思ってしまうところです。
この現象、面白いですね。マンガ以上にネット小説が成長した中国において、BL作品の多くが小説で展開した経緯がある中で、日本からマンガでBLを取り入れつつも、表現の問題でなかなかそのまま持って行きづらかったところに、中国BLがタイの国状にフィットした。というようなことを想像しました。どうなんでしょう。
プロモーション動画がめちゃくちゃ気合入ってました。
AIイラスト・画像生成関連
1日で10万PV閲覧された漫画動画が、AI作画であったとのこと。私も一通り見ましたが、確かにこの作りだと気にならないかもしれません。誌面に落とされると少し目線などが気になる気はしますが。
こちらは、前回紹介した漫画家のうめ・小沢高広さんのシナリオ制作ChatGPT講座のその2です。私も仕事で色々使っていて、自分の知ってることのアシスタントとして使うには優秀も、知らないことには怖くて全部は信じきれず、それでもなんとかうまく使うみたいなところまでは、良くわかるところです。たたき台メーカーとしては優秀ですよね。
こちら記事が途中で切れてますが、これまでの画像生成AIでは1枚の絵を1枚絵の絵として見ていたところを、絵の中のオブジェクト、、、つまり対象ですね。コップとか机や椅子とか、ナイフとか果物とか。そうしたものをパターンとして学習し、別々に認識してくれるようです。どんどん賢くなりますね。
小さい画像を大きく使えるようにする、ツールとしての側面ですね。こうした面では便利そうですね。
マンガに限らず、クリエイティブ作成については世界の中心的存在であるAdobeですが、AIに対しては「あくまで補助」という姿勢をとるようです。この辺りは、先述のうめ・小沢高広さんの使い方にも近くて、納得感がありますね。
StabbleDiffusionの日本法人代表のジェリー・チー氏の記事ですが、アニメ、ゲーム、出版社などにアプローチしようと考えているとのこと。
会社製作型のコンテンツが多い、アニメ、ゲームについては、割と親和性が高そうですが、出版社となるとちょっと今のところは歓迎しにくい雰囲気ではありますね。これがスタジオ制作型のWebtoonですと、各所対応が別れそうですが。
そんななkで、日本の法整備も急がされていますね。簡単に要約すると難しい話題ですので、よろしければ記事に目を通されてください。実際に起きている例から具体的に話されていて、良い記事だと思います。
事例としては怖い例も発表されてます。自分の作品の無断使用を主張したら、逆に損害賠償を請求されたというものです。スラップ味があります。
現在の生成系AIのリスク5つの例ですね。そうですねーというところです。
記事のみ紹介
告知関連
ということで、今回でついに100回を迎えてしまった「マンガ業界Newsまとめ」ですが、ついに100回を迎えました。季節に一度やってるTwitterスペースをこのタイミングで、5/1夜21時よりやります。遊びに来てください!
私の所属するコミチ社では積極採用中で、中でもエンジニアさんには良い職場となれるよう、試行錯誤中ですー。
こちらの広告、クリエイティブ設計と配信設定しました。
この『スカベンジャーズアナザースカイ』通称スカスカ、面白いですよー。
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主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンかTwitterのフォロー、よろしくお願いします!
現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。
コミチ+は、来年に向けて大手出版社やWebtoonSTUDIOなどの大型受注を複数控えておりまして、絶賛エンジニア、Webディレクター(運用担当・データアナリスト等)などを募集中です。サービスがどんどん大きく広がっていく、これから滅茶苦茶楽しくなっていくタイミングです。一緒にやりませんか!私も力を出し切るつもりですし、一緒に働く方には私の持ってる知識や人とのつながりを最大限提供したいと考えています。詳細は以下より。
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