子供のためのオルセー美術館(89)夢のなかの人たち/布団にくるまって・ロートレックとヴュイヤール
このところちょっと寒いし、パリはすっかり秋になりました。
疲れちゃった。お布団にくるまってもう寝よう。
ロートレックは、すき通るようないつもの色で、赤い布団に寝ているふたりを描きました。
白い枕やシーツには、色を塗っていないボール紙のベージュ色がそのまんま見えてるけど、にじんだ緑や薄いピンクを描いていくと。どうでしょう、もっとふかふかのベッドになりました。
おや?
こっちの部屋にも誰か寝ています。
ロートレックの友達、ブイヤールも、静かで寝息だけが聞こえるような、そんな絵を描きました。
ただひとりベッドに寝ているだけのとても大きな絵です。
まるで切り絵のパズルみたい。縁どりのあるクリーム色にベージュと茶色、暗い緑。
モスグリーンの壁の線は横に真っ直ぐ描きました。
柔らかい線の枕や布団、ちょっとのぞいた寝顔まで、もっと優しく見えるから。
静かだけどなんかおもしろい絵。 ブイヤールのユーモアのセンスにみんなが驚きました。
そして最後に、もう1枚。
やっぱり最後はこれでしょう?
前にも見たよね、ロートレックのこれ!
あーーー疲れた。バタン!
じゃ、おやすみなさい。
Henri de Toulouse-Lautrec
Le Lit Vers 1892
Huile sur carton marouflé sur bois parqueté
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
ベッド 1892
木材に段ボール紙
Édouard Vuillard
Au lit 1891
エドゥアール・ヴュイヤール
ベッドで 1891
Henri de Toulouse-Lautrec
Seule 1896
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
ひとり 1896
お読みいただきありがとうございました。
パリはすっかり気温が下がり、今日の絵のようにお布団をかぶって休む日々になりました。
ナビ派の作品は小さいサイズのものが多いですが、ヴュイヤールのこの作品は堂々たる大きさで、より強い探究心が感じられます。穏やかな性格のヴュイヤールらしい単色の優しい作品ですが、このモダンな雰囲気、お好きな方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そしてロートレックのこの薄塗り、いつものようにキャンバスの素材厚紙の色まで使っての作品です。ビュイヤールもこの素材の色を使う間を生かす絵が多いのでまた改めてご紹介します。