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子供のためのオルセー美術館(60)カイユボット•何してるの?/パリの高級アパートで

このおとこえる?

ここはパリのアパート、
ベランダのまどからはい日差ひざしがまぶしい部屋へやです。

シューッシューッ、カリッカリッ、シュルッシュルッ…
これはなんのおとでしょう?

そうそうこういうおと、ちょっといてみて。


いったいこのひとたちは、ゆかうえなにをしているんでしょう。
ぞうきんがけ? いえいえ、じつは、

ふるくなったゆか表面ひょうめんをけずって、きれいにしているところなんです。
『かんな』という道具どうぐ使つかってうすくけずるのです。

かんな Rabot

シュルッ、シュルッ、シュルッ 茶色ちゃいろくよごれた床板ゆかいたをけずります。

部屋へやなかあつくてあせびっしょり、みんなシャツをいで
つかれてのどがかわいたら、ほら、あそこのワインをむのがフランスりゅう


けずってもけずってもなかなかわらない、そんな仕事しごとつづける人達ひとたち
画家がかのカイユボットは、パリではたらひとをまるできているかのようにえがきました。
床板ゆかいたながせんはずっとおくまでつづいてるみたい。
本物ほんものそっくりにくために、カイユボットはちいさい四角しかくかみにひとつひとつをこまかくいて、それをおおきなキャンバスにうつしていったのです。


「ああーもうあつくてやってらんないよ!」
あれ?なかの人たちがしゃべってる!

フランステレビが作ったビデオのシーン、3人の役者やくしゃさんが絵の中の人をえんじます♪

arte/RTT 
arte/ RTT 

絵の中の人が動くおもしろいビデオ。日本では見られないと連絡いただきました。残念!フランスTV arte RTT  2分50秒


Gustave Caillebotte
Raboteurs de parquet 1875
ギュスターヴ・カイユボット
床に鉋(かんな)をかける人々 1875

この絵は、都市のプロレタリアートを描いた最初の作品のひとつである。農民(ミレーの『落穂拾い』)や田舎で働く労働者(クールベの『石割り人夫』)はしばしば描かれてきたが、都市で働く労働者が絵画の主題になることはほとんどなかった。裕福なブルジョワであったカイユボットは、クールベやミレーとは異なり、作品に社会的、道徳的、政治的な言説を持ち込むことはなかった。身振り、道具、小物などの記録的な詳細な研究は、彼を最も経験豊かな写実主義者の一人としている。
カイユボットはボナからアカデミックな訓練を受けており、奥行きの効果によって強調された床板の配置は遠近法の伝統に則っている。剥き出しの労働者の胴体は古代の英雄のものだ。しかし、カイユボットはこのようなアカデミックな手法にとどまることなく、その厳格さを利用して現代世界を新たな方法で探求した。
1875年のサロンに出品されたこの作品は、その粗雑なリアリズムにショックを受けた審査員たちによって却下された(「低俗な主題」と評した批評家もいた)。その後、若きカイユボットは印象派に参加することを決意し、1876年に印象派の第2回展覧会に出品した。特にゾラはこの「正確さ故のブルジョワ絵画」を非難した。

musée d’orsay 

お読みいただきありがとうございました。
このカイユボットの作品は有名ですが、何をしているのかよくわからないまま雑巾がけの絵と思っていた方も多いようです。
かんなで削る音を知らないお子様、若い皆様のために宮大工さんのアップされた貴重なかんなの音を拝借しました。 《白鳳社寺HP https://hakuhoushaji.com
前回ご紹介したカイユボットの絵は、パリの雪の屋根でしたが、このようにカイユボットは現実味あふれる都市の建物や生活の様子を描きました。

オルセー美術館企画展印象派150周年 デモ50秒


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