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子供のためのオルセー美術館(28)ルソー・なに?なんかよう?遊んでるところなんだよ

美術館びじゅつかんにはねこがたくさんあります。
今日きょうは ルソーのねこいにいきましょう。


あそこにいる子猫こねこはいま、毛糸玉けいとだまあそんでいるところです。
ねえ、そんなにたのしいの?

ころころしてさ おもしろいんだ
やってごらんよ


今日きょうはいい天気てんき、 子猫こねこあしもとにはパンジーがさいているし
あっちにはたことないめずらしいおはな赤あかいのもしろいのもあおいのもあります。

今日きょうはマダムと一緒いっしょ散歩さんぽなの
マダムはね、
すてきながさ ってるんだ

やさしそうなでしょ
ぼくをなでてくれるの

おしゃれなドレスもてよ

今人気いまにんきのパフスリーブっていうの
そでが ふくらんでるやつ

マダムはさ、ちょっとだけ 
ボクよりおおきいんだけど

いつもこうやってやさしいおかおしてるし
きっと きみにもあそびにきてって
うにきまってる

いっしょに毛玉けだまあそぼうぜ

Henri Rousseau, dit Le Douanier
Portrait de Madame M. Vers 1895-1897
Huile sur toile
アンリ・ルソー
マダムMの肖像 1895-1897

独学で学んだルソーが、前衛芸術家たちに認められるようになったのは、彼の死後になってからである。ドイツでは「青騎士」(↓以下参照)グループのアーティストたちの主要な参考資料となり、フランスではアポリネールやピカソが彼をモダンの第一人者として称えた。この稀少な全身像の特徴は、その完成度の高さである。細部へのこだわりは鋭い観察眼を物語り、力強い様式はルネサンス絵画を彷彿とさせる。

参考 

ルソーが描いた数多くの肖像画の中で、このような全身像の肖像画を見つけることは稀である。
発想やレイアウト、制作も丁寧である。モデルの素性は不明だが、依頼されたものである可能性があり、ルソーは報酬が高い分より丁寧に制作したことが分かる。1895年頃に流行した「メディシ」と呼ばれるパフスリーブによって、この絵の年代を特定することができる。ブレスレット、優雅な持ち手のついた日傘、首に巻かれた薄いスカーフは、モデルがおそらくブルジョワであったことを示す。
ここでは、伝統的な遠近法の法則が消えている。柔らかく洗練された色彩、すっきりとしたライン、光り輝くフォルム。顔は通常のルソーの絵よりも硬質でない。ルソーは、髪の膨らみを少なくすることで(描き直した跡がある)頭部の重要性を減らしている。腕の非対称性と左足の前方位置がわずかな動きを作り出す。猫が毛玉で遊んでいるのが見える緑の背景も、このポートレートの硬さを和らげており、ドレスやパラソルの黒を際立たせるのに一役買っている。モデルの周りには様々な種類の低木や花が植えられているが識別することはできない。ただ、手前のパンジーは、いくつかの他の作品で取り上げられている。ルソーはこの作品で、少なくとも無意識のうちに、サロンのありふれた肖像画や17世紀のフランドルの偉大な肖像画に対抗しようとしていたようである。しかし何よりも、自分のスタイルと世界にいつも彼は忠実であった。 

musée d’orsay 

お読みいただきありがとうございました。
またまたの「猫の絵」登場でした。
黒が大部分を占めるサイズも大きな絵ですが、ルソーお得意の植物園で観察した背景の花や草木の細やかな柔らかい色彩表現で、透明感さえ感じさせます。
珍しい全身の肖像画ですが、ピカソ美術館にも同様の肖像画があります。確かにピカソ、好きそうですね。
子猫とマダムのサイズ感にはいつもながら驚かされますが、お子様とお話しを作りながら楽しんでいただきたい作品です。

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