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子供のためのルーブル美術館(31)天使が蝶々をつかまえたら・ショーデ/伝統と革新のヌードの絵も見くらべて

天使てんしはね本当ほんとうにはえているみたいじゃない?


今日きょう天使てんしアムールのおはなしです。
そこでなにをしているの?またなんかいたずらしてる?


天使てんしたちはいつもこんなふうに、もう自由自在じゆうじざい

ホラがいいてびまわったり、

イルカにってあそんだり
あ、そこっぱらないで! いたずらきだなあ。

あそこでは、蝶々ちょうちょういをしている。


さてさっきのアムールはどうしたでしょう?

はるがきて、蝶々ちょうちょうをつかまえたアムールは、一輪いちりんのバラのはなつけました。

そうだ、このちょうにバラのあまいにおいをかがせよう。

アムールはちょうをそっとバラにちかづけました。

ほら、いいにおい

ちょうげようとツツツ…とちいさくふるえていましたが、バラにがつくとすっかりうごきをめて

なんてあまくておいしそう それに
とってもやさしいにおい。

と、ゆっくり… ちかづきました。

さっきまでふるえていたはねのさきは、バラのはなびらみたいに透明とうめいのピンクになりました。


春 美術館脇チュイルリー公園


Antoine-Denis CHAUDET
Pierre CARTELLIER
L'Amour, 1817
アントワーヌ=ドニ・ショーデ
ピエール・カルテリエ
愛の天使 1817

翼を持つ愛の天使が蝶を薔薇の花に近づけている。昆虫は魂を、花は喜びを象徴している。天使はバラの香りを通して魂を愛の感情に目覚めさせる。このシーンは、愛の苦しみと快楽に直面した魂の苦悩についての哲学的考察へと見る者を導く。彫刻家が亡くなったとき未完成であったため、1817年に友人のピエール・カルテリエが完成させた。

musée du louvre 

サロン堂々入選のヌード カバネル

Alexandre Cabanel
Naissance de Vénus 1863  Salon de 1863
アレクサンドル・カバネル
ヴィーナスの誕生 1863   (今回は部分)
サロン入選作品 オルセー美術館蔵

この作品は保守的なサロンに入選。アカデミックなヌードの扱いに関するこの時代の特徴をすべて示しており、1865年のサロンに出品されたマネの『オランピア』に対するアンチテーゼのようなものである。

musée d’orsay 

〔参考〕サロンかろうじて入選ヌード マネ 

Édouard Manet 
Olympia 1863-65
エドゥアール・マネ
オランピア 1863-65

オランピアは、ルネサンス時代の裸婦のようなポーズをとる娼婦の不埒な神格化として読むことができる。1865年のサロンでは、少数の賛同者の例外を除いてこの絵画とその二重の罪に対する批判、恐怖の叫びが起こった。
無性的な身体に守られたサロンに多数展示された、伝統に則ったヴィーナスの代わりに、マネは冒涜的な身体とまなざしを持つ「透明な」女性の姿を登場させた。

musée d’orsay 

William Bouguereau
Naissance de Vénus 1879
ウィリアム・アドルフ・ブグロー
ヴィーナスの誕生 1879    オルセー美術館蔵 (今回は部分)

お読みいただきありがとうございました。
蝶々を持つ天使はルーヴル美術館の中庭にあり、いつも柔らかな日差しを浴びて不思議な魅力を感じさせます。
ルーヴルの古い絵画や、見学者も素通りする彫像はnoteでも人気がないですが、めげずに今後も投稿します☺️
さて、お子様のためと銘打っているため、名作といえどちょっと難しいと感じていた今日のオルセーのマネ、なんとも良い機会を得て!簡単ですがご紹介できる運びに。さすがの愛の天使アムールに感謝です。

印象派が生まれた19世紀末のフランス画壇において中心を占めていたのは、上の2枚のようなアカデミスムの絵画でブグローやカバネルもその一員でした。20世紀に入り、印象派などモダニスムの台頭とともに、旧勢力のアカデミックな絵画は美術史からも忘れ去られた存在になりますが、20世紀末頃からアカデミスム絵画の再評価がなされたのでした。

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