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子供のためのオランジュリー美術館(8)マティス・切り絵が生まれた日⑤/元気になってきたマチスおじさん最終回
やる気なくなっちゃったマチスおじさんのお話の続き⑤最終回
オランジュリー美術館企画展2023から
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南の島からアメリカへ。
1930年9月、元気になってきたマチスおじさんは、ここで大きな壁画を描くことになりました。
そうだ!
あのダンスの絵を、もう一度描こう!
ずっと前に描いた絵を思い出したのです。
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こんな感じはどうだろう。
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大きい壁にも描いてみました。
長い長いえんぴつを指の先で持って 軽くふわっと もっとふわっと。
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マチスは何度も色を変えながら考えます。
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これもちがう。
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うーん、これでもない。
どうしても気にいりません。
とうとうマチスは、途中で、この壁画を描くのをやめてしまいました。残念!
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それからマチスおじさんはどうしたでしょう。
実は、イタリアに、ジョットが描いたフレスコ画を見に行ったのです。
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うわぁーなんて素敵なんだ!
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この線、この色、この形。
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ジョットのフレスコ画は、形がはっきりして鮮やかな壁画でした。
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これだ!
イタリアから戻ったマチスは、今度は、紙を切って色をぬり、パズルのように動かして組み合わせていきました。
切り絵マチスの誕生です!
ピンクと青とグレーと黒
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思ったとおりだ!
そして、形のアイデアもいっぱい。どれにする?
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4番目のに決めた!
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マチスおじさんは3年という長くて困難な時を乗りこえて、ついに、ダンスの壁画を完成させたのでした。
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Le bonheur de vivre 《La Joie de vivre》
Henri Matisse (Joy of Life), 1905–06, oil on canvas, 176.5 x 240.7 cm (The Barnes Foundation, Philadelphia)
人生の喜び 今回は部分
マティスの写真 photo /Henri Matisse dessinant La Danse, (2001.25.50), 1931, photographe non identifié, collections des photgraphies,archives de la Fondation Barnes (c) 2011
La Danse inachevée
(1930-1931) - Musée d'art moderne de la ville de Paris
未完のダンス (1990年アトリエから丸めた状態で発見された)パリ市立近代美術館LA DANSE, HARMONIE GRISE グレーのダンス
LA DANSE, HARMONIE BLEUE ブルーのダンス
LA DANSE, HARMONIE OCRE オークルのダンス
1930-1931 Nice musée Matisse 【オランジュリー美術館企画展2023展示】スクロヴェーニ礼拝堂 イタリア パドヴァ
フレスコ画 ジョット Giotto di BondoneÉtude pour “La Danse ”1932
ダンスのための習作ガッシェ紙の切り紙を貼る(1作目のダンス習作、本絵は採寸の間違えで後に完成してパリ美術館へ) 1932 【オランジュリー美術館企画展2023展示】Cahiers d’art Quatre étais de la décoration pour la fondation Barnes ÉTUDE POUR LA DÉCORATION DESTINÉE A LA FONDATION BARNES, MERYON 1926年創刊前衛アート雑誌カイエダール【オランジュリー美術館企画展2023展示】
1930年9月27日、アメリカの富豪バーンズは、フィラデルフィアに近いメリオンにある自身の財団のメインルームに大きな壁画を描くようマティスに依頼した。部屋の装飾の全権を任されたマティスが選んだテーマはダンス。
記念碑的規模の作品に挑戦することで、マティスは自分の芸術の基礎を見直し、表現方法を大胆に変化させた。1906年にバーンズ・コレクションに収められていた《Le bonheur de vivre》ですでに登場していた「ダンス」というテーマに立ち戻る。
この長く困難な創作の過程で、マティスは大きなキャンバスに描かれた最初の作品「未完のダンス」を制作中止した。
その後イタリア、パドヴァに短期滞在し、ジョット(1267-1337)のフレスコ画を鑑賞したマティスは、”その構成の明瞭さ明確さが際立って非常に優れていた“と語っている。
そして、新しいパネル、新しい作業方法で、グワッシュの紙から切り取った形によって構想を練る(ガッシュ紙から切り取った形を使って構図をデザインする)ことから再び始めた。そして全体は、青、ピンク、黒、グレーといった均一な平板色で塗られた。
1933年5月、「ダンス」はメリオンで展示され「パリのダンス」として知られる採寸違いによる最初のバージョンは、その後完成した。
ダンスプロジェクトでの経験は、画家の手法に大きな変化をもたらし、よりコンセプチュアルなものとなった。マティスは1934年にこのように語っている:「私にとって全く新しい想像力の働きに専念したこの時間は、私の心の一面を発展させた」
お読みいただきありがとうございました。
2023年からの“やる気なくなっちゃったマチスおじさん”1930年代 ①〜⑤話、ついに最終回です。
60歳を前にして既に華々しい成功を手にしていたにも関わらず、絵のアイデアと描く気力がなくなったマティスは、創作活動を休止。その後異国旅行で感性を新たにモダンで斬新なアイデアを生み出していきます。
息を飲む美しさのジョットのフレスコ画、マティスはどんなに驚いたことでしょう。この出会いが切り絵の発想に繋がったのかもしれません。
前衛アート雑誌 Cahiers d'art『カイエ・ダール』の写真は当時のマティスが写したものですが、マティスは写真撮影がお気に入りだったようです。
このお話の続きは、現在日本で開催中の企画展「マティス 自由なフォルム」をご覧ください。素晴らしい企画展でマティスを堪能できると思います。
ダンスの後に描いた暖炉の壁画「歌唱」
(“やる気なくなっちゃったマチスおじさん”③話より)
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マティス自由なフォルム展 全15話•家庭画報記事
マティス自由なフォルム展、フランス側のオーガナイズを全てした当地の親しい同窓友人の連載記事が、家庭画報web 版にて大変好評です。
昨年のルーブル展連載に続き、美しい画像と共に、現地で直接取材交渉した本人ならではの興味深いお話が楽しめます。全15話
(抽選で展覧会チケットが当たるお楽しみもあります。ふるってご応募ください)
オランジュリー美術館2023マティス企画展のビデオ YouTube自動翻訳から日本語選択可能 マティスの1930年代
“やる気なくなっちゃったマチスおじさん”全①〜⑤話
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