子供のためのルーブル美術館(40)なんですと?わたしをご存知ないと?/世界ではじめて肖像画になった動物・バッサーノ
誇り高きわたしはだれ?
ここにも
ここにも
そしてここにも。
さあ、もうおわかりでしょう?
わたしが誰だか。
わたしは、世界ではじめて
肖像画になった犬です。
わあっ、どっちもすごく大きいし強そうだし、あの後ろ足、今にも飛びかかってきそうじゃない?
なんですと!
わたしが飛びかかると?
とんでもない
わたしは実に行儀がいいのです
しかも、わたしはルーブルの
あのモナリザと同じ部屋、
モナリザのすぐ近くにいるのですぞ。
そして、
かの有名なティントレットですら、
わたしを模写して描き写したのですから。
世界で初めての犬の肖像画
今から500年前、イタリア人のバッサーノが描きました。
昔は、犬の絵を描くような画家は誰もいません。バッサーノは、昔から伝わるお話の絵にも犬を描いたので、みんながびっくりしました。
「羊じゃなくて犬?」今までに見たことがない新しい絵を描いたのです。
青空いっぱいのお日様をあびて、猟の手伝いを終えた賢い2頭の犬。
これから家へと戻って行くところです。
Jacopo dal Ponte, dit Jacopo BASSANO
Deux chiens de chasse liés à une souche 1548
ヤコポ・ダル・ポンテ、通称バッサーノ
切り株につながれた2頭の狩猟犬 1548
バッサーノ 今回は部分
《エジプトへの逃避の間の休息》ミラノ、アンブロジアーナ図書館1563-64
《三博士の礼拝》ウィーン、美術史美術館1563-64
《善きサマリア人のたとえ》ロンドン、ナショナルギャラリー1562-63
Tintoret (Prado) Le Lavement des pieds
参考 ティントレット 足を洗う者(プラド美術館)
お読みいただきありがとうございました。
当時は犬を絵に描くなど思いもよらなかったでしょう。常識を覆したバッサーノの実力はルネッサンス同時代の画家仲間が皆認めるところ。犬だけでなく、多くの芸術家が古代ローマのファッションとみなしていた垂れ下がるような衣服の代わりに、バッサーノは16世紀当時の服を人物に着せました。
生涯を通じて多くの仲間の技術を版画で吸収し、自分の感性と調和させたバッサーノは当時人気者の画家でした。
次回ルーブルにいらっしゃるおりには、番犬のようにモナリザの右手奥にいる誇り高き犬たちもご覧ください。
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