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子供のためのルーブル美術館(39)ひらめく。/今年流行りのサンダル・プッサン
ひらめきはどこから
手にペンを持ち、叙事詩人は空を見上げました。
むかしむかしの英雄の詩を書きたいのです。
「もっと強くて激しい英雄たち。そして美しいギリシアの黄金の枝…」
すると、どうでしょう。
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神話に出てくる人たちが、すぐそこに見えた気がしました。
ひとりは月桂樹の葉っぱのかんむりに竪琴をひざに置くアポロン、もうひとりは、金色の王冠をつけて笛を持つミューズです。
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詩人の耳には、その笛の音が確かに聞こえたのです。
突然。
竪琴を持っていたアポロンの手が、詩人の紙を指差しました。
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ああ!
詩人は勢いよく書き始めました。
突然のひらめきはもう次から次へと。
書くお話は絶えることなくあふれ出るのでした。
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今から400年前、フランスの画家プッサンは、ローマでこの絵を描きました。
古代世界の風景を美しく描くプッサンは、王様にも気に入られるほどの人気でした。
遠くに見えるラピスラズリの青空に白い雲、そこにいる人々は光り輝いて見えます。
現れた神様たちの服の色は、黄色に、赤、オレンジのドレープ、どれも淡くてやわらかな色です。水色のリボンも!
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足もとにある本は、古代の詩人の英雄物語。
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叙事詩人は今、この本の続きを書いているのです。
今日はおまけ、お話の続き
竪琴を持っているアポロンと詩人のサンダルを見てみましょう。
なんか、おしゃれじゃない?
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アポロンは金色、
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詩人はオレンジシルバーのサンダル。
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今日はちょっとフランスのお店に行ってみました。
南フランスのお店の今年のサンダルはいかが?
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古代のお話の絵に出てきそう。
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地中海のエメラルド色の海が見えてきた?
夏は近いですね。
おしまい
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Nicolas POUSSIN
L'inspiration du poète Vers 1629
ニコラ・プッサン
詩人の霊感(インスピレーション) 1629
この作品は、プッサンが形の高貴さと色彩の魅惑の完璧なバランスを達成しつつあった時期の最も野心的な作品のひとつである。プッサンは、チェーザレ・リーパの『イコノロギア』の寓意的掟に従って、紙とペンを手に天に向かって目を上げる叙事詩人を描いた。インスピレーションは詩人にとって、詩的な激情であり、詩人の魂を引き裂くような熱狂であり、錯乱ですらある。
アポロンは調和と芸術の神、アポロンの背後に見える叙事詩のミューズ、カリオペは神々と人間の仲介者である。
描かれた3冊の本は『イリアス』『オデュッセイア』『アエネーイス』の3冊である(2018年から2019年にかけて実施された修復作業により、これらの銘文はプッサンより後のものであり、チェーザレ・リーパの『イコノロギア』(参照:ボードワン、1643年、II、76頁)にあるカリオペの表現を参考にして付け加えられたことが判明した)
このように、プッサンは私たちを創作過程の核心へと導く。詩人がヴァージルの黄金の枝を摘もうとする姿を見せるのだ。プッサンはここで、詩人の傑作の誕生の謎を解き明かすのである。
プッサンは、ジェフロワ・リノシエによって書かれナターレ・コンティの『神話』の巻末に掲載された『Mythologiae Musarum libellus』と題された論説に影響を受けたことは間違いない。実際リノシエはアポロンを詩的霊感の源としてミューズたちを神の霊感を人間に伝える天球の音楽の魂として、そしてとりわけこの絵のカリオペ(女神)をこの天球の音楽の魂を集中させる中心的人物として正確に描写している。3つの月桂冠については、ミューズたちが司る音楽の3つのジャンルが、科学、哲学、音楽の3つに対応しており、詩人への天からの才能の贈り物を象徴している。
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お読みいただきありがとうございました。
プッサンの色の美しさ、光りの扱い、お話の表現の真剣さは格別。さすがフランスを代表する画家なのですが、古代の絵は堅苦しいところがありますから、やはり印象派の絵の人気まではいきません。こちらをご覧になっていただいている皆様には、プッサンの絵を少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
神話の人物表現などは簡単にしていますので詳しくは上記説明をご覧ください。ぷくぷくの天使がなぜ月桂冠を携えているのかにも意味があるようです。
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