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【中小企業の経営者の方・人事・総務の方向け】 就業規則であそぼう 第7条 労働条件の明示

おはようございます。lotterです。

記事をのぞいていただき、ありがとうございます!


厚生労働省の「モデル就業規則」にツッコんで、就業規則の内容を解説しているというチャレンジングなこのシリーズ。

就業規則って正直よくわからないまま
使っていませんか?

それだと日常では役に立たないし、万が一トラブったときにもイチから確認して理解しなければなりません。

めんどくさいし、もったいないですよね?

何もないうちからちょっとずつ理解して、かつ、

就業規則ってこだわれるしこだわった方が
労務管理に役立つ

ということが少しでも伝わって欲しいなと思っています。

過去の記事はコチラから。

今回は7条め、「労働条件の明示」です。

1.いってみよう!

毎度おなじみ、厚生労働省「モデル就業規則」からの抜粋です。

(労働条件の明示)
第7条  会社は、労働者を採用するとき、採用時の賃金、就業場所、従事する業務、労働時間、休日、
その他の労働条件を記した労働条件通知書及びこの規則を交付して労働条件を明示するものとする。

この条文は正直不要だと思います。削除。以上。

・・・ではあまりにもなので、少しだけ解説させてください。

2.労働条件の明示義務

労働基準法では、採用時に、使用者は労働者に対して一定の事項を通知しなければならないとされています。条文はスルーで大丈夫です!

(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、
賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
○2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
○3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

明示する内容と方法については1項に、こう書かれています。

【内容】
賃金、労働時間、その他の労働条件
【方法】
厚生労働省令で定める方法

「その他」ってなんやねん!
「厚生労働省令」ってなんやねん!

実は、法律には、その法律の内容をさらに細かく定めた「法律そのものではないけど法律にひっついている規則」が設けられる場合があります。

ここでいう「厚生労働省令」もその1つで、それを受けて「労働基準法施行規則」というものが設けられています。

そこに書かれている事項を加味すると、結局、採用時に通知する事項はこうなります。

【内容】
1労働契約の期間
(期間がある場合は労働契約を更新する場合の基準)
2就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
3始業終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日、休暇等
4賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金締め日及び支払時期、昇給に関する事項
5退職に関する事項
6退職金の定めが適用される範囲、退職金の決定、計算および支払方法、支払時期
7臨時に支払われる賃金、賞与等に関する事項
8労働者に負担させる食費、作業用品等に関する事項
9安全衛生に関する事項
10安全及び衛生に関する事項
11職業訓練に関する事項
12災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
13表彰及び制裁に関する事項
【方法】
内容1〜5:書面(原則)
     FAX・メール等(労働者が希望した場合)
その他:なんでもかまわない

まさかの爆増。これが省令の怖さです。

ひぇぇぇぇ・・・

3.通知方法と就業規則の記載

数も多いし細かいのですが、でも、書面やメールで通知することが必要なのは1〜5だけ。

しかも、「就業規則で通知しなさい」とは書かれていません。採用した人に渡す必要はないということです。

とはいえ、1〜13はすべて就業規則に書かれているので、就業規則のコピーを渡せば事足りるのはその通りです。しかも、2019年3月までは、1〜5について書面だけがOKでメール等はNGでした。

だからモデル就業規則も、「この規則を公布」すると書いていると思うのですが、メールでもよくなった今その必然性はかなり怪しい。

テンプレ文面を用意してメールで送る方が効率的だし、紙も節約できます。

就業規則をまるままもらうよりも、労働者にとっても嬉しいのではないでしょうか。就業規則のデータを添付すれば完璧です。
※希望は聞いてくださいね。

そんなこんなで明示方法も時代にあわせて変わるので、就業規則にわざわざ「公布」とか書いちゃう必要はないんじゃないかなと思います。

4.おまけ

いかがでしたでしょうか。ここは就業規則の記載というよりは、実際の運用方法を工夫すべきところです。

就業規則の内容をしっかり理解してもらうことはめちゃくちゃ重要なのですが、

就業規則わたす→読んどいて

で理解してもらうことは不可能です。理解は別の機会にじっくりやるべきで、雇い入れ時の労働条件通知は

本当に重要な事項(1〜5)に限って熱心に行う

のがスマートな気がします。

なお、短時間労働者や有期雇用労働者と呼ばれる人たちについては明示すべき事項が増えます。それはまた別の機会に。

いかがでしたでしょうか?

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