土曜の夜はのんびりと。労働法のUI③ 誰のためにあるのか
こんばんは。lotterです。
記事をのぞいていただきありがとうございます!
労働法のUIを考えているこのシリーズ。過去の記事は最後にまとめていますので、よろしければそちらものぞいてみてください。
今回は、労働法は誰のためにあるのかということを考えてみます。広い目で見れば、
労働法が労働者のためにある
というのは疑いようがありません。
個別の規定やその運用の実情などをみると?がつくこともありますが、
理念として揺らいではいないでしょう。
ただ、よく言われる「多様化」によって何が「労働者のため」なのかは全くもって決められない世の中になっています。
例えば、「いい大学を出て一流企業に就職して会社に尽くして出世することが幸せ」という価値観を、働く人の多くが共有していた時代は、それを実現させることが「労働者のため」だったのでしょう。
・他社の内定を蹴った新卒就活生に不利益が
及ばないように、内定取消しを制限する
・入社した後で簡単に会社の外に放逐されないように、
解雇を制限する
・経済的な家庭責任を担えるように年功序列
(定期昇給)で賃金が決まるなら、降給を制限する
・入社時の労働条件が途中で悪くならないように、
就業規則の不利益変更を制限する
といった労働法の制限はこの価値観によく適合します。
その反面、使用者は多くの制限を抱えながら労働者を雇用することになり、カウンターとして、
・強力な指揮命令権
→例えば、残業命令自体は実質的に出し放題
(36協定の範囲内で)
・昇給や出世に関する広い裁量
→誰を出世させるかは会社の自由
・異動や転勤の強制力
→どこでもなんでもさせられる
という力を与えられます。そして、この力に基づいて「会社にフルコミットする」価値観も押し付けられるようになりました。
「押し付け」というのは、これに従わない人よりも従う人の方が基本的により「幸せ」になるからです。
この単一的な価値観とそれを前提にした労働法の運用は、労働法の使いにくさを象徴しているように思います。
なぜなら、この価値観によって生じる不利益に手当をするため、特別な場面で機能する法律がたくさんあるからです。
・育児休業や介護休業
・同一労働同一賃金
・労働時間の管理義務
・長時間労働の場合の医師による面接指導
・フレックスタイム制
などなど。挙げればきりがありませんが、これらを知らないと人が雇えない世の中です。
こういった制度が悪いと言っているわけではなく、「もっと単純にできないのか」ということです。
例えば、育児休業はそれが本来的に会社にとって・社会にとって必須な世の中になれば、自然と普及しなければならないと思います。
日本がこの状態になっていないことは、いわゆるM字カーブが解消されないことや男性の育児休業取得率の低さを見ても明らかです。
そうならないと、単なるパフォーマンス・宣伝で終わり、「多様な価値観の押し付け」というまったくおいしくないことになるように思います。あれも食べろ、これも食べろ、それは残すな・・・
こういった意味で使いにくいものって、反発を生んで、結局使われない。そうなると、ちゃんと守っている側がバカみたいになってしまうし、労働者が泣き寝入りしなきゃいけなくなる。
これって、どうやったら解消できるのでしょう。
「雇用は保障されるべき」みたいな1つの価値観をもとにした解釈を辞めることがその手段になると思っているのですが、周りの反応を見ているとそう簡単ではなさそう。
でも、頑張ろう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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では。また。
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