コネはやめるべき!?
よく「人脈」が大事と言われます。
実際に、政治の世界から、スポーツの世界から、末端の世界まで、「縁故主義」が蔓延っていて、「人脈」がある人が「有利」な世の中になっているのは事実のようです。
でも、個人的には「人脈」ほどあてにならないものはないと思っており、特に人材紹介をやっていると痛切に感じることがあります。
最近、私が前に勤めていた会社で早期退職があったようで、知り合いからの相談がいくつか来るようになりました。しかし、失業手当をもらっているからか、イマイチ真剣味を感じなかったり、求人を紹介しても反応がなかったりします。
アカの他人であれば知ったことではないのですが、知り合いだったり、紹介だったりするとそうはいきません。こちらとしては折角のチャンスなのに何をやっているんだとイライラ、ヤキモキさせられます。
企業もそうです。
知り合いの紹介、元同僚の転職先、元候補者の転職先・・・そういう企業と取引し、求人を手掛けたことは何度もあります。ですが、正直あまり良い印象がありません。「他の会社にも同じことをやっているんですか?」「大手さんはそんな要求を飲んでくれるんですか?」というようなレベルで、必要以上に無理難題を要求してきたり、候補者に迷惑をかけるようなことをしておきながら「あとは御社で処理しておいてね」という感じの対応をされることが頻繁にありました。つまり「なあなあ」で済まそうとする人の多いこと。。。
さすがに信頼関係が持てなくなり、二度とこちらから連絡を取るようなことはしなくなり、人間関係も終わってしまいました。
候補者との面談でも「知り合いの紹介」「当時の取引先」という企業に入社された方がかなり多くおります。世間では「上手くいっている」方は多いとは思います。ただ私が面談した候補者の方々は、「取引先としては良好だったが、一緒に働くと対立があった」「入社前に聞いていた話に乖離があった」などという話で短期間で退職され、結果的に人間関係も終わってしまうようなケースばかりでした。もちろん「倒産」「買収」という不可抗力のような話もありますが。
過去の企業でも、元取引先や家族親戚などの「コネ入社」は二桁くらいのケースを目の当たりにしてきました。多くの場合、上手くいくことは稀で、結局短期間で退職したり、降格となったり、周囲の批判を浴びたりでした。「一般入社」の人達は上手くいくケースが多かったですが、「コネ」はあまり良い結果をもたらしていなかったと思います。
どうしても「知り合い」や「紹介」になると、入社時の評価が高かったり、期待値が高くなりがちです。しかし思い通りのパフォーマンスができないと、「なんだ」ということになります。
しかも「知り合い」だったり、「紹介者の手前」だったりもあり、傷口が広がり、見るに見かねるまで我慢せざるを得なくなります。
むしろ「しょうもないバカ息子を頼みます」的な人であれば「期待値が低い」分良い結果になることがあるのではないでしょうか。
同じように人材紹介の立場からも「知り合い」の人は、勤務中の仕事ぶりを知っていたりします。「紹介」であっても、「この人の紹介なら間違いない」と思ってしまいます。
でも、その期待値が高いだけに、イライラさせられたり、ヤキモキさせられたりするのかもしれません。
なので、知り合いについても、こちらから深入りせず、期待もせず「応募したければどうぞ」というスタンスで臨むことにしました。こちらから声をかけることは一切しないと決めました。馬鹿らしいし、時間の無駄だからです。
取引企業に関しても、こちらから正面切って売り込みをかけても門前払いされるのに、コネであれば、赤い絨毯の上を歩いて取引できることもあるでしょう。
でも結局は、その先は「いいように利用」されるだけです。
人材も企業も、「アカの他人」の状態から、信頼関係を積み上げていくことが、一番の近道なのではないかと思います。もちろんちょっとしたことで、「積み木崩し」のような状態になるので、常に慎重に地盤を固めていくことが大事なのではないかと思います。
昨今の人手不足の業界、特にITエンジニアなどについては「リファーラル」という制度がありますが、私はむしろ「リファーラル」の候補者の選考ほど、慎重に行うべきではないかと思います。全ては「何処の馬の骨かわからない」からスタートし、選考プロセスの中で信頼を積み上げていくことが、結果的には成功すると思っています。
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