![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64867666/rectangle_large_type_2_36bd6cda007dc59cb314b30b61f084e9.jpg?width=800)
メイドインUKの掃除機・愛されキャラのヘンリー君
ヨークシャーに住む娘夫婦は、幼い2児を子育て中。だから私が滞在中は、なるべく家事など手伝ってます。
とくに掃除っ!
幼児がいるとダイニングルームの食べこぼし、子供部屋のお菓子くずは必須。そのうえ猫も1匹いるもんだから、掃除機は欠かせませんね。
でも最近その掃除機が壊れちゃったので、娘夫婦は新しいのを即購入。それが今回ご紹介するヘンリー君です♪
一度見たら忘れない!インパクトある風貌
今やイギリス中どこでも見かける掃除機の1つ、ヘンリー。
でもダイソンとは違い日本には進出していないため、多くの在英邦人と同じく私もこちらに住むまで知りませんでした。
ところがイギリスに引越して以来、この愛嬌ある顔が描かれた掃除機をやたらめったら色んな所で見るのに気が付いたんですねー。
まず最初の出会いは、子供たちが通う小学校。
放課後に掃除人さんが使ってる掃除機に、何やらクリクリ目玉が描いてある。そして額(?)にはヘンリーっていう名前まで!
しかも黒い帽子を被ってて、ゾウのように長い鼻が吸引ホース。キャラクターデザイン的にベタというか、分かりやす過ぎるというか?!笑
それ以来、最初にバイトしたレストランでも、次にパート勤務した保険ブローカーでも、正社員となった運輸会社でも、クルマを車検に出したガレージでも・・・。
あらゆる所で、片隅から「じぃーっ」と見つめてくるヘンリー君。
この顔つき掃除機、何故こんなに人気あるわけ?!と気になり始めたのも当然でしょう。
ドラム缶に洗面器が土台!?頑健なヘンリー誕生
ヘンリーの生みの親でもあるクリス・ダンカンが、ニュマティク社(Numatic International)を設立したのは1969年のこと。
ボイラーの内部を吸引掃除しても壊れない、頑健な掃除機が必要だと思った彼。やがて灯油缶にプラスチック洗面器を乗せ、灯油の注ぎ口からホースをつなげた超シンプル構造の掃除機を発案!
だからヘンリーは今でも鼻(ホースの着脱箇所)の付け根が、その灯油注ぎ口だった2インチ=約5センチとほぼ同じサイズの穴なのです。
さて新しい発想の掃除機を完成させたとはいえ、最初から爆発的に売れるほど世の中は甘くないですね。しばらく無名の弱小メーカーとして健闘した同社に、転機が訪れたのは1970年代半ば。
ある製品展示会に出展したものの、ヒマを持て余したダンカンと営業社員。
ヒマつぶしに、自社の掃除機にリボンや労働組合バッジを付け、帽子を被せたりホースの下に「ニヤッ」と笑う口を描いたのです。
すると翌日、来場者がそれを見て笑っているのに気が付いたダンカン。営業社員にしかるべき顔をデザインさせ、ヘンリーと命名。
そして1981年には、その名前を帽子部分に冠した製品が誕生したのです!
メイドインUKの人気者 ヘンリーが愛される理由
ところでニュマティク社は、TVコマーシャルなど宣伝行為を一切しない事でも有名。なのに今まで合計1400万台も売れている!
その人気の秘訣は、第一にその発案理念にあった通りの頑丈さ。もうホントどんなにガンガン酷使しても、滅多なことじゃ壊れないんですねー。
さすがドラム缶に洗面器をのっけた祖先をもつだけの事あるヘンリー。てか今も構造的にはそれほど変化してないし、まさにシンプル・イズ・ベストを具現した掃除機です。
しかも酷使されようが階段からウッカリ落とされようが(←けっこう重いので、時々あること笑)、常に通常運転スマイル。
どことなく、苦境をもユーモアに変えちゃう英国人に似ているような気もしませんか?
そして「今でもイギリス国内生産を続けている、唯一の掃除機メーカー」という点も見逃せないでしょう。
英国の掃除機メーカーとして人気のダイソンですら工場はマレーシア、本社も今やシンガポール。設計やデザインは英国で続けているものの、もはやメイドインUKじゃないんですね。
女子版ヘティにジェームズ、チャールズ 仲間もいっぱい!
ヘンリーには仲間も増えました。ピンク色で睫毛のチャーミングな女の子ヘティは、私も前の家で愛用していた子。彼女は外見以外、ヘンリーと全く同じ機能のパワフル女子。
その他にカーペットクリーニングも得意なジョージ、大容量で業務用にも活躍するチャールズ、ペットの毛だけでなく獣臭も軽減するフィルターを備えたハリーなど。
ドラム缶と洗面器だった(←しつこいw)質実剛健ヘンリーに、余計な機能なんて不要です。
赤いボタンは電源につながっているかどうかを示し、スィッチは「0:オフ」「1:オン」の2択。極めつけは、手動式でぐるぐる回すコード巻取り!
このヘンリー君を時代遅れと見るか、愚直だけど信頼できる友だちと見るか・・・。
それは即ち「イギリス生活を楽しめるかどうか」にも置き換えられる、価値観のリトマス紙と言えるでしょう!
【↓おもちゃ版のヘンリー君です♪】
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?