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いつかは宇奈月温泉♨

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最近の記事

Case10.志免町給水拒否事件〈最判平11.1.21〉

POINT🎯 行政が給水契約を拒否することは許されるのか? 私たちの生活に欠かせない水。 その品質管理や供給の安定性を守ることはとても重要です。 主として、この責務は地方自治体にありますが、人口の集中に伴う需要の増加を理由に、行政が給水を拒否することは許されるのでしょうか。 福岡県志免町(しめまち)では、人口の過密化が急激に進み、認可された水源だけでは需要に応えきれなくなり、供給が不安定になりました。 その後も、さらなる人口増加とそれに伴う将来の深刻な水不足が予測されてい

    • Case9.八幡製鉄政治献金事件〈最大判昭45.6.24〉

      POINT🎯 憲法に規定される国民の人権は、法人にも保障されるのか? 1901年(明治34年)に操業開始した「官営八幡製鉄所」を源流とする八幡製鉄株式会社は、戦後の財閥解体を経て日本の鉄鋼生産量の大部分を担っていた巨大企業です。 この会社の取締役が会社名義で、自民党へ政治献金を行いました。 これを定款に逸脱する支出だと主張して、会社の株主が損害賠償請求を訴えたのがこの事件の発端です。 最高裁の審理では、企業は人を通じて活動し、その恩恵は最終的に人々にもたらされるため、企業

      • Case8.辺野古新基地建設問題 代執行訴訟(福岡高裁那覇支部R5.12.20)

        POINT🎯 なぜ知事は埋め立て工事を承認しなかったのか?地方自治に国が関与する「代執行」とは何か? 1996年の日本とアメリカの合意により、沖縄の米軍普天間飛行場の諸問題を解決し、基地負担を減らすため、名護市辺野古の海を埋め立てて新しい米軍施設を作ることになりました。 埋め立て工事が進むうちに、専門家が「マヨネーズ状」と表現するほど、海底の地盤が軟弱であることがわかりました。 これを解決するために、国は沖縄県に工事の設計変更許可を申請しましたが、県はこれを認めませんでし

        • Case7.宜野座村工場誘致事件〈最判昭56.1.27〉

          POINT🎯 行政計画の変更は許されるか?変更によって生じた損害は補償されるか? 1970年頃、沖縄では多くの若者が本土に仕事を求め、地元を離れていました。 この問題を解決するため、沖縄では基幹産業の育成を目指していました。 宜野座村でも企業の誘致に力を入れていたところ、製紙工場建設の申し出があり、村はこの企業に土地を提供し、河川の使用や取水、その他必要な手続きなどを全面的に支援することを示しました。 ところが、数年後の村長選挙で、こうした政策に反対する候補者が当選し、新

        Case10.志免町給水拒否事件〈最判平11.1.21〉

        • Case9.八幡製鉄政治献金事件〈最大判昭45.6.24〉

        • Case8.辺野古新基地建設問題 代執行訴訟(福岡高裁那覇支部R5.12.20)

        • Case7.宜野座村工場誘致事件〈最判昭56.1.27〉

          Case6.那覇市情報公開決定取消請求事件〈最判平13.7.13〉

          POINT🎯 市民団体の情報開示請求に応じた市の公開決定について、国がその取消訴訟を提起することはできるのか? わが国では、行政機関の活動を国民に説明するために「情報公開法」が定められています。 これにより、たとえ外国人であっても、誰もが行政機関の文書など情報開示を請求できる権利が守られています。 この法令に基づき、市民団体が国の施設である「海上自衛隊対潜水艦戦作戦センター建築計画資料」の開示を求め、那覇市長はその公開を決定しました。 これに対して、国は国防上の支障が生じ

          Case6.那覇市情報公開決定取消請求事件〈最判平13.7.13〉

          Case5.孔子廟(こうしびょう)訴訟〈最大判令3.2.24〉

          POINT🎯 国や地方公共団体の行う公的支援は、どのような場合に憲法20条や89条(政教分離の原則)に違反することになるのか? この訴訟は、沖縄県那覇市にある「孔子廟」という施設が、市の管理する公園の中に設置されていたところ、市が公園を無償提供していたことを問題として提起されました。 孔子廟とは、儒教の孔子を祀る施設で、宗教的な意味合いを持っています。 市は、孔子廟が沖縄の歴史や文化を伝える公共的な施設であり、観光にも活用されていると主張しました。 一方、憲法には「政教分

          Case5.孔子廟(こうしびょう)訴訟〈最大判令3.2.24〉

          Case4.伊方発電所原子炉設置許可処分取消訴訟〈最判平4.10.29〉

          POINT🎯 日本で最初の原発訴訟で、裁判所はどのような基準で判断したのか? 四国の原発建設計画は、1966年に愛媛県で始まりました。 過疎化に悩む伊方町では、地域振興を期待して原発誘致が進められ、国に原子炉設置許可を申請し、1972年にその承認を得ました。 これに対し、建設予定地周辺の住民は、国の安全性の審査が不十分だとして許可処分の取消訴訟を提起し、これが日本で最初の原発訴訟となりました。 最高裁判所では、原発の安全性を国が判断する行政裁量と、裁判所がこれをどのように

          Case4.伊方発電所原子炉設置許可処分取消訴訟〈最判平4.10.29〉

          Case3.徳島市公安条例事件〈最大判昭50.9.10〉

          POINT🎯 条例で法律より重い罰則を定めることや文言が不明確な法規は憲法31条(罪刑法定主義の原則)に違反するか? 地方公共団体は法令に違反しない限り、地方自治法に基づいて独自の条例を制定することができます。 この事件は、1952年に徳島市が制定した「市民の安全及び保安の確保に関する条例」が、憲法で保障された「表現の自由」を制限するとして、市民や市内の活動団体などが反対運動を展開したことが発端となりました。 デモ行進のような集団行動は、「動く集会」として憲法の表現の自由

          Case3.徳島市公安条例事件〈最大判昭50.9.10〉

          Case2.泉佐野市民会館事件〈最判平7.3.7〉

          POINT🎯 公の施設の利用を拒むことは憲法21条(集会の自由)の趣旨に反するか? これは、1984年に関西国際空港の建設に反対する団体が、泉佐野市民会館で「関西新空港反対全国総決起集会」を開こうとしたときの出来事です。 市民会館の利用申請について、泉佐野市長は、その団体の過激な活動歴や対立する他の団体も存在したため「公の秩序を乱すおそれがある場合」などに当たるとして利用を認めませんでした。 この不許可処分に対して、集会の主催者は処分の取消しと損害賠償を求めて裁判を起こ

          Case2.泉佐野市民会館事件〈最判平7.3.7〉

          Case1.奈良県ため池条例事件〈最大判昭38.6.26〉

          POINT🎯 条例による財産権の制限は、憲法29条(私有財産制度の保障)に違反するか? 奈良県には昔からたくさんのため池があり、農民はそこから水を取ったり、その堤とうに畑を作ったりしていました。 しかし、万が一ため池の堤とうが壊れると、大きな洪水が起こるのではないかと心配されていました。 そこで、奈良県では1954年に『ため池の保全に関する条例』を制定して、みんなが安全に生活できるようにと考えました。 この条例では、ため池の堤とうが危険にさらされることになる畑作りを禁止す

          Case1.奈良県ため池条例事件〈最大判昭38.6.26〉

          参照判例集⚖(降順・参照回数別)β

          ※編集中📝(markUp $)  ◆ 最大判令2.11.25 (2回) 地方議会議員出席停止 地方議会議員の出席停止処分は司法権の判断が及ばないとされていたが覆った→司法権の対象  ◆ 最判令2.2.28 (1回) 逆求償 相当と認められる額について、使用者に対して求償することができる  ◆ 最大判令 2.11.25 (1回) 岩沼市議会議員出席停止処分事件 普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰は、議会に一定の裁量が認められるべきであるものの、司法審査の対象と

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