見出し画像

Case5.孔子廟(こうしびょう)訴訟〈最大判令3.2.24〉

POINT🎯
国や地方公共団体の行う公的支援は、どのような場合に憲法20条や89条(政教分離の原則)に違反することになるのか?


この訴訟は、沖縄県那覇市にある「孔子廟」という施設が、市の管理する公園の中に設置されていたところ、市が公園を無償提供していたことを問題として提起されました。

孔子廟とは、儒教の孔子を祀る施設で、宗教的な意味合いを持っています。
市は、孔子廟が沖縄の歴史や文化を伝える公共的な施設であり、観光にも活用されていると主張しました。
一方、憲法には「政教分離の原則」が定められており、国や公共団体が特定の宗教を優遇することを禁止しています。

最高裁判所では、孔子廟の宗教的な性質と市の無償提供との関係が焦点となりました。
その結果、この無償提供は市が特定の宗教へ便益を提供していると評価されてもしかたのない程度だと判断し、憲法違反であると結論づけられました。

この裁判では、この判決が他の同様の施設に一様に適用されるわけではないことも示され、「政教分離の原則」と公共事業のバランスは複雑で、どのような公的支援であれば許されるのか、という点で重要な判例となりました。

この判決のあと、孔子廟自体の撤去を求める訴えが提起されましたが、市の請求に対して使用料がきちんと支払われていたので却下されました。
つまり、使用料の支払いによって、政教分離には反していないと判断されたのです。

©2023 written by ChatGPT-4


市の公園敷地内にある孔子廟(意外に広い) © Google

📝雑記
この訴訟の判決は、ちょうど法律の勉強を始めた頃に下されました。
そのため、テキストの改訂や覚え直しで焦らされたこともあり、是非とも一目見てやりたいという思いのある判例地でした。
訪れたときは、夜9時を回っていましたが、しっかりとライトアップされていて、その静けさと風格ある佇まいに、そんな思いも癒されていきました。
なお、「孔子廟」とは、全国にある孔子を祀る施設の総称で、この施設の固有名は「久米至聖廟(くめしせいびょう)」だそうです。

この門扉が開くのは、年に1度の祭礼のとき
 正門の看板には「至聖廟」と書かれていた (© 不許複製)

〈備忘録〉


◆この「判例地探訪録」は、有名判例の概略をChatGPTに平易な表現で解説してもらい、現地を訪れた記録とともに紹介するシリーズです。
◆この判決の詳細については、下のリンクから確認することができます。
🔗 裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan



この記事が参加している募集

最近の学び