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人類学者デヴィッド・グレーバーがインタビューに応えていた。

デヴィッド・グレーバーがインタビューに応えていたのを今朝Twitterで見かけた。よかったので共有したい。

デヴィッド・グレーバー

デヴィッド・グレーバー(David Graeber)
1961年、ニューヨーク生まれ。文化人類学者、アクティヴィスト。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス大学人類学教授。

*Brut Japanの冒頭で彼は「作家」と紹介されていた。グレーバーはいつから「作家」になったのか、と勝手に困惑した。

著書:『アナーキスト人類学のための断章』(2006年)、『官僚制のユートピア』(2017年)、『負債論──貨幣と暴力の5000年』(2016年)、『ブルシット・ジョブ:クソどうでもいい仕事の理論』(2020年)。

Brutのインタビューに応えるグレーバー

グレーバーの言うように、ある意味で今の状況は現実を直視するためにはちょうどよかったとも思える。例えば、仕事が家でできるならコロナが収束しても家ですれば良い。わざわざ満員電車で通勤しなくとも仕事はできることはこの度、証明された。

そして、人間が生きていくため/生活するために絶対になくなってはいけない仕事には適切な報酬が払われるべきだ。これはお金とは限らない。グレーバーの言うところの「ケア」を十分にすることが必要なんだろう。

以下は少々長いが、Brutでのインタビューの抜粋。Brutの日本語字幕をそのまま載せている。

全てが終わった頃にまるで夢だったかのように思わされるでしょう。この奇妙なものがやってきて、現実とは関係なくて、そして皆目が覚めたように通常の生活に戻っていく。しかし本当はその夢が現実だったのです。これが現実なのです。(中略)人間は細菌レベルではとても弱い存在で、助け合わないと生きていけないのです。

経済とはどうやってケアをするか。私たちが互いに生存するための方法なのです。お互いをケアし、環境にも注意する。そうしないとすぐに大きな問題が生じる。

多くのことが変化していくはず。今まで価値があるものを生産していると思われていた人々や生産行動の考え方が大きく見直されるでしょう。本当に価値があるものは我々の生存を助けるもの。

ブルシットジョブをしている(クソどうでも良い仕事)と思う人たちは、イラストを用意して、パワポでプレゼンを作ったり、経営陣が会議で見せるプレゼンを作って、まるで中世の馬上試合のようにお互い派手に見せて戦い合って、またどんな企業にもありそうな、経営者がどれだけ素晴らしいかを語る社内広報誌を書いたり。確かに経営者にとって嬉しいことはお抱えの綺麗な情報誌で自分のことや自分の人生について話したりする。そのために人を雇うこともできる。こうした自惚れた個人たちのエゴを助長して地球を破壊している。仕事に行くために車を運転して「俺の下で300人働いているんだ」と言うために出勤する。建物に使う暖房で発生する炭素の問題、そしてそれを囲むインフラ整備など、巨大なエゴを建設しているようなもの。これらがまさに地球を破壊しているのです。

現在の状況は私たちにとってこのようなことがどれだけ無駄かに気づき、変わるための良い機会だと思うのです。

経済とは何かをもう一度考え直すべきだ。

「現代ビジネス」のインタビューに応えるグレーバー

『「意味のないクソ仕事」をする人ほど給料が高い…この大いなる矛盾』
ここでは”Bullshit Jobs”(クソどうでも良い仕事)について語っている。


文献リスト

*出版年・本のタイトル・訳者・出版社。
□ 2006『アナーキスト人類学のための断章』高祖岩三郎 訳、以文社。

□ 2016『負債論──貨幣と暴力の5000年』酒井隆史 監訳、高祖岩三郎、佐々木夏子 訳、以文社。

□ 2017『官僚制のユートピア』酒井隆史 訳、以文社。

□ 2018 Bullshit Jobs: A Theory, Simon & Schuster. 

□ 2020『ブルシット・ジョブ:クソどうでもいい仕事の理論』酒井隆史、芳賀達彦、森田和樹 訳、岩波書店。

*追記:本の追加(2023年2月14日)


2020年5月1日金曜日。

5月になった。緊急事態宣言は案の定、延長されるようだ。IELTSを申し込んでいたが、そこまで急いでないから、キャンセルした方が良いかもしれない。パートナーは今日が仕事初日だった。電話での声を聞く限り、楽しかったようでこちらも嬉しかった。

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