終わらぬ、「あと2週間」。
ナチス・ドイツのある強制収容所では1944年のクリスマスと1945年の新年のあいだの週に、かつてないほど大量の死者を出した。収容所の医長の見解では、過酷さを増した労働条件や悪化した食料事情、気候の変化、新たにひろまった伝染病の疾患が原因ではない。
むしろこの大量死の原因は、多くの被収容者が、クリスマスには家に帰れるという、ありきたりの素朴な希望にすがっていたことに求められる、という[フランクル 2002:128]
クリスマスの季節が近づいても、収容所の新聞はいっこうに元気