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カマラ・ハリスの勝利演説!

誰がバイデン大統領候補の副大統領候補になるのか?

2020年6月26日時点で、アメリカ先端政策研究所(The Center for American Progress: CAP)上級研究員のグレン・フクシマ 氏は、バイデン大統領候補が副大統領候補を選ぶ際に、次の5つの基準が重要だと述べている。

①11月3日の選挙で誰ならば最もバイデンの勝利を助けることができるか、②バイデンが勝利するとして、誰が最もバイデンを副大統領としてホワイトハウス内でサポートすることができるか、③バイデンが大統領任期中に職務の遂行ができなくなった場合に、誰が代わりの大統領として最も準備ができているか? ④2024年の大統領選挙に出馬して、民主党に次世代のリーダーシップをもたらすのに誰が最も適任か、⑤バイデンが「シンパティコ (相性のよさ)」を感じるのは誰かーー。

フクシマ氏は、具体的な副大統領候補として11人の名前を列挙し、その中でも5人のアフリカ系アメリカ人が「若者、女性、有色人種、東海岸以外の地域の有権者の間で支持を高める」ために効果的であると述べている。そして、「最も適格な人物」として、カマラ・ハリス上院議員の名前を挙げている。6月26日時点で、ここまで予測できていたとは、すばらしい「先見の明」ではないだろうか!

その一方で、彼は、ハリスに不利な3つの要因を挙げている。第一に、彼女がカリフォルニア州司法長官を務めていた際、「革新性」が不足して保守寄りだと民主党内で批判があること。第二に、彼女はカリフォルニア州選出の上院議員だが、すでにカリフォルニア州は民主党の強固な支持基盤であり、バイデン支持が確実視されているので、州票の上乗せにはならないこと。

第三に、これが最大の不利な要因と考えられるのだが、2019年7月5日の民主党予備選挙討論会で、バイデン氏が過去にカリフォルニア州の「スクールバシング(School Busing)」(差別撤廃に向けたバス通学=同じスクールバスで多様な地域の子どもを通学させて人種差別を解消する方法)に反対していたことを指摘して、ハリスがバイデンを批判したという事実がある。この批判を、バイデンの妻ジルや、側近の一部が許容していないというのである。

ハリス副大統領候補の確定

さて、民主党の選挙対策本部は、8月8日の予定から3日遅れて副大統領候補を公表した。当時の報道によれば、副大統領候補は、ハリスとスーザン・ライス元国家安全保障担当大統領補佐官の2人に絞られていたから、バイデンは最後の最後まで、どちらを指名するか悩んだのではないだろうか。

カマラ・ハリス(Kamala Harris)は、1964年10月20日生まれ。ジャマイカ生まれの父ドナルドは、ロンドン大学卒業後、カリフォルニア大学バークレー校大学院博士課程修了。その後、スタンフォード大学経済学科の教授となり、現在は名誉教授。インド生まれの母シャーマラは、インドの大学を卒業後、カリフォルニア大学バークレー校大学院博士課程修了。栄養学・内分泌学の専門研究者である。

この二人の優秀な大学院留学生がカリフォルニア大学バークレー校で出会い、結婚して、ハリスが生まれたわけである。その後、妹が生まれたが、両親はハリスが7歳のときに離婚。姉妹は病院に勤務する母シャーマラが引き取って育てた。シャーマラは「乳がん」研究に功績を挙げたが、2009年に亡くなっている。

ハリスは、ハワード大学卒業後、カリフォルニア大学ヘイスティングス法科大学院を修了。司法資格取得後、アラメダ郡地方検事局、サンフランシスコ地方検事局を経て、2004年に第27代サンフランシスコ地方検事に選出された。さらに2011年1月3日、ハリスは「初の女性・アフリカ系・インド系」としてカリフォルニア州司法長官に選出された。2016年には上院議員選挙に立候補して当選し、カリフォルニア州で3人目の女性上院議員となっている。

ハリスは、2014年に弁護士ダグラス・エムホフと結婚した。夫妻は、エムホフの前妻の子ども2人と一緒に暮らしている。

ハリスの勝利演説

そして、11月7日、ハリスはバイデンとともに勝利演説を行った。彼女は、アメリカ合衆国で最初の「女性副大統領」となったわけである。「私は最初の女性副大統領かもしれませんが、最後ではありません(But while I may be the first woman in this office, I won’t be the last.)」というスピーチは、歴史に残る「勝利演説」になるだろう。

過去の彼女の画像を見ると、検事から司法長官といった司法畑を歩んできたためか、黒・濃紺・濃茶色といった色彩を抑えた服装がほとんどだが、この日の彼女の服装は「純白」のスーツだった。もしかすると彼女は、この日まで「純白」を着ることを封印していたのかもしれない。

そう思っていたら、「純白」は、19世紀末から20世紀初頭に女性の参政権を求めた運動家たちのグループ『サフラジェット(Suffragette)』のシンボルカラーだという『ELLE』の記事があった。

彼女は、『ELLE』2020年11月号の表紙に掲載されている。

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さて、ハリスの演説は、「今夜、これを見ているすべての幼い女の子は、この国が可能性に満ちていることを知ったはずです(Because every little girl watching tonight sees that this is a country of possibilities.)」と続く。

そして、ジェンダーに関わらず、私たちの国の子どもたちには、私たちの国から次のメッセージを送ります:大志を抱いて、信念を持って、それまでに他の人がしなかったというだけの理由で諦めないで、他の人がしない独自の見方をしてください。(And to the children of our country, regardless of your gender, our country has sent you a clear message: Dream with ambition, lead with conviction, and see yourself in a way that others might not see you, simply because they’ve never seen it.)あなたたちが進む一歩一歩を、私たちは称えます。(But know that we will applaud you every step of the way.」

読者は、この勝利演説を視聴して、どのようにお考えだろうか?

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