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第2章 分ける

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 今回の内容は以下の3つです。
1.主題で分ける
2.一文に分ける
3.主語と述語に分ける

1.主題で分ける

 まず、主題で分けるについて。
 主題で分けるとは、文章を主題ごとに分けるということです。

 以下の文章は、主題が複雑になっています。

 私はA子が好きだ。なぜなら、A子は天使のような愛くるしい顔をしているうえに、A子は小悪魔のような意地悪な性格をしているからだ。B男はC子が好きだ。なぜなら、C子は面倒見がよいからだ。私がA子に告白しようか食べ物が喉を通らないほど迷っている理由は、A子に付き合っている人間がいるか分からないからだ。

 なぜ、この文章の主題が複雑になっているのでしょうか?
 それは、「私の好みのA子」という主題と「B男の好きなC子」という主題が混在しているからです。

 そのため、上記の文章を主題ごとに分けてみましょう。

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 共通の主題 『好きな人』

 ①主題 「私の好きなA子」
 私はA子が好きだ。なぜなら、A子は天使のような愛くるしい顔をしているうえに、A子は小悪魔のような意地悪な性格をしているからだ。私がA子に告白しようか食べ物が喉を通らないほど迷っている理由は、A子に付き合っている人間がいるか分からないからだ

 ②主題 「B男の好きなC子」
 B男はC子が好きだ。なぜなら、C子は面倒見がよいからだ。

 以上が先ほどの文章を主題ごとに分けた結果です。
 先ほどの文章は「私の好きなA子」と「B男の好きなC子」という2つの主題に分けることが出来ました。さらに、「私の好きなA子」と「B男の好きなC子」という2つの主題は『好きな人』という共通の主題に分けることが出来ました。

 では、主題で分けるメリットとは何でしょうか?

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 主題で分けるメリットは主に2つあります。

 1つ目は、情報の整理です。
 複数の文章をたった1語で分類化することができるので、複数の情報を簡単に整理できます。実際に、人間が思考する時は脳内で情報が錯乱してしまいがちです。例えば、①主題「私の好きなA子」の私がA子へ告白するとしましょう。その時に、私はA子への上手い告白の方法を考えていたにもかかわらず、気が付いたら、現在A子は何をしているのか、A子に元カレはいるのか、A子とその友達のB男はどこで知り合ったのか、というA子に関連した余計のことを考えてしまいました。しかし、それらの情報は、現在考えるべきである「A子に対する成功する告白方法」という主題とはあまり関係のないことを考えてしまっています。みなさんも似たような経験があるのではないでしょうか?それゆえに、人間の自由自在に考える思考を主題ごとにグループ化して考えることは、思考を整理する上で大切なことです。

 2つ目は、思考速度の向上です。
  複数の文章をたった1語で表現することが出来るので、毎回、それらの文章を取り扱うときに、複数の文章を思い出す必要がなくなります。例えば、①主題「私の好きなA子」について考える度に①の主題に関する複数の文章を思考するよりも、それらを①主題「私の好きなA子」と分類化することによって、再度、①主題について考える時は「私の好きなA子」というたった1単語だけで、それらに関連した複数の文章を取り扱うことができるからです。要するに、わざわざ①主題「私の好きなA子」の話題を取り出す時に、そのことに関連した情報を長々と取り上げる必要がなくなるからです。ちなみに、ディベートでは、この主題化というテクニックは限られた試合時間の中で複雑かつ緻密な資料を元に繰り広げられる相手の主張をメモする際に必須のテクニックとなります。なぜなら、限られた時間の中で膨大な情報をメモするためには、それらの情報を簡略化しないと手記が間に合わないからです。

2.一文に分ける

 次に、一文に分けるについて。
 一文に分けるとは、複文を一文に分けるということです。

 以下の①主題「私の好きなA子」について述べられた文章は、長文な部分があります。

 私はA子が好きだ。なぜなら、A子は天使のような愛くるしい顔をしているうえに、A子は小悪魔のような意地悪な性格をしているからだ。私はA子に告白しようか食べ物が喉を通らないほど迷っている理由は、A子に付き合っている人間がいるか分からないからだ。

 なぜ、この文章に長文な部分があるのでしょうか?
 それは、「私がA子を好きな理由」と「私がA子に告白しようか迷っている理由」がそれぞれ複文になってしまっているからです。

 そのため、上記の文章を一文に分けてみましょう。

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 【添削前】
 主題「私の好きなA子」 
 私はA子が好きだ。なぜなら、A子は天使のような愛くるしい顔をしているうえに、A子は小悪魔のような意地悪な性格をしているからだ。私はA子に告白しようか食べ物が喉を通らないほど迷っている理由は、A子に付き合っている人間がいるか分からないからだ。

 【添削後】
 主題「私の好きなA子」
 私はA子が好きだ。なぜなら、A子は天使のような愛くるしい顔をしている。しかも、A子は小悪魔のような意地悪な性格をしているからだ。私はA子に告白しようか食べ物が喉を通らないほど迷っている。その理由は、A子に付き合っている人間がいるか分からないからだ。

 以上が先ほどの文章を一文に分けた結果です。
 ①主題「私がA子を好きな理由」の文章の複文を一文に分けることで、「私がA子を好きな理由」が2つあることを明示化出来ました。さらに、「私がA子に告白しようか迷っている理由」の複文の部分を一文に分けることで、「私がA子に告白しようか迷っている現状」と「私がA子に告白しようか待っている理由」が分かり易くなりました。

 では、一文に分けるメリットは何でしょうか?

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 一文に分けるメリットは2つあります。

 1つ目は、読解力の向上です。
 文章全体が理解しやすい形になります。なぜなら、複数の文を一つ一つ丁寧に一文に分けることで、文相互の接続関係が明確になるからです。実際に、先ほどの主題「私の好きなA子」の【添削前】と【添削後】は、2つの私がA子を好きな理由が「しかも」という累加の接続語で結ばれることで、「私がA子を好きな理由」が2つあることを明示化出来ました。さらに、「私がA子に告白しようか迷っている現状」と「私がA子に告白しようか待っている理由」が「その理由は」という理由を示す接続語で結ばれることで、現状とその理由が分かり易くなりました。

 2つ目は、表現力の向上です。
 地続きに思考してしまいがちな我々の思考を一文一文に分けて表現することで、相手に自分の伝えたいことを丁寧に伝えられるようになります。なぜなら、人間の思考は誰かに分かりやすく表現することを前提に考えられる訳ではないので、普通に考える際はそれぞれの思考が地続きで接続されてしまうからです。例えば、昨日の朝から現在に至る過程を脳内で考えてみてください。その時、人間の思考は以下のようになると思います。「昨日、私は7時に起床して、朝食を食べようと思ったけど、会社に遅刻するといけないので途中で中断して、急いで玄関を出て、駅まで15分ほど歩いて、改札口を通って目的地へと向かう電車に乗り・・・」というように、人間の思考は脳内では基本的に繋げて思考されるものです。それため、誰かに自分の考えを表現する時は、一文一文を区切って表現することで、情報を分かりやすく提示することが重要になります。

3.主語と述語に分ける

 最後に、主語と述語に分けるについて。
 主語と述語に分けるとは、一文を主語と述語に重点をおいて添削するということです。

 以下の「私の好きなA子」について述べられた文章は、冗長な部分があります。

 私はA子が好きだ。なぜなら、A子は天使のような愛くるしい顔をしている。しかも、A子は小悪魔のような意地悪な性格をしているからだ。私はA子に告白しようか食べ物が喉を通らないほど迷っている。その理由は、A子に付き合っている人間がいるか分からないからだ。

 なぜ、この文章に冗長な部分があるのでしょうか?
 それは、「私がA子を好きな理由」と「私がA子に告白しようか迷っていること」に情報を伝達する上で余計な情報が付けたされているからです。

 そのため、上記の文章を主語と述語に分けてみましょう。

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 【添削前】
 主題「私の好きなA子」
 私はA子が好きだ。なぜなら、A子は天使のような愛くるしい顔をしている。しかも、A子は小悪魔のような意地悪な性格をしているからだ。私はA子に告白しようか食べ物が喉を通らないほど迷っている。その理由は、A子に付き合っている人間がいるか分からないからだ。

 【添削後】
 主題「私の好きなA子」
 私はA子が好きだ。なぜなら、A子が愛くるしい顔をしている。しかも、A子は意地悪な性格をしているからだ。そこで、私はA子に告白しようか迷っている。その理由は、A子に付き合っている人間がいるか分からないからだ。

 以上が先ほどの文章を主語と述語に分けた結果です。
 「私がA子を好きな理由」の「天使のような」や「小悪魔のような」という余計な修飾部分が添削されることで、「私がA子を好きな理由」が「愛くるしい顔」や「意地悪な性格」であることがより明確になりました。さらに、「私がA子に告白しようか迷っていること」の「食べ物が喉を通らないほど困っている」という余計な修飾部分が添削されることで、「私がA子に告白しようか困っていること」から無駄な情報が省かれて趣旨が分かり易くなりました。

 では、主語と述語に分けるメリットは何でしょうか?

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 主語と述語に分けるメリットは2つあります。

 1つ目は、読解力の向上です。
 主語と述語に重きをおいて分けることで、文章の趣旨を明確にすることが出来ます。実際に、主題「私の好きなA子」の【添削前】と【添削後】では、「私がA子を好きな理由」と「私がA子に告白しようか迷っていること」に情報を伝達する上で余計な情報が付けたされていないので、それぞれの文の趣旨が明確になりました。

 2つ目は、表現力の向上です。
 我々は自分の伝えたい趣旨と関連した余計な情報を伝えてしまいがちなので、余計な情報を省くことによって、結果的に、自分の伝えたい趣旨をシンプルに伝達出来ます。実際に、我々の思考には趣旨の伝達という点において、無駄な修飾語が多いです。例えば、「今晩、私は先日企業交流会で出会った、確か縞模様の赤緑色のネクタイを身に着けていた中国生まれのGさんとあるプロジェクトを共同で仕事ができるかどうかの大変重要なミーティングがある」と思考したとします。しかし、この思考を主語と述語に重きをおいてギュッと短縮させると、「今晩、私はGさんとミーティングがある」という風に簡略化できます。すると、例えば、誰かに今晩の予定を聞かれたり、または、スケジュールをメモする際は、わざわざどのようなミーティングがあるかを答えたり、書いたりする必要はなく、「今晩、私はGさんとミーティングがある」とだけ答えたり、書くだけで十分なのです。確かに、これだけの情報では具体的にどんな人とどのようなミーティングをするかが分かりません。しかし、その場合は、必要に応じて情報を付け足せばいいだけのことです。要するに、主語と述語に重きをおいて情報を整理すれば、思考がシンプルに整理されて表現力が飛躍的に上がるということです。

 ただし、主語と述語を分ける上で一点だけ注意点があります。

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 それは、主語と述語に分けるという意味は、あくまで主語と述語に重きを置いて文を簡略化するという意味であり、完全に主語と述語に簡略化する訳ではないということです。例えば、「私はA子に告白しようか迷っている」という文を完全に主語と述語に分けると、「私は迷っている」という文章になって、趣旨が伝わりません。そのため、主語と述語に分ける時は、文章全体の必要に応じて必要な部分かどうかを見極める必要があります。

第2章のまとめ


1.主題で分ける:文章を主題ごとに分ける
2.一文に分ける:複文を一文に分ける
3.主語と述語に分ける:一文を主語と述語に重点をおいて添削する

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