見出し画像

長野県白馬村に学ぶ、自然体でファンとつながるSNS運用

こんにちは。ヤフーのオープンコラボレーショハブ「LODGE」です。LODGEは地方自治体のDX支援を目的に、関連イベントを開催しています。

自治体DXがトレンドの昨今、自治体の広報のDX、デジタル化も注目を集めています。自治体SNSが紹介される際に必ず話題になるのが、長野県白馬村です。

2021年11月12日に開催されたイベント「長野県白馬村に聞いてみた "自然体でファンとつながる"自治体SNS運用とは?」では、白馬村観光局宣伝担当の吉沢紘一氏をゲストに招き、方針や運営上の工夫についてお伺いしました。

前編、後編に分けて、イベントレポートをご紹介します!

アーカイブ動画はこちら

登壇者
白馬村観光局宣伝担当 吉沢 紘一氏
ヤフー株式会社 データソリューション事業本部 大屋誠
ヤフー株式会社オープンコラボレーションハブ「LODGE」 徳應和典

吉沢さんは2010年6月からfacebookの運用を担当するほか、ウェブ広告出稿も担当されています。

白馬村のSNSは投稿数、フォロワー数の多さだけでなく、フォロワーの「いいね」やコメントなど、リアクションが大変多いことが印象的です。白馬村といえば美しい自然、スキーの名所で有名ですが、果たして「強いコンテンツ」だけが支持されている秘訣なのでしょうか

さっそく吉沢さんに、詳細を尋ねていきましょう。

白馬の住民が『白馬はきれいだな』と改めて思える投稿を

例えば、どのような基準で投稿する画像を選んでいるのでしょうか?

吉沢さん
「投稿はスーパータイムリーなものか、ある程度編集されてクオリティの高いものか、どちらかに寄せて投稿するようにしています。タイムリーで紹介したいものは、撮影した現場からアップするようにしています。あとでアップすると時間のズレが生まれてしまうので、そこを心掛けています」

イベントの9時間前に投稿した白馬村の雪景色の映像は、2800の「いいね」、133件のシェアが

吉沢さん
「もうひとつは、白馬に住んでいる人が投稿を見たときに、改めて『白馬はきれいだな』と実感できるような画像を選んでいます。
そこに住んでいる人がきれいだなと思うものは、つまり遠くにいる人が同じように思うことにもつながると思うので、そこを意識するようにしています」

投稿が作り出す「新しい観光スポット」

投稿を重ねるなかで、何か変わったことはありますでしょうか?

吉沢さん
「これは桜が咲いている頃の夜景なのですが、以前は夜に写真を撮りに行っても、誰もいませんでした。それが、近ごろは白馬の人や他から来ているカメラマンの皆さんに会うようになりました。先着がいる状態になりました。『投稿が人を呼んでいるんだな』と実感しています」

以前は誰もいなかった場所に、SNS投稿をきっかけに人が集まるようになった

見ている人に「寄り添う」投稿を

白馬村のSNSはフォロワー数が多い状況です。どんな点に気をつけて運用されていますか?

吉沢さん
発信を受け取る方は世界中にいらっしゃるので、そこはしっかり意識をしています。例えば全国の他の地域で何が起こっているのか、などを意識しています。夏場だったら大雨で土砂災害が起こっているようなときには、川などの投稿は控えるようにしています。日本中が暑い時なら、涼しい画像や映像を提供できるようにしたいなと考えています」

「最近は、コロナで旅行できない人が多いので、現地に浸っている気分になれる360度の映像の配信などを工夫したりしています。見ている皆さんがどういう形なら1番楽しんでもらえるのか?を考えています

「ファンの皆さんに、情報を広げていただいている」

フォロワーとの良い関係性が印象的です。良かったことやエピソードはありますか?

吉沢さん
「白馬村観光局ではインターネットのサイトを通じて、物販などもやっています。オリジナルグッズなども作っているのですが、こういったものをFacebookなどでご紹介すると、ある程度まとまった量の発注が入ります。やっぱり白馬のファンの皆さんは、白馬のグッズであったり白馬のアクティビティーだったりに興味を持ってくださって、反応がいいなと日々感じています」

白馬村グッズの紹介投稿にも、フォロワーからたくさんのリアクションがつき、発注につながる

一方で、「やらない」と決めていることはありますか?

吉沢さん
「一貫してやってこなかったことは、『フォローしたら何か差し上げます』といった、フォローを理由に別のキャンペーンにつなげていくような事です。フォローしてくださる皆さんは本当に白馬のことが大好き。夏の白馬の情報が知りたかったり、景色が見たい人たちなので、1つの投稿についてのリアクションがすごく大きいですね。ファンの皆さんに、情報を広げていただいていると感じます」

「人に寄り添う投稿」のための工夫とは?

吉沢さん
「山奥に住んでいると、日本中の皆さんの感覚が分かりづらいときがあります。季節のギャップもとても分かりづらいので、Yahoo!のリアルタイム検索を見て参考にしています。

知りたいキーワードに対して、どういった感情があるのか、そろそろ旅行気分高まってきたな、そろそろ冬のテンションが上がってきてるかな、といったリアルなところです。最近は『旅行』に関する反応をよく見ています。旅行の気分が少しずつ高まっている報道もありますが、実際どんな感じなんだろうなぁと思って検索して参考にしています。

Yahoo!リアルタイム検索の画面例


前半の最後に、参加者からの質問にもお答えいただきました。

投稿の頻度はどのように決めていますか?

吉沢さん
投稿頻度はあえて決めていないです。決めてしまうと、この日にどうしても投稿しなくてはいけない縛りができてしまって、何の意味もない投稿を作る状況になってしまうのではないかと思っています」

担当者として、数字目標は持っていますか? それはどのように設定していますか?

吉沢さん
「実は明確な目標はなく、フォロワーが増えていくと同時に、リアクションもその幅で少しずつ増えていけばいいかなと思っています。そこは少し気にしています。頻度もそうですが、フォロワーをこのくらい増やさないといけない、という目標は持っていませんフォロワーが見たいものだけにこだわらず、新しいものも提供していければと思っています」


白馬村は「映える」美しい自然、リゾートとしての素晴らしい魅力を持っていますが、そういった利点を持たない自治体でも、エッセンスをまねできる部分が非常に多いと思いました。

たとえば投稿を見る人の状況を想像する、白馬村を愛する人たちに思いをはせるなどの、吉沢さんの日々の丁寧な思いやりと気遣いです。人の思いが人を動かし、白馬村のポジティブな状況を生み出していると実感したイベントでした。吉沢さん、本当にありがとうございました。

イベント後半は、白馬村観光局でも導入したヤフーのビッグデータ分析ツールDS.INSIGHT」を使って、「データで読み解く地域SNS運用のヒント」ご紹介しました。
↓ 後編はこちら


お問合せ、LODGEへのコンタクト

LODGEは、地方自治体のDXを支援するオンラインイベントの開催や人材マッチングをおこなっております。イベント共催やDX人材についてのお問合せなど、お気軽にご連絡ください。
お問合せフォームはこちら