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“地元の魅力”を魅力的に伝えるには/「相鉄レコード」相鉄線からの景色が映像×音楽コンテンツに!

 【“地元の魅力”を魅力的に伝えるメディア 】の要点を読み解く『ローカルナナメヨミ』。第2回は、神奈川県中央部を基盤にしている、相鉄ホールディングス株式会社のプロジェクト「相鉄レコード」をピックアップします。


【ローカルナナメヨミの注目ポイント】

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①支点(視点/始点):どのような視点で地元を見つめ、どのようなコンセプトで企画し、運営をしているか
②力点:どうデザイン(設計)し、どんなアプローチで伝えているか
③作用点:コンテンツの発信により、どのような反響があるか


#2/相鉄線沿線の魅力が歌になった「相鉄レコード」

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「相鉄レコード」を知ったのは、Twitterのタイムラインに流れてきたあるツイートがきっかけでした。

実際に電車に乗っているような車窓からの流れる景色と、心地いい音楽。アニメーションもかわいいです。しかも、この「Yumegaoka」を歌うのは、羊文学の塩塚モエカさん。すべてがどストライクでした…。全26駅にそれぞれ歌があり、再生時間は乗車時間とリンクするこだわりも!

今では毎日聞くプレイリストになっている「相鉄レコード」について、相鉄グループ広報担当の方に、立ち上げた経緯や企画に込めた想い、公開後の反響をお聞きしました。

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①メディアの支点/込めた想いと企画コンセプト

ー 最近、毎日「相鉄レコード」を聞いているのですが、企画された経緯をお聞きしたいです。

 「相鉄レコード」は、相鉄・JR直通線開業1周年を記念してスタートしたプロジェクトです。相鉄線は元々、横浜市の中心部と神奈川県央部を結ぶ私鉄でしたが、2019年11月にJR東日本との相互直通を開始したことにより、念願の都心への乗り入れを実現し、交通アクセスが飛躍的に向上しました。

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 これを機に相鉄線を1人でも多くの方に知っていただき、相鉄線沿線の魅力を広く伝えることで、沿線人口の獲得につなげたいと考えました。


ー そのために、どういったコンセプトで企画されたのでしょうか?

 “相鉄線沿線への居住促進”という最終ゴールを見据えた上で、昨年来のコロナ禍の中、相鉄線を日頃ご利用いただいている沿線住民であるお客さまにも感謝の気持ちをお伝えしたいと考え、どのようなコミュニケーション施策ならばその想いを形にできるか、検討を重ねました。その結果、一方的な「開業記念広告」ではなく、「沿線のみなさまに参加いただき、一緒に作る」点を企画のコアにしました。

 具体的には、多くの方が参加可能なTwitterを中心とした設計に。相鉄線沿線住民のみなさまに沿線の好きな場所や景色、お店などの情報をTwitterに投稿していただき、その声をもとにシンガーソングライターが作った歌をお届けすることによって、“身近にあるちょっとした幸せ”“ちょっとしたいいこと”を感じていただきたいと考えました。
 また、相鉄線をよく知らない方にも相鉄線を知っていただく機会にするため、歌から相鉄線沿線をイメージしていただけるように…ということも重視しています。


②メディアの力点/クリエイターの視点で光を当てる“相鉄線らしさ”と新たな魅力

ー 車窓映像と音楽、さらにアニメーションのマッチングがとても素晴らしく、相鉄線を利用したことのない人にとっても相鉄線を体感できるコンテンツだと感じました。映像・音楽へのこだわりや制作の裏側をぜひお聞きしたいです。

 鉄道会社ならではのコンテンツであることを意識し、車窓を眺めながら音楽を聞いているような心地よさを表現しました。
 映像は、実際に走行する車両にムービーカメラを固定設置し、車窓に流れる風景を時間の経過も感じられるように全線通しで撮影。日の周りとともに、車窓もその表情を変えています。また、景色を遮断する防音壁やトンネル(特に西谷駅~羽沢横浜国大駅間)も、編集することなくありのまま使用しました。

 音楽制作にあたっては、シンガーソングライターのましのみさんや制作スタッフの方に、その街や駅に何度も足を運んでロケハンし、イメージを膨らませていただきました。相鉄線沿線には豊かな自然や住宅が広がる丘陵地がありますが、アニメーションはその相鉄線沿線の特長を生かし、キャラクターに動きをつける仕様にしています。

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 乗車時間に合わせた映像の尺など鉄道好きな方に刺さる要素を随所に取り入れ、ウェブサイトも路線図やドア、駅名標をモチーフにした再生画面にするなど、鉄道会社らしさを追求したデザインにしました。

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ー 各駅の車窓部分にマウスオーバーすると景色が動き出したり、再生画面の次の駅への切り替わりなど、ギミックが満載でとても楽しいです!


③メディアの作用点/相鉄レコードがもたらす反響

ー 「相鉄レコード」を、どんな方に、どのように利用していただきたいですか?

 相鉄線沿線にお住まいの方・以前お住まいだった方には、改めて相鉄線沿線に愛着を抱いていただくことに加え、「相鉄線にこんなところもあったのか」と新たな魅力発見につながればと考えています。
 遠方の方にとって、なかなか長距離の移動がしづらい状況が続いていますが、この映像をご覧いただくことで、いつか相鉄線に足を運んでいただくきっかけになればと思っています。

ー 実際に「相鉄レコード」を公開してから、周囲の反響はいかがでしょうか? 私は違う路線を利用していますが、移動中によく聞いていますし、テレワーク中のBGMとして無限ループ状態です。

 いずれも、公開直後から多くの「いいね」やリツイートをいただきました。おーくボさんがアニメーションを担当し、羊文学の塩塚モエカさんが歌う「Yumegaoka」は、ファンの方や他路線を利用する方、遠方にお住まいの方からも多くの反響をいただき、公開2日で100万回以上の再生回数となりました。

 「自分の地元がオシャレな歌になっていて驚いた」「久しぶりに相鉄線沿線の風景を見られた」「この音楽を聞きながら、のんびり相鉄線に乗ってみたい」というコメントもたくさんいただきました。「自分が長く住んでいる地元をこんなに素敵な歌にしてもらってありがとう」というお礼の声もうれしかったです。
 2019年の相鉄・都心直通記念ムービーに続き、「相鉄がオシャレなことをやっている」「センスがいい」という声は最も多くいただきました。意外なところでは「音楽のセンスがいい」という反響もあり、着実に従来の相鉄のイメージが変わってきている…という手ごたえを感じています。

ー 「相鉄レコード」を含め、今後どういう視点・取り組みで、相鉄線の魅力を発信していきたいですか?
 
 相鉄線沿線や地域の方々と共にある会社として、沿線で暮らすお客さまに寄り添った視点を常に持ち続け、暮らしやすい街づくりの実現に努めてまいります。
 相鉄線は、2022年度下期に東急線との相互直通運転を予定しています。また、生活への意識が大きく変容する中、都市に近接した自然を有する沿線が特長の相鉄線は、暮らしやすい街として注目を集めつつあります。今後、相鉄線沿線外にお住いのみなさまに、相鉄線の魅力をより知っていただき、親しみを感じていただくためにも、さまざまな施策に取り組んでいきたいと考えております。


- 編集後記 -

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MVとしても完成度の高い「相鉄レコード」の26曲。
映像を観ていると、相鉄線沿線を身近に感じ、まるで地元風景のように思えてくるほど愛着が湧いてきます。
地下鉄で車窓風景がさびしい通勤時間も一気に楽しくなりますし、自宅で仕事をしている時間もワーケーション気分を味わえるかもしれません。(純粋に日々のプレイリストとしても十分すぎるクオリティです)

ぜひ一度、観て聴いて、相鉄線の旅を疑似体験してみてください!

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相模鉄道キャラクター「そうにゃん」もかわいいです…!

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【相鉄レコード】
相鉄・JR直通線開業1周年を記念し、2020年11月30日に開始したプロジェクト。寄せられた投稿をもとに全26曲の歌を制作し、特設サイトやYouTubeで公開中。
https://www.sotetsu.co.jp/future/into_tokyo/
YouTube:相鉄グループ公式
Twitter:@sotetsu_group

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