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父と奴のこと#3

いよいよ父がやばいのだそうです。

とはいえ本人は元気、好きなものは良く食べるし何ら変わらず過ごしているのだとか。
でも奴が確実に大きくなっているのですとか。

「あと3ヶ月だって」

と話す母は声が震えていました。
車の中から電話してる、と。
目の前で泣くわけに行かないものね。

私は家に犬しかいなかったので声を出して泣かせてもらった。悪いね。

あと少しだと分かっていたけど改めて言われるととても堪えました。
分かっていたけど、ちょっとだけ希望を持っていて捨て切れず膨らんでいたからです。

癌って余命を言い渡されるじゃないですか。
すごくやり切れないし残りの人生を思って苦しむこともあるだろうし本当に嫌な奴。

しかし急に死なれるのもどうなの。
とも思っていて、
余命が分かるならば考えようによっては残りの数ヶ月を死を意識しつつも大事に大事に過ごすこともできるのですよね。
複雑だ。

どちらが良いということではなく、どっちもどっちですねという話。
長生きはしてほしいよ。元気でね。


めちゃくちゃに悲しい。悲しい。

あとちょっとで父が死ぬという事実のほか、色々な感情が混ざり合って結果とても悲しい。

孫の顔を見せられないなあ、とか
せめて結婚式を間に合わせねば、とか
旅行なんてずっとしてなかったなあ、とか
母が一人になったらどうしようか、とか
不安や後悔でぐちゃぐちゃとしている。

私は一人っ子だ。

婚期は遅れ、孫の顔はおろか花嫁姿も見せないまま見送ろうとしているなんて何と親不孝者なのだろうか。
そして一人っ子をお嫁に出す親の気持ちってどんなもんだったのだろうか。

考え出すともう全てスパーンと放棄して消えたくなってしまうのです。

(独身の方や結婚を望まない方、子なし家庭、はたまた同性のパートナーを持つ方を否定するわけではなくて、うちがそういう流れを望んでいたため。というだけ。)

消えたいだなんて約30年生きてて初めての心持ちだったよ私は。
ぬるい人生ですよ。

しかし消えてしまっては母まで後追わせかねないし、夫と年老いた犬を残しては逝けないのでどすんと踏みとどまっている次第です。

結婚して良かった。まだまだ生きます。




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