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「つながりたい」という承認欲求は極めて生存本能に近い欲求

デジタルデトックス・アドヴェントという企画を立ち上げました。

この期間中、デジタルデトックスに関する著書などを紹介しながら、コラムを書いていこうと思います。今回は「つながりたい」という人間の欲求についてです。


「つながりたい」という欲求はどこから生まれてくるのでしょうか?

2021年に世界中で最も読まれたと言われるベストセラー本「スマホ脳」のなかで、著者のアンデシュ・ハンセン氏は「人間の脳はデジタル社会に適応していない」と主張します。いまだに人類の脳は生物学的には狩猟採集時代の頃のままであり、デジタル環境の急激な変化に人間の進化は追いついていないというのです。

自動車や電気やスマホは、あなたや私にとってごく自然な存在だ。それらがない世界なんて、今では考えられない。しかし今のこの社会は、人間の歴史のほんの少し一瞬にすぎない。地球上に現れてから99.9%の時間を、人間は狩猟と採集をして暮らしてきた。私たちの脳は、今でも当時の生活様式に最適化されている。

脳はこの一万年変化していない——それが現実なのだ。生物学的に見ると、あなたの脳はまだサバンナで暮らしている。

-アンデシュ・ハンセン著『スマホ脳』より引用-


この本の中でもわたしが特に興味深いと思ったのは、人間の「つながりたい」という欲求についての考察です。SNSにおいて「“いいね”や“すき”が欲しいのは承認欲求が強い」などとよく言われますが、これは人間が古くから持つ、極めて生存本能に近いものだというのです。

承認欲求というと、マズローの図では生理的欲求や安全の欲求などの上に位置し、欠乏欲求の中でも成長欲求に最も近い欲求であるように思えます。いいね!が欲しいのは人類の社会がある程度成熟してきたゆえに出てきた問題なのだ。そうわたしは捉えていました。

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しかし、「いいね・すきが欲しい」「他者から認められたい」という欲求は、人類にとって生死に直結する、いわば生存本能を駆り立てるような欲求であるとアンデシュ・ハンセン氏はいうのです。

それはどういうことでしょうか?

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