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大好きだった人、わたしの中のアニマ・アニムスとの再会|裏の畑Body work部

月に一度のシュタイナーの絵の教室「裏の畑」の前半にて、Body work講座を担当しています。後半の絵の教室の記事はこちら↓

今月のテーマは、アニマ・アニムス。
秋分を終えると段々と太陽の光が地上から遠のいていきます。秋からの季節は、自分の中の影や闇との対峙が始まる、とシュタイナーはいいます。

前回は、ユング心理学の「影」をテーマとして扱いました。

ユングは自我で認識できない全てのものを影であるといいました。自分が選んでこなかったこと、生きてこなかった可能性、夢の領域・・それらは自我という光が当たらない部分にある。だからそこを照らして見せてくれる他者の存在が必要なのです。秋からは他者との関わりから、自己認識を進める季節です。

その影の領域の中でも深層部に位置するのが「アニマ・アニムス」。女性性・男性性です。

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ユングは、人は意識の深層領域では男性性と女性性が分かれていない一つの魂・命を持っていると考えました。しかし、現実の物理的な領域、身体ではどちらか一つの性しか持つことができません。ですから、本当は揃っているはずのものが何か欠けているような気持ちになり、そして相手に求める。それが恋愛の始まりです。

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ユングは、男性という生き物は、男性性を外側(身体)で持っていて、内側に女性性を持っていると考えました。その女性性を「アニマ」といいました。また反対に、女性という生き物は、女性性を外側(身体)で持っていて、内側に男性性を持っていると考えました。その男性性を「アニムス」といいます。

このアニマとアニムスは、異性との関わり合いを通じて発達をしていきます。今回はシュタイナーのバイオグラフィーワークの考え方に準じて、アニマ・アニムスの発達段階をお話してみました。

そして最後には、思春期の性のエネルギーの葛藤を純化し、創造性に昇華させるというパワフルなワークを行いました。


シュタイナーのバイオグラフィーワークでは、40歳を境に地上という物理次元へ新しい命を生み出す「生殖」の段階を終えて、精神的な創造のために性のエネルギーが転換されていくと考えます。

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私たちは思春期の頃、とても多くの葛藤を抱えたと思います。頭では美しい理想を描きながらも、かたや身体はどんどんと発達する中で性的な快楽を求め、そのギャップをどう受け入れて良いのかわからず混沌とします。この時の身体は生殖機能を持ち、この世の中が男と女という二つの性に分かれているということを知ります。

それは、人によっては世界がひっくり返るようなものすごく大きな変化だったと思います。少なくとも、わたしにとってはそうでした。

しかし、あの頃の混沌としたエネルギーを、心や精神の機能が成熟した30代半ば、40代ごろになると段々と受け入れるようになっていくといいます。

更年期障害のお話もしました。女性は閉経を迎える49歳ごろ、男性は56歳ごろから更年期障害が始まりますが、それは地上の生殖のために使っていた性のエネルギーを転換していく真っ只中で起こっています。そして物理的な生殖に固執すればするほど、抵抗すればするほど症状が拗れるともいいます。

そこで、その性エネルギーを新たな創造のエネルギーとして昇華させ、身の回りの血がつながった間柄の中だけではなく、より広い領域で母性・父性を発揮でいるような存在へと変容させていくことが必要で、これがアニマ・アニムスが最も成長した姿。ここまでくると、徐々に男性・女性という差はなくなっていき、地上の生活を通じて一度別れた性は再び一つになっていきます。

さて、最後のワークではまず思春期の頃、好きになった人のことをシェアすることから始めました。要するに、恋バナです。その中である方が語ってくれた「大好きだった」という言葉がものすごく響きました。

大好きだった。

なんて甘くて切なくて美しいのだろう、と。その頃の恋愛は結果として実を結んだり結ばなかったりさまざまですが、その時感じた衝動は醸造され、40代以降の人生を創造的に生きてゆくための情熱となってかえってくるのでしょう。

わたしは今34歳。今もっとも地上と深く関わっている年齢です。先を行く先輩方のかっこいい後ろ姿を追いかけながら、今の性を楽しみたいなと思いました。これまで経験したたくさんの「大好きだった」を思い出しながら。

(写真の提供はYさん。いつもありがとうございます!)

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