(連載小説:第15話)小さな世界の片隅で。
歩は、自宅へ向けて、自転車をこぎだした。明日は休日だ。大切な事に時間を使いたい。まだ明るさが残る夕暮れの中を、そんな事を考えながら、帰路についていった。
(X-4日)
一日が明けた。思いのほか、頭がすっきりしていた。不思議なもので、会社を辞めると決意した、たったこの一つで、背中の重荷が大分軽くなった様な気がした。ずいぶんと体が軽くなった気がした。
布団をどけながら、部屋の時計に目をやる。時計の針は、朝の7時半を指していた。休日にもかかわらず、出勤時と同じ時刻に起きてしまう