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オススメの習い事

息子が赤ん坊のころ、ゆくゆくはスポーツのチームに入り試合を応援しに行ったりするのかも?と想像していたが、全く想像通りにはならなかった話。

そして、習い事ではないけれど、ボーイスカウトって発達障害グレーゾーンに意外とオススメかもしれないですよ、という経験談。


小学校入学直後、保育園のお友達からのお誘いもあり、週末に小学校の校庭で練習しているサッカーや野球チームの見学会に参加してみた。

すでにユニフォームを着ているお友達は、楽しそうにボールを投げていた。コーチ役の知り合いのパパさん達が、息子に声をかけてくれた。
が、息子は皆が野球をやっている校庭から、フェンスを隔てて設置されている水飲み場の影に隠れた。恥ずかしいのか混ざろうとはしない。

一緒に見学をしていた子ども達は、徐々にチームプレイに混ざり始め、楽しそうに走り回りはじめた。
が、息子は水飲み場の蛇口が気になるらしく、そちらをいじるのに夢中になっていた。

結局、小一時間ほどその場にいたが、一向に興味を示さなかったので、あえなく断念。

その後もサッカーやテニス、音楽系、科学実験の教室などなど、色々と参加させてみたものの、まぁ、同じような薄い反応だった。
息子の習い事選びは、なかなかに難航した。

その中で一つだけ、見学に連れて行った帰り道に「面白かった!」と息子が反応してくれたのが、ボーイスカウトの活動だった。


ボーイスカウトは学齢によって活動する集団が異なる。幼児から小2まではビーバー隊、小3からはカブ隊と呼ばれる小集団に所属する。

それぞれ学齢に合わせた活動内容になっており、息子が1年生から入団したビーバー隊は、保護者も一緒に参加できる点が、心配要素の多かった私たち親子にとって都合が良かった。

丁度、夫が海外に単身赴任となったこともあり、ボーイスカウトの指導者の皆さんのそこはかとないマッチョさは、滅多に会えない父親とのコミュニケーション不足を補うのに良いかも、とも思った。

その後、スカウトの活動は、カブ隊を卒業する5年生の終わりまで関わることになったが、私たち親子はこの活動に相当救われることになる。


一般の習い事は、1つのスポーツの種目や楽器などへの反復練習を要し、1つの物差しの優劣で評価されることになる。
その点、スカウトの活動は、毎回取り組み内容が異なる。ハイキングやボールゲームのような屋外活動もあれば、屋内でゲームやクイズ、演劇をやったり、工作をすることもある。
それらの活動を通じて、生活の中で必要な知識や技能を1つ1つステップを踏んで学んでいく。

各テーマによって主役になる子どもが変わっていくので、優劣の序列は固定されない。苦手なことがあったとしても、得意なテーマの回では「あいつスゲー!」となるので、皆それぞれがどこかしらで主役になれるのだ。

息子のように1つのことに集中することが苦手な子どもでなくても、まだ何が得意で、何に興味を持つかも分からない幼い子に、親の一存で習い事を決めて継続と上達を強いるというのは、子どもの資質や才能と合致すればハッピーだが、多くの場合、親子双方にとって不幸の始まりみたいなことになるように思う。
その点、スカウトの活動は息子の可能性や志向を模索する良い機会となった。

また、スカウトの活動は、指導者が一方的に子どもに教えるのではなく、子どもたちそれぞれに役割が与えられ、教えたり・教えられたりの立場が、学齢やテーマにより入れ替わる。
リーダーシップを進んで取りたがらない息子でも、リーダー役を任されると不思議にシャキッとし、同じグループの子をリードする場面もあった。
普段なら靴下をズルズル~っと下げっぱなしで、フラフラ~っと好き勝手に自由行動をしてしまう息子が、年下の子に靴下をちゃんと履くよう指導しているのを見た時は仰天した。
立場が人を変えるのだ。


加えて、息子の発達の悩みで子育てに対し、近視眼状態になっていた私にとって、メタな視点が得られる良い機会になった。

息子が3年生になり、ビーバー隊からカブ隊に上進した際に、隊のお世話をする指導者役に手を上げてみた。

理由は息子が心配だったからに他ならないが、指導者になった親が、活動の中で直接自分の子どもの面倒を見ることはNGとされていた。
カブ隊は、保護者全員が活動に参加できるビーバー隊と異なり、指導者のみが活動に参加し、子ども達のお世話をする。
私は息子の所属するグループとは別のグループの指導者を任されることになった。

指導者を始めたばかりの頃は、ついつい息子のことが気になり過ぎて、別のグループにいる息子に直接注意をしに行ったりしてしまった。
が、ベテランの指導者から、「ここではあなたはお母さんじゃない。指導者だから。息子くんのことはグループの指導者に任せて、自分のグループの子どもたちのお世話をしてください。」と言われた。

息子も母親からの注意だと甘えたり不貞腐れたりする態度を示すところ、ヨソの親からの指導には素直に聞く耳を持つようだった。神妙な顔をして話を聞いている。

そんな風にしてヨソの子の親が息子に対し、自分とは異なる角度から注意したりほめたりするを見るのは、気づきが豊富にあり、参考になった。

私が気づいていなかった息子の特徴や美点を指摘してもらうこともあり、親子関係を冷静に、客観的に見直す機会になったと思う。

私も指導者として、ヨソのお子さんの世話をしていたが、本当~にいろいろな性格の子どもたちがいた。
息子と同じ学齢でも、びっくりするぐらい人間のできた子もいれば、息子と同じかそれを上回るツワモノもいた。
そんな息子を上回るツワモノが、お芝居をする回で、練習に非協力的かつ自分のセリフを全くしゃべってくれず、とんでもなく手を焼いたところ、お芝居の脚本を書かせてみたら、ものすごく達筆かつ天才的に面白いストーリーを書いてきた、ということもあった。

程度の差こそあれ、息子と同じようなグレーゾーンな子どもが、実は沢山いるのだ、ということを知ってものすごく安心した。
一方で、人間の才能って本当に多種多様で、どんな子どもでも必ずどこか光るものをもっていることが良く分かった。

しかも、子どたちは恐るべきスピードで成長する。

お泊り合宿でお母さんに会いたくて泣いていた子も、次のお泊り合宿では、泣いているお友達を慰める役に回っていたり。
大人でもできないような難しいロープワークを、サクサクと何種類も覚えてくる器用な子どももいる。

人間の能力と成長スピードって計り知れないもんだなぁ、と しみじみ。

どんな子どもでも必ず成長する。より良くなる。人間は常に進化していく生き物なのだな、と希望を感じた。


指導者のための研修にも参加することができ、コーチングや発達障害含む様々な困難を抱える子どもたちとのコミュニケーションの取り方を学ぶ勉強会もあった。

なので、周囲の皆さんの子どもの発達への理解がとても深く、まなざしが温かかった。居心地の良さが半端なかった。


そして、子どもたち。
ヨソのお子様なのに、なかなかに頭にくるような素敵なことをしてくれるので、大人げなく怒りたくなることもあったが、1人1人が個性的で、面白くて、愛おしくて。
発達が〜グレーゾーンが〜と、更には上の娘の不登校が〜と、子育てに悩んでばかりいた私にとって、救いのような活動だった。


今、日本のボーイスカウトの構成人数は全国的に減少傾向とのこと。団体数も減っているようだ。
息子が参加した団体は、周辺の人数の少ない団体を吸収したこともあり、地域では大きめの組織だったが、それでも徐々に子どもの数は減ってきているようだった。

少子高齢化だから仕方がないだろうし、ちょっと古風で面倒くさそうな、昭和のニオイも感じる組織なので、、、なかなか入りずらいのかも。
私も息子を入隊させる時には若干躊躇した。

でも、実際入ってみて、これは、、、発達に課題を抱えた子ども達や、子育てで独りで苦悩している親にとって、かなりフィットする、今日的な活動をしている団体なのでは?と思う。

結局、息子はカブスカウトを卒業して本格的なボーイスカウトの組織に上進するタイミングで、自ら中学受験に集中したいと言い出したので辞めることになった。
やり切ってさっぱりした感じで息子は退団したが、私の方がよっぽど寂しかった。

「いつでも戻っておいで。」と、団体の皆様に言ってもらっているので、息子がまた戻りたいって言ってくれないかな? 
などと、期待している。

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