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140字小説『参りましょう、青の外まで』

「ほかの色を見たくない?」
「青以外にあるの?」
「ええ。数え切れないほど」
生まれた時から青しか知らない。
「あなたには紫も合うと思うわ」
「…見てみたい」
「じゃあ行きましょう」
天使が羽を広げる。
「紫は毒の香りよ」
風に乗って飛ぶ。
青が小さくなる。
さよなら、青。
どうか私を忘れて。

さよなら。

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