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一人じゃないひとり旅で、独りになる

ひとり旅をしてみたい…と
ずっと思っていた。

きっかけはこの本たち。


椎名誠さんの本は余りに好きすぎて
いつも持ち歩いてた20代。
通勤途中に忘れた事に気づき、駅の本屋さんでもう1冊購入!で2冊あり。

30代半ばに、たかぎなおこさんのコミックエッセイを初めて見た時は衝撃を受けた!
面白いし癒される!

その頃は、旅どころか週一の休みもない仕事だったから
毎晩、寝る前に読んでいた。

まるで自分も旅してる気分になったり。
ささくれた心が、ふっとほぐれて
スーッと眠れたものだ。


そんな訳で
いつか自分もひとり旅したい…と
思っていたが、叶わずにいた。

本来なら、自分で旅行計画を立てて行くのが「ひとり旅」の醍醐味だろうが
私にはハードルが高すぎる。

何しろ極度の方向音痴。
電車やバスの乗り場にスムーズにたどり着くとか、乗り継ぎにも全く自信がない。


目的地に永遠にたどり着けない可能性もある。


京都に暮らして30年余り経つが
未だに

上がる
下がる
西入ル 東入ル
碁盤の目の通りの名前などなど…


よく分からないのだ。
多分、覚える気が、ない。

情けない…。




てなわけで
日帰りバスツアーを
探す事にする。


旅行会社をいくつか調べると
クラブツーリズムが
「ひとり旅」の種類が多い。

他の旅行会社もあるにはあるが
ひとり旅限定ではなく

”お一人様も参加可”

となっている。

これは3人グループの余りの席に
座る可能性が高いから
なかなかツラそうだ。

結局、吟味に吟味を重ね、
キャンセル待ちして
やっと予約が取れたのは


【ひとり旅 日帰りバスツアー】
完全予約制の名店で味わう
大和伝統野菜と
初夏の大和の花めぐり
19900円

奈良を旅する日帰りツアーだ。



お高い…。


が、他のツアーはもっと高い。
理由はたぶん
お一人様で2人分の座席をとるから。

46人乗れるバスだとしても
参加者は23人。




新大阪駅の集合場所に
8時半。

京都から遠いし、電車トラブル遅延と新大阪駅で迷うのを想定して、早めに出たら50分も早く着いてしまった。

しかし、そんな私より
早めに来てる御婦人がひとり!
「雨予報だったのに降らなくて良かったですよね~」
などと無難な会話で間を持たす。


新大阪〜難波(なんば)を経由して
参加者全員を乗せたバスは
一路、奈良へ。

最初の花めぐりは矢田寺(やたでら)。
曇り空の下、湿度80%位の蒸し暑さ。
汗だくだく…







色とりどりの紫陽花が見ごろでした





高台にあるお寺さんやったんか。
知らんかったな。
最初から、なかなかの苦行。


バス駐車場を出て
長い坂道をのぼり
更に
100段の階段を上ってたどり着く。

境内は広く
色とりどりの紫陽花は見事だが
滝のような汗とハードな階段上りで
心が折れまくってしまったので、
予定より早くバスに戻る。

半分くらいの人が戻ってる。


30分程、バスに揺られて
お昼ご飯のお店
「粟ならまち店」さんへ向かう。



コース料理
大和牛も◎
野菜の美味しさが沁みる
お腹いっぱい!

普段、こんな豪華な昼食を食べる事がないので味わって食べてると
周りの人に遅れを取ってしまった。


昼食が終わると
ひとり旅ツアーの雰囲気がちょっと変わってきた。


見ず知らずの人びとが集まって23人になってるのに、
2人組や3人グループなんかが
そこここに出来ている。  


次の花めぐりは

紫陽花とコスモスの花手水


般若寺(はんにゃじ)へ


コスモスと紫陽花が同時に咲く境内


ちょっと持ってみたかったが
ぎっくり腰持ちなので断念

このお寺さんは駐車場の目の前なので
体力を奪われる事なく、ゆっくり巡る。

本堂に入らせて頂き、手を合わせて
おみくじ引いたら…


大吉だったので持ち帰り…
七福神のどなたかが入ってるおみくじ
恵比寿様がいらっしゃいました!


最後の見どころ
秋篠寺(あきしのでら)

ここはお花ではなく

伎芸天立像(ぎげいてんりゅうぞう)という
仏像を見せて頂いた。

その美しいお姿に
しばし見とれる。



写真撮影不可のため、じっくりと見つめていたら

おや?

はて?

いつの間にか、ツアー参加者が周りに誰もいない。


100円で頂いた御札

集合時間までまだまだある。

しかし皆、バスに帰って行くようだ。

戻りゆく後ろ姿を見ると、ほとんどの人が2〜3人グループになっており
ひとりなのは私を含めて3~4人。


所々で
「別のツアーに一緒に行こう」
「ライングループ作ろう」

などの声が、飛びかっている。


中には肩を組んでピッタリくっついて歩く御婦人2人組もいらっしゃる。

蒸し暑さを超えていく、芽生えたばかりの友情。



そうか。



ここは、新しい友だちとの出会いの場でもあるんだな。

マッチングアプリならぬ
マッチングひとり旅ツアーやねんな…


帰り道。

静かな車内。

居眠りする人々を乗せたバスは大阪へと戻っていく。




いちばん最後にバスを降りて、
駅へと向かう参加者の姿を見ながら歩いた。



旅の途中も、今も独りだ。



数人の方と当たり障りのない会話はしたものの
なんの進展もなかった私だが
初めてのひとり旅。



思ってたのとちょっと違ったけど
楽しかった!


お土産は大仏プリン本舗にて


夕刻の新大阪駅の雑踏を抜けて、
ヨロヨロ歩く。

京都に向かって帰るツアー客は
私ぐらいやろな…
などと思いながら。

この3つのお寺さん
すべて一見の価値あり


京都駅に着いて
ふと
「せや!恵比寿様もらったから
宝くじ買おう!」

すぐ調子に乗る…
そういうとこやぞ! 自分


当たったら
また、ひとり旅ツアー行きたいな…
などと
取らぬ狸の皮算用しつつ。

平日の夕方だから行列は30人程。


ちゃっかり551の行列にも並び、豚まんとシューマイを買い
やっと家路についたのでした。

























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