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大学生が使える弁証法を読んだ感想

概要・所感
日本総合研究所の立ち上げに関わるなど、シンクタンクの研究員として時代を透徹してきた田坂広志の著作。時代の変化の本質を見極め、未来を読む上でヘーゲルによる「弁証法」的な思考法が重要であるという。

氏によると時代は螺旋的発展を遂げる。すなわち進化と懐かしいものの復活が振り子のように行ったり来たりしながら、一歩づつ発展していく。これまで発展は直線的であると認識されていたが、時代が急速に変化する「ドッグイヤー(1年で7年分進むという比喩)」の世において、我々はこの、懐かしいものが進化した形で復活するという「螺旋的発展」を目の当たりにする。これこそが世に生起する出来事の本質を知り、未来を読む力である。存在するものは全て合理的であり、時代の中で消えていったものは、技術の進歩により(ハイテク)復活してくる。その際、単に便利なだけでなく、温かみや懐かしさという「ハイタッチ」な要素を伴う。

また、弁証法の重要な教えに「対立の相互浸透による発展」がある。対立するもの、矛盾が互いに包含しあい、統合することで発展する。例えば営利活動と非営利活動。CSRと社会起業家という相互浸透が起こっている。矛盾に満ちた世の中で重要なことは、対立を割り切るのでなく、謙虚に対話することで止揚を試みることである。つまり、対立の間でいかに振り子を振り続け、矛盾をマネジメントするかが重要である。なぜなら、矛盾は発展を産む生命力であるから。

学び
これまで考えたことのない視点から世を見つめるヒントを得た。
矛盾は発展の原動力であり、対立を内包、統合することで世界は螺旋的に発展していく。時代の流れで消えていったものがなぜ消えたか、どうすれば復活できるかを考えることで世の中を俯瞰することができる。
個人としても、いかに矛盾や対立を愛し、謙虚に向き合い続けることができるか(振り子を振り続ける)が重要であると知った。
「正・反・合」の考え方は常に頭に入れ、割り切らない根気強さを身に付けたい。

今後の行動に向けて
配属でどの業務につくかによるが、世を見る力として消えたもの、流行しているものを俯瞰し、その理由を考察する習慣をつけたい。
また、人間関係において矛盾や対立を嫌わず、むしろ発展のための礎だと考え、対話の中でいかに止揚させるかを意識して行きたい。矛盾のマネジメントを謙虚に行うことで、器の大きい人間となりたい。

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