落 雅季子 - Makiko Ochi

1983年生まれ. クラシックバレエ修行中の舞台芸術批評家.

落 雅季子 - Makiko Ochi

1983年生まれ. クラシックバレエ修行中の舞台芸術批評家.

最近の記事

第66回「岸田國士戯曲賞」受賞予想(落 雅季子×河野桃子)

毎年、演劇界で大きな注目を集める岸田國士戯曲賞。同賞候補作について、演劇ライターの河野桃子さんとともに、解釈を話し合い、大胆に受賞予想する対談を今年もおこないました。(落 雅季子) ※最終候補作品は2022年3月1日までの期間限定で公開中ですhttps://www.yondemill.jp/labels/253 落 私自身は7回目の予想となりますが、河野さんとの対談も4年目となりました(第65回)(第64回)(第63回)。ここ最近は最終候補8作品で安定していたので、9作品

    • 変化と対応を強いられた2020年 -第65回岸田國士戯曲賞受賞作予想-

      第65回を迎える岸田國士戯曲賞。今年はコロナ禍の影響を受け、従来の劇場での上演だけではなく、多様な演劇の在り方を模索した作品も複数ノミネートされました。毎年、演劇界で大きな注目を集める同賞候補作について、演劇ライターの河野桃子さんとともに、解釈を話し合い受賞予想をする対談をおこないました。(進行・構成/落 雅季子) 落 2020年は本当に大変な年だった。大きな転換を一気に迫られたし、それに伴って心も疲弊するアップダウンに、作り手も観客たちもさらされ続けました。そんな中、今年

      • 混沌の新時代に 第64回岸田國士戯曲賞 受賞作予想

        若手劇作家の奨励と育成を目的とし、新人の登竜門とされる岸田戯曲賞。第64回を迎える同賞には、今年も多彩な顔ぶれがノミネートされた。演劇界でもっとも注目を集めるといっても過言ではないこの賞を、どの作品が受賞するのか。演劇ライター、河野桃子さんを招き、候補作の解釈について対談をおこなった。 (進行・構成・あらすじ執筆/落 雅季子) 第64回岸田國士戯曲賞 最終候補作品一覧(作者五十音順、敬称略) 市原佐都子『バッコスの信女 ― ホルスタインの雌』(上演台本) 岩崎う大『GO

        • いま時代を刻む 平成最後の岸田戯曲賞(後編)

          第63回を迎える岸田國士戯曲賞の予想対談。 前編はこちらから。 中編はこちらから。 進行・構成/落 雅季子 あらすじ執筆/河野桃子 6.坂元裕二『またここか』東京サマーランドにほど近いガソリンスタンド。季節は夏。店長の若い男と、ろくに働かないバイトの女のもとへ、中年の男が一人の女を引き連れて訪ねて来る。中年の男は小説家、女の方は看護師らしい。小説家は、自分は店長の異母兄弟だ、と名乗る。そして、二人の父親が植物状態で入院中で、医療ミスの噂があるので一緒に病院を訴えようと持ち

        第66回「岸田國士戯曲賞」受賞予想(落 雅季子×河野桃子)

          いま時代を刻む 平成最後の岸田戯曲賞(中編)

          第63回を迎える岸田國士戯曲賞の予想対談。 前編はこちらから。 後編はこちらから。 進行・構成/落 雅季子 あらすじ執筆/河野桃子 3.瀬戸山美咲『わたし、と戦争』戦争が終わった。街へ帰還してきた兵士・ユリを待ち受けていたのは強烈なまでの日常だった。地域に馴染めないユリは同じく帰還兵のマキとだけ話をして過ごしている。ある日、ユリは家族に促されて足を運んだグループカウンセリングで、同じ部隊にいたリョウジと再会する。ユリはリョウジも拒絶するが…… 落  「どこかの国」という

          いま時代を刻む 平成最後の岸田戯曲賞(中編)

          いま時代を刻む 平成最後の岸田戯曲賞(前編)

          第63回を迎える岸田國士戯曲賞。ノミネート作家には、社会派、エンタメの他、テレビドラマを中心に活躍する脚本家、小説家、詩的なモノローグをつむぐ作風など多彩な顔ぶれが並んだ。若手劇作家の登竜門と言われる岸田戯曲賞を、今年はどの作品が受賞するのか……。演劇ライター、河野桃子さんを招き、対談をおこなった。 進行・構成/落 雅季子 あらすじ執筆/河野桃子 落  東日本大震災や、原発事故への回帰の流れが全体的に見えましたね。戦争というモチーフも含めて。2011年から7年が経って、震

          いま時代を刻む 平成最後の岸田戯曲賞(前編)

          "批評"人生をやりなおす-フェアでなくては意味がない

          2017年秋からの記憶があまりない。だから今、こうして思い出そうとして何かを修復しようとしても足取りがおぼつかない。 どうもあれ以来、客席で開演を待っている時に、周囲の雑音が気になってしまって孤独を感じる。複数でやってきて客席でおしゃべりしている人の何と多いことだろう。静かに異世界の開演を待ちたい。あるいは、演劇が現実を浸食してくるのを。この寂寥は何に起因するのだろう。きっかけはまあいろいろあって、挙げるとすれば「これまで拠り所にしてきた人々との決別」があるだろうし、まとめ

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