『マテリアルフロー分析』:サステナブルな未来のための100のアイデア vol.3
『サステナブルな未来のための100のアイデア(通称:サス100)』は、NPOグリーンズの植原正太郎が自学自習のために更新していくサステナビリティ探究マガジンです。
マテリアルフロー分析という考え方
先週、オランダ・アムステルダム在住のサーキュラーエコノミー研究家であり「Circular Initiatives & Partners」代表の安居昭博くんをゲストに招いて、グリーンズにてイベントを開催した。「サーキュラーエコノミーが目指すこれからの都市 アムステルダムで今、起きていること」というタイトルで年末に告知開始したところ、チケット発売1週間で50枚が売り切れるほどの人気ぶり。サーキュラーエコノミーへの関心の高まりを肌で感じました。
その中で安居くんが「サーキュラーエコノミー化に向けた6つのステップ」で紹介していた「マテリアルフロー分析」というアプローチがとても参考になる内容だった。
マテリアルフロー分析とは?
マテリアルフロー分析(MFA :Material Flow Analysis)とは、あるまとまりのあるシステム(国や地域など)における一定期間内(例えば1年間)のモノの流れ(投入・排出・蓄積)を、系統的にかつ定量的に分析する手法である。
引用:環境展望台 物質フロー分析(MFA)
国、自治体、企業でマテリアルフロー分析を行うことで資源の流れを把握することができ、資源の需要動向や廃棄物の把握、再資源化のプロセスについて検討することができる。
よくわからない方もアムステルダム市のマテリアルフロー分析を見ればすぐに意味が分かるはずだ。
アムステルダム市のマテリアルフロー分析
引用:安居さんの講演資料より
こちらのインフォグラフィックで説明されているのはアムステルダム市における廃棄物資源の流れだ。廃棄物の発生元を「家庭」「商業」「建設」「公共」の4カテゴリーに分け、廃棄物の全量を把握しながら、素材/資源の分析を行っている。
都市というサイズの中で資源がどのような流れで廃棄物になり、またはリサイクルされているのかが一目瞭然に分かる。
アムステルダム市はこのような分析のあとに重要課題を特定し「建築資材の循環活用」や「生ゴミのコンポスト利用」といった政策を推し進めているそうだ。
音楽フェスでもマテリアルフロー分析
マテリアルフロー分析は行政のアプローチにとどまらない。アムステルダムで毎年開催される音楽フェス「DGTL」でもMFAを実施している。(大きい画像を見たい方はこちら)
イベント全体を通じて出るゴミが一目で分かるだけでなく、使用する電力や水や、二酸化炭素排出量や排水まで分析している。そして様々な環境企業と連携して再利用などが徹底されていることが分かる。
安居さんが話していたが、DGTL担当者は「家庭で過ごすよりもフェスに来てもらったほうが環境負荷は低い」と話しているそうだ。これもまたすごい話だ。
世界一エシカルなスマートフォン企業でも
紛争鉱物を一切使用しないエシカルなスマートフォンを製造する「Fairphone」ではレアメタル含めた資材がどこの国から調達され、どのような加工ルートで製品化されるかを把握し、開示している。多くのメーカーは自分たちの製品の「資源」がどこからやってきているかを正確に把握することは困難だがFairphoneは徹底している。
例えば、スマートフォンがバイブレーションするために必要な鉱物「タングステン」を公平なかたちで調達するために、ルワンダの鉱山の現地企業と連携をして調達している模様をブログや動画で発信している。自社でマテリアルフロー分析を正しく行った後に取り組めるアクションだ。
マテリアルフロー分析は自社製品や行政機能を「サステナブル化」していくためには重要なアプローチだということが分かる。
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そんなわけで今回のサス100は「マテリアルフロー分析」をテーマに書いてみました。次回もお楽しみに!
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