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イギリスのコートールド美術館・研究所のサマースクールをオンラインで受講します

学術機関でもあるコートルード美術館

昨年、日本で「コートールド美術館展」が開催されたことも記憶に新しい、イギリス・ロンドンにあるCourtauld Gallery(コートールド・ギャラリー)。

この美術館は、ロンドン大学附属のThe Courtauld Institute of Art(コートールド美術研究所)のもので、研究所では大学・大学院の学位を取得できるコースが開講されています。

また、一般向けの美術講座も開催されていて、夏にはSummer School(サマースクール)として、5日間連続の講座がいくつか、数週間にわたって行われています。

新型コロナで今年のサマースクールはオンラインに

主要コレクションの来日展が実現したのは同館が改修工事で休館中のためですが、休館中も講座は開かれています。

しかし、新型コロナウイルス感染症のため、今年のサマースクールはオンライン開催(Zoomを使用)になりました。

正直に言うと、今年はオンラインになるのではないかと、同館・研究所のウェブサイトをチェックしていました。ずっと行ってみたかった講座で、オンラインなら参加しやすいと思ったからです。

通常は7月など夏に開催されるので航空費も宿泊費も高い時期です。早めに渡航を決めてチケットやホテル(希望者には寮の紹介もされるようですが)を押さえないといけません。また、当然、1週間、仕事を休む必要があります。

そうした懸念点が、オンラインではすべてなくなります。

さらに、リアルだと、英語が流ちょうなわけではないアジア系として、やや気が引けてしまうだろうと思っていました。ディスカッションでも肩身の狭い思いをしそうです。

しかしZoomなら、ビデオをオフにして顔を見せないことも選べますし、声を出さずにチャットで書くこともできます。

もちろん、直接会って人と交流を試みられたらすてきですが、オンラインだと障壁が低くなるかなと思いました。

オンラインのサマースクールの内容は?

オンラインだと、リアルと比べてできることが限られます。

普段のリアルなサマースクールのプログラムには、講師によるレクチャーや参加者のディスカッションに加えて、美術館訪問なども組み込まれていました。しかし、オンラインでは残念ながら美術館には行けません。

その代わりに、受講料はやや引き下げられ、1講座につき565ポンドから395ポンドに。(それでも十分高いですが・・・)

オンラインのサマースクールの構成要素は次のようになっています。

・事前資料を読む(PDFがメールで送られてくる)
・録音されたレクチャー動画を視聴する(1時間程度のものを10本。講座開始の数日前から講座中まで視聴可能)
・講座期間中の5日間、毎日、Zoomでディスカッションに参加する(1日につき1時間)

Zoomのセッションは、リアルタイムで参加できない場合、録画で視聴可能です。

とはいえ、できればリアルタイムで参加したいので、申し込む前にメールで開催時間を尋ねたところ、イギリス時間(サマータイム)で14時からだったので、日本時間では22時。なんとかなりそうと思い、申し込みました。

講座開始の1カ月ちょっと前に申し込んだら、第1候補のイタリア美術のコースはすでに満員、第2候補のイギリス美術のコースはまだ少し空きがあるとのことで、それにしました。

事前資料は全部で本の100ページ近く!

講座開始の1カ月を切ったころ、事前に読んでおくとよい本のリストがメールで送られてきました。

その本の中でも特にコースに関連のあるページのスキャンPDFをくれたのは助かりましたが、合計で本の約100ページ分(もちろん英語)!

開講まであと数日なのに、初日までに読める気がしない・・・。しかも、動画ももうすぐ送られてくる・・・。

英語で専門的な内容のコースを受講するのだから、せめて予習はしっかりすべきなのに、前途多難です。

テーマは主にラファエル前派

受講する講座のテーマは、19世紀後半のヴィクトリア朝イギリスで隆盛した美術運動、ラファエル前派(Pre-Raphaelites、Pre-Raphaelite Brotherhood)です。

ラファエル前派の主要メンバーは、ダンテ・ガブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハント、ジョン・エヴァレット・ミレイ。画家ですが、ロセッティは詩人でもありました。

彼らに影響を受けた画家などには、エドワード・バーン=ジョーンズ、ウィリアム・モリス、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスなどがいます。

ラファエル前派は、イタリア・ルネサンスの画家であるラファエル以前の中世などの美術を継承しようという運動とされています。

その絵は美しくて感傷的なものが多く、少女漫画っぽいと言っては怒られるかもしれませんが、でもそういう絵は日本でも一部で人気があると思います。私も高校生のころにやや傾倒していました(笑)。

でも、自然描写が緻密など、見るべきところはいろいろあります。

モデルを務めた女性も知られていて、女性の描き方など、ジェンダーの視点からも研究されています。今回のコースも、ジェンダーの観点も扱うということです。(Pre-Raphaelite BrotherhoodならぬPre-Raphaelite Sisterhoodという表現でジェンダーの切り口を表すことがあるようです)

ウェルカム・セッションはどうだった?

開講の前週には、Zoomがちゃんと使えるかのテストも含む、ウェルカム・セッションが行われました。講師と参加者との顔合わせと、コースの概要説明、質問があれば受け付ける、というものでした。

コースの参加者は20人くらいらしいのですが、ウェルカム・セッションに参加したのは、その半分の10人ほど。ほぼ、イギリスの高齢者でした。イギリス時間の平日15時スタートのせいもあるのかなと思いますが。

自己紹介ではチャットでもOKと言われたけれど、音声で話しました(怖いので?!ビデオはオフ)。英語が一応通じたみたいでよかったです。

ほかの参加者は、以前もコートルードの講座に参加したことのある人が複数いたようです。みんな美術史に興味があって、知識を持っていそうでした(サマースクールは、建前上、美術の知識がなくても受講可ですが)。美術館のキュレーターをしているという人もいました。

質問は出ず、30分強で終了。(その後、残って講師に質問した人はいたかもしれません)

開講は楽しみですが、かなりドキドキです。疲れ果てる1週間になりそうな予感。どうなることやら・・・。

▼続く


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